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概要

TAGEN FOREFRONT 04

FOREFRONT REVIEW03生命現象の定量的解明を目指し生体分子の計測システムを開発運動、情報伝達、免疫、代謝…。生命現象には、さまざまな機能があります。これらの機能を担うのが、生体内のナノスケールの生体分子で、生命現象を解明するには、生体分子の動きを解明していかなければなりません。しかし、この生体分子の動作原理はまだまだよくわかっていないという現状にあります。例えば、生体分子が動く際に必要なエネルギーという観点。人工機械のほとんどは、化学エネルギー→熱エネルギー→力学エネルギーに変換するカタチで動いています。これは高度な機械、原子力発電でも同じです。しかし生命分子はATPの加水分解によって得られた自由エネルギーを、熱エネルギーという中間状態を経由せずに、力学的エネルギーに直接変換しています。そして、この生体分子のエネルギー変換メカニズムそのものは解明できていないのです。多元物質科学研究所有機・生命科学研究部門生物分子機能計測研究分野教授石島秋彦ISHIJIMA, Akihiko1961年東京都生まれ。1986年早稲田大学大学院理工学研究科物理学及び応用物理学専攻修了。工学博士。(株)本田技術研究所、名古屋大学大学院工学研究科応用物理学専攻助教授、2006年より現職。日本生物物理学会所属。2000年応用物理論文賞受賞。http://www.tagen.tohoku.ac.jp/labo/ishijima/Index-J-tate.htmlこのように生体分子の機構には分かっていないことがたくさんあります。石島研究室では、このブラックボックスになっている生体分子の解明に向けて、「タンパク質の生きた動き」特に「モータータンパク質」をメインの対象に設定し研究を進めています。ナノスケールの生体分子の動作原理を解明するために石島研究室が大切にしているポイントは「定量化」という観点です。ナノメートル、ピコニュートンオーダーで生体分子の運動を生きたまま計測する、1分子計測、1分子イメージング装置を開発するとともに、従来のナノ計測システムに比べ、高時間、空間分解能を有する新世代ナノ計測システムを開発し、ナノメートルレベルで生体分子の運動を正確に計測することを進めています。そして、これらの計測装置を用いて、アクトミオシンモーター、バクテリアべん毛モーターなどの運動タンパク質の動作原理や、細胞の情報伝達機構の解明を目指しています。さらに、運動タンパク質以外の生体分子にもその研究分野を広げ、生体分子のエネルギー変換機構の解明を進めるともに、カーボンナノチューブなどの新素材の生体分子計測への応用なども視野に入れ、研究を進めています。TAGEN FOREFRONT 18