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概要

TAGEN FOREFRONT 03

光に対して、熱に対して制御するタンパク質をエンジニアリングするという発想OFF TIME子どもと天体観測しながら、科学の夢を語りたい 現在単身赴任をしていて東京と仙台との往復の生活です。子どもが4年生になっていて、帰った時キャッチボールをするのがとても楽しみになっています。 個人的な趣味としては、星を見ることですかね。彗星の写真などを撮るのも好きです。 まだ子どもは小さいので夜中まで起きていられませんが、大きくなったら一緒に天体観測などができたら楽しいだろうなとひそかに夢想しています。 遺伝なのか、子どもも理科系的なものが好きですね。最近使っていない望遠鏡を引っ張り出して一緒に夜空を見上げながら、科学の夢などを語り合えたらいいなと思っています。光に反応するタンパク質を使いタンパク質の機能を制御していく タンパク質には光刺激に応答して大きな構造変化を起こす光応答性タンパク質がいくつか知られています。その中で、Photoactive Yellow Protein(PYP)と呼ばれるタンパク質は、光を当てると構造変化し、光を消すと元に戻るという興味深い性質があります。金原研究室では、構造変化するというPYPの特質を、分子集合体や他のタンパク質の機能制御に応用できるのではないかと研究を進めています。そして実際、PYP を利用することで、ヘモリシンという孔形成タンパク質の活性の光制御に成功しました。 「ヘモリシンは黄色ブドウ球菌などの病原菌が作る恐ろしい毒性タンパク質です。細胞膜に突き刺さり、穴を開けてしまい、結果おなかを壊すなどの症状がでます。このヘモリシンにPYPを合成して制御しようというわけです」。 細胞膜に穴を開けるタンパク質に、光によって構造が変わるタンパク質を合成することによって、細胞膜上での物質透過を自在に操作することが可能になります。細胞挙動に対する人為的制御の実現が期待できるわけです。 「生体系は複数の分子を共同的に働かせることで、物質濃度などのダイナミクスの制御を非常に巧妙に行っています。タンパク質を制御してこの仕組みを真似していくという発想は、生命機能の模倣という観点からのみでなく、将来的な材料開発の方向性として、ますます重要になってくるのではないかと思います」。タンパク質が熱で変性してしまうことを制御できないか? タンパク質は非常にデリケートな物質で、ちょっとした環境の変化ですぐに変性、凝集、分解してします。このタンパク質を安定に維持することが医薬や機能性食品の開発などの分野にも求められています。 「タンパク質は熱に対して不安定です。例えば、卵を熱すると白くなってもとに戻りません。低温ではまとまった状態だったタンパク質の鎖がどんどんほどけてしまって、水に溶けない疎水的な部分が外に出てきて不溶化してしまうからです」。 これに対して注目したのはポリエチレングリコール(PEG)というタンパク質に対する代表的な添加剤です。直鎖状の分子構造であるPEGに、二次元・三次元的な立体構造を持たせることにより、脱水和温度の低下が引き起こされることがわかりました。このPEGの熱応答性に着目し、タンパク質の熱凝集抑制への応用を試みたところ、リゾチームに対し高い抑制効果07FOREFRONT REVIEW生体系は複数の分子を共同的に働かせて、いろいろな機能の制御を行っています。この仕組みを模倣して、タンパク質を制御していく研究を行っています。将来的な材料開発にもつなげていきたいと考えています。TAGEN FOREFRONT 45