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概要

TAGEN FOREFRONT 04

運動タンパク質以外の生体分子にも研究分野を広げ、生体分子のエネルギー変換機構の解明を進めるともに、カーボンナノチューブなどの新素材の生体分子計測への応用なども視野に入れ、研究を進めています。生命の不思議には水が関与しているのか!?TERM INFORMATION走化性大腸菌などのバクテリアは自身にとって有益な化学物質へ向かって移動(誘引応答)し、また自身にとって不利益な化学物質から逃避(忌避応答)する。この性質は走化性と呼ばれ、走化性シグナル伝達機構によって制御される。走化性以外にも走流性(流れ)、走熱性・走温性(温度)、走磁性(磁場)重力走性(重力)などをするバクテリアも知られている。(CheY-GFP)に置き換えた大腸菌を用いました。CheY-GFPは緑色蛍光を発するので、その細胞内での位置が観察できるようになっています。CheY-GFPのふるまいとべん毛モーターの回転を同時に観察すれば、情報の伝わり方を機能として観察できるわけです。そして、蛍光の観察と通常の明視野観察を同時に行える顕微鏡システムも開発。CheY-GFPのふるまいとべん毛モーターの回転を同時に観察できるようになりました」。観察の結果、べん毛モーターは、リン酸化CheYが結合すると時計方向へ回転し、解離すると反時計方向への回転を起こすことが確かめられ、従来の仮説は実証されました。また分析の結果、べん毛モーターに最大34分子結合できるとされるリン酸化CheYが約13分子結合すると、モーターが時計回転することも分かりました。「高等動物は神経・リンパによって情報が伝達されますが、下等動物は拡散運動で情報が十分伝わると考えられています。ただ我々の研究で、細胞内においては、単純な拡散現象ではなく、波のような状態で情報伝達物質が伝搬することが明らかになりました。各タンパク質が協調しあってある方向性を持って伝播していくというイメージです。いままでの説とは違います」。大腸菌ではどんな分子がシステムを構成しているか?その精緻な計測をもとに、生物の普遍的な仕組みを明らかにするべく、石島研究室の日々の研究は続けられています。生命とは何か?この単純な質問にまだまだ生物学は明確な定義を与えることができていません。しかし、誰しも興味を持っていて、いつか答えを出したいと思っている問題ではあります。「大腸菌ではどんな分子がシステムを構成しているかが明らかになっています。そういった興味深い生物を用いて、より単純な側から生物の普遍的な仕組みを明らかにしていきたいですね」と石島教授は熱く語ります。また、石島教授は生命現象の解明にとって鍵となるのが「水」ではないかと言います。タンパク質は水の中でしか作用しないのですが、ナノレベルでは水分子に作用されながら、タンパク質は実に「騒がしい」ノイズレベルの中で情報をやりとりしていることになります。生体の世界で水分子をどのように捉えていくべきなのかということは、今後の課題であるといいます。「生命というものは、とても50億年の進化でできたのかと思えないような、とても優れたものです。まだまだ、生命の解明にはほど遠いところにあります。長い長い生命現象の解明の道のりに向けて、一つ一つ謙虚な気持ちで取り組まないといけないと思っています」。イオン駆動力細胞は、細胞膜の内外で物質を隔てており、電荷を持つイオンの細胞膜内外での濃度差は電気的ポテンシャルの差をもたらす。この電気化学的ポテンシャル差をイオン駆動力と呼ぶ。イオン駆動力は注目するイオンの濃度差だけではなく、様々なイオンや膜タンパク質に由来する膜電位にも影響されるが、注目するイオンが水素イオン(プロトン)の場合は、プロトン駆動力と呼ばれ、ミトコンドリア膜上におけるF1F0-ATPaseによるATP合成や、バクテリア膜上におけるべん毛モーターの駆動に用いられている。べん毛バクテリアの持つ運動器官。べん毛の根元には、細胞膜内外で形成されるイオンの電気化学ポテンシャル差を駆動力として回転する回転モーターが存在する。大腸菌は細胞の周囲に複数本のべん毛を持ち、走化性シグナル伝達機構を用いてこれらの回転を制御することで自身にとって有益な環境へ移動する。受容体クラスター大腸菌などのバクテリアは細胞外環境を受容するための受容体(センサー)タンパク質を細胞極にクラスター化させている。受容体タンパク質のクラスター化により外環境刺激に対する感度を増幅していると考えられている。GreenFluorescentProtein(GFP)緑色蛍光タンパク質下村脩博士によりオワンクラゲから発見されたタンパク質。青色光の照射により緑色の蛍光を発する。この性質を利用し、標的タンパク質とGFPの融合タンパク質を用いることで細胞内で働くタンパク質の可視化が可能になった。蛍光の観察と明視野観察GFP標識されたタンパク質の蛍光像(約500-550nm)と赤色光(650nm以上)を用いた細胞の明視野像をダイクロイックミラーで分離し、それぞれ別々のカメラで撮影することで、細胞内タンパク質の動態と細胞応答を同時に計測した。TAGEN FOREFRONT 22