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概要

TAGEN FOREFRONT 04

FOREFRONT REVIEW03主にミオシンというタンパク質とアクチンというタンパク質がお互いに相互作用して筋肉を収縮させる筋肉の収縮運動。しかし、生体分子のエネルギー変換メカニズムそのものはまだわかっていません。その間のブラックボックスを理解するために1個の分子を直接見て、観察しています。生命現象をナノレベルで“機能”をポイントにして解明したい縮」というようなプロセス全体は分かっています。しかし、「生体分子のエネルギー生命はどうやって動いているかをもっと定量的に把握したい「昔、ある先生から生物学というのはサイエンスではないね、博物学だねと言われたことがあります。それがずっと気になっています。生物学をもっと定量的に、物理と統計学を持ちいて表現したいと思っています」と話す石島秋彦教授。教授によると、現在の生物の教科書のほとんどが、まるで百科事典のように定性的に記述されているといいます。「相互作用」と「構造変化」というような概念的な言葉を使わずに生命現象を説明できるようになりたい、もっと生命現象を「定量的に」考えていきたいというのが教授の考えです。「生命現象を生体分子の動作原理として定量的にとらえるために、動くタンパク質、モータータンパク質などのタンパク質をターゲットに研究をしています。動くタンパク質の動作原理の精緻な解明が、生体分子共通の動作原理の解明、そして生命現象の何らかの理解促進につながると考えています」。わずか20個のアミノ酸の組み合わせのタンパク質が、エネルギーを変換しながら様々な生命現象を実現するという役割を担っています。その現象は解明されつつありますが、どのようにエネルギーを変換して実現しているかが不明です。例えば、筋収縮は、「脳,脊髄からシグナルが発せられる」→「筋小胞体からカルシウムが放出される」→「筋収もっと生命現象を「定量的に」考えていきたい。この想いをもとに、石島研究室では1分子計測、1分子イメージング装置の開発するとともに、従来のナノ計測システムに比べ、高い時間分解能と空間分解能を有する新世代ナノ計測システムを開発し、ナノメートルレベルで生体分子の運動を正確に計測することを進めています。変換メカニズムそのものはまだわかっていません。つまり、ブラックボックスだということです。入力と出力をきちんと計測すれば、その間のブラックボックスを理解することができるはずです。ここで問題となるのが、いかに入力と出力をきちんと計測できるかです」。光学顕微鏡を使うのはなぜ?1分子で計測する理由は?「タンパク質などの生体分子は、その大きさが数十ナノメートル程度なので、波長が数百ナノメートルの可視光を使った光学顕微鏡では観察することができません。そこで波長の短い電子顕微鏡が開発され、生命現象の理解は非常に大きな進歩を遂げました。しかし、電子顕微鏡では生体分子を生きたまま観察するという点においては大きな問題があります」。生体分子はほとんどが水溶液中で機能しますが、電子顕微鏡では、周りの水が電子線を吸収してしまい、生体分子まで届きません。したがって。水のない真空中でその形状だけを見るという手法を主にとっています。オールマイティではなく、こだわりを持った職人の生き方がいいMY FAVORITE職人というものが好きですね。例えば、我々の研究でも非常に関係のある顕微鏡の対物レンズには職人がいてこだわりで作られています。大量生産ができないのですね。今度、研究者同士でニコンの工場を観に行こうと計画しています。職人たちが作る対物レンズに、わくわくしますね。永六輔の著書に「職人」という本があります。職人という人たちの魅力的な生き方が描かれていますが、職人たちがそれで生きていけるような社会システムをつくらないといけないなと思っています。「和風総本家」というテレビ番組も好きでよく見ます。職人の驚くべき技術を垣間見ることができて面白いですね。我々の研究も特化した研究体制を作っていかないといけないなと思っています。19TAGEN FOREFRONT