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概要

TAGEN FOREFRONT 04

TERM INFORMATION光学顕微鏡微小な物体の可視光像を対物レンズと接眼レンズによって拡大結像する顕微鏡。単に顕微鏡と言えば光学顕微鏡を指す。生物の観察に用いる透過顕微鏡が主であるが、金属顕微鏡や偏光顕微鏡など特殊なものもある。分解能左/軟X線顕微鏡凹レンズ基板。この表面に多層膜をコーティングし、同じく多層膜をコーティングした凸面鏡と組み合わせて結像させます。右/研究室で製作中の軟X線顕微鏡の試作モデルのひとつ。機械装置を組み立て、真空容器に収容します。光学装置の結像性能を表すもので、光学顕微鏡の場合は、物体上の近接した2点を2点として見分けられる最小の距離を言う。光は電磁波であるので、その結像は波動としての制約を受け、大きさは一般に波長程度になる。と言い換えてもいいかもしれません。栁原研究室では、多層膜反射鏡を基盤にした新しい高分解能軟X線顕微鏡の開発に取り組んでいます。これを用いて、電子顕微鏡ではできない、生体試料をそのままの状態で観察するということが可能となります。軟X線顕微鏡研究の集大成となった2008年の成果軟X線についての研究は、東北大学科学計測研究所時代の波岡武(現東北大学名誉教授)研究室を母体として始まり、同研究室メンバーだった山本正樹教授(故人)と栁原教授に引き継がれ、発展してきました。その成果は2008年、山本・栁原両教授のグループによる軟X線を利用した高性能光学顕微鏡の開発についラー顕微鏡」という形式で、約10年にもわたって取り組んできた多層膜鏡の開発が顕微鏡開発の基盤となったものです。「多層膜鏡は、モリブデンとシリコンを交互に何層にも塗り重ねて軟X線を反射するようにしたもので、さらに正確に結像させるため原子の大きさの100分の1の精度で層の厚みを制御する装置を開発しました」と栁原教授。これによって1万分の1ミリの解像度で1ショット撮像を可能にし、当時世界最高分解能を達成したものです。現在、軟X線顕微鏡研究の第一線に立つ栁原教授は、この時の成果を土台として、さらに高性能な軟X線顕微鏡を目指して、取り組みを進めています。X線発見者の名前をとってレントゲン線とも呼ばれる電磁波で、波長が長い軟X線(30~0.6nm)と短い硬X線(0.6~0.01nm)から成る。X線と言えば通常後者を指し、透過力が高く、医療におけるX線撮影に用いられる。極端紫外線波長の範囲が100~1nmの電磁波で、EUVと略記する。なお、波長を10~1nmとする研究者もおり、範囲は必ずしも確定していない。いずれにしろ、広い意味での紫外線(400~1nm)の最短波長の領域を指す。多層膜反射鏡軟X線に対する通常の物質の反射率や透過率は極めて低く、従来の方法では結像が難しい。多層膜反射鏡は基板の上に2種類の物質を交互に積層したもので、各界面からの反射波の強め合いの干渉で高い反射率を実現するものである。て応用物理学会で発表という形で実を結びました。この顕微鏡は「透過型X線多層膜ミ軟X線顕微鏡の多層膜反射鏡が正確に作製されているか検査・調整しています。計測装置は、重力による撓みを生じさせないため、垂直方向に起こして測定します。モリブデンとシリコン多層膜反射鏡で高い反射率を実現するには、用いる2種類の物質の吸収係数が共に小さく、かつ両者の屈折率の差が大きいことが必要である。モリブデンとシリコンの多層膜は波長13nm付近で反射率70%を実現する優れた例である。TAGEN FOREFRONT 14