ブックタイトルTAGEN FOREFRONT 03
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TAGEN FOREFRONT 03
直鎖状の分子構造であるPEGに、二次元・三次元的な立体構造を持たせることにより、新たな性質が現れることを期待し、金原研究室では研究を進めています。リゾチームに対する三角形PEGの相互作用のイメージ低温(20℃)では親水的なコンフォーメーションのため相互作用があまり強くなくなく、高温になると疎水的なコンフォーメーションとなるため、相互作用が強くなり熱変性と凝集を防ぎます。TERM INFORMATIONが示されました。 「タンパク質を変性させない手法が見つかったというのは、とても画期的なことです。添加剤を開発している食品関連会社などから話を聞きたいという多数の問い合わせがありました」。水に溶け、水の中で働く機能物質を作りたい 金原研究室はこれからどのような方向性に向かうのでしょうか? 「今一番興味のあることは、タンパクのような高次構造を持ったまま水に溶ける機能物質を作りたいということです。水に溶ける機能物質ができれば、様々な形で応用展開できると考えています」。 ひとつの方法として機能物質に電荷を持たせるという手法が考えられますが、この方法だと性質が変わってしまう場合があります。中性的に水に溶かすことが大切なポイントとなります。 私たちの暮らしを支える医薬品や農薬、化学繊維、プラスチックなどの化学製品は有機化合物が中心で、これらは原料を有機溶媒に溶かして合成するのが常識です。しかし、大量の使用済み溶媒が廃棄物となる問題もあります。 「私たちの体の3分の2は水で、生体内の反応も水の中で起きています。こうした反応をモデルとするような、水の中の有機合成ができるはずです」。 触媒の発達、物質を分離・精製する機器の発達などにより、さまざまな物質合成が可能になりました。水に溶ける機能物質が生まれることにより、エコで環境にやさしい高い機能を持った分子機械を作りだすことができると金原教授は考えます。 「工夫次第で、環境性能にも優れた分子機械が作れると考えています。未来を担うような新しい物質を作るという夢を追いかけたいと思っています」。触媒の発達、物質を分離・精製する機器の発達などにより、さまざまな有機合成が可能になりました。水溶性機能物質が作れることにより、環境性能にも優れた分子機械が生まれる可能が広がります。光応答性物質に光を照射すると、そのエネルギーが構造や性質を変えることがあります。このような性質を光応答性と呼びます。特に、光の照射を止めたり、他の波長の光で照射すると元に戻すことができる場合はいろいろな制御に使えるため重要です。孔形成タンパク質細胞膜に突き刺さり穴を空ける性質をもつタンパク質を孔形成タンパク質と呼びます。細胞膜に穴が空くことにより、細胞から中身が流れ出してしまい、その細胞は死に至ります。その多くは、いろいろな微生物の毒性の原因となっています。タンパクのエンジニアリングタンパク質はアミノ酸が連なった構造をしていますが、遺伝子工学の発達により、アミノ酸の一部を入れ換えたり、そこに新たに違う化合物を結合したりすることができます。このようなタンパク質の改変をエンジニアリングと呼びます。コンフォーメーション分子の折れ曲がり具合をコンフォメーションと呼びます。PEGではより折れ曲がった状態(コンフォメーション)が親水的、伸びた状態(コンフォメーション)が疎水的になっています。脱水和分子が水に溶けている状態では、多くの場合水分子が相互作用してくっついた状態(水和状態)にあります。このくっついた水がはずれる現象を脱水和と呼びます。脱水和すると分子は疎水的になり、水溶性が大きく下がります。有機溶媒有機反応の多くは、溶解性や反応性の向上のため液体の有機物質を溶媒として用います。このような溶媒を総称して有機溶媒と呼びます。代表的な有機溶媒には、アセトン、トルエン、ジクロロメタン、ジエチルエーテルなどがあります。TAGEN FOREFRONT 46