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概要

TAGEN FOREFRONT 03

TERM INFORMATION生体分子生物の体の中には、タンパク質、核酸、糖など様々な分子が存在しています。このような生物を構成する分子を生体分子と呼びます。エネルギー変換体の中では、様々な化学的な過程を通してエネルギーがやりとりされています。ある高エネルギー状態から別の高エネルギー状態へとエネルギーを移すことをエネルギー変換と呼びます。マルチブロックコポリマー2種類以上の異なったモノマー重合したものをコポリマーと呼びますが、その中で、それぞれのモノマーが連続してつながったブロックを形成しているものをブロックコポリマーと呼びます。そのようなブロックが複数あるポリマーをマルチブロックコポリマーと呼びます。疎水性へリックス構造アミノ酸には水に溶けにくい部位からなる疎水的なものがあり、それらが連なってらせん状になった構造を、疎水性ヘリックス構造とよびます。イオン透過性イオンを通す性質を透過性といいます。細胞膜は外側が親水的、内側が疎水的(新油的)になっており、一般的にイオンのような親水的な物質は侵入しにくいため、イオン透過性は低くなっています。 このように「複数の可動部品を連動させる」というコンセプトは、分子機械の動きのバリエーションを大きく広げています。 「たとえば、リング状の分子に棒状の分子を通し、その両端にストッパーをつけてはずれないようにしたロタキサンと呼ばれる超分子があります。棒状分子にpH濃度によってプラスとマイナスが切り替わる物質を使うと、リングを左右に動かすことができ、これは“分子シャトル”と名づけられています。この往復運動を計算に応用して、分子コンピュータをつくろうという研究も行われています。 リングが上下に動く“分子エレベーター”、分子全体が伸び縮みする“分子筋肉”なども可能になります」。細胞膜に近い機能を発現できるか?を研究 細胞は細胞膜という皮に包まれたカプセル。金原数教授はこの細胞膜に含まれるタンパク質の機能を真似る研究も行っています。 「細胞膜というのは化学的に見てすごいものなんです。シグナル伝達、物質透過、細胞骨格形成など様々な役割を担っています。内と外で濃度が変わるだけで物質が出入りする機能が生まれます。この細胞膜に注目し、そこに含まれる膜タンパク質の主要な構造モチーフである多回膜貫通型構造を模倣した分子の構築を試みました」。 この多回膜貫通型タンパク質は、水になじみやすい親水性のペプチド鎖と油にうまり疎水性のへリックス構造が交互に配列した、マルチブロックコポリマーです。これと類似の繰り返し構造を有するような人工分子を設計し、二分子膜の機能を能動的に制御できるような物質の開発を行っています。 「面白いことに、この簡単な模倣モデル化合物でも二分子膜中に導入した場合に、多くの膜タンパク質と同様にイオン透過性を示すことがわかったのです。ベシクルに埋め込んでみたら、ちゃんとイオンが中に入りました」。 研究室では、この研究の延長上として光を当てたらイオンを通すなどの付加的な機能を与える研究も進めています。将来的には医療分野でも活用できるのではと期待されています。生体膜には G-タンパク質共役受容体など、細胞の刺激応答性に関わるタンパク質が数多く見つかっていますが、その主要な構造モチーフとして、親水性ペプチド鎖と疎水性ペプチド鎖交互に配列し、生体膜を複数回貫通する構造をもった多回膜貫通型構造が知られています。これと類似の繰り返し構造を有するような人工分子を設計し、二分子膜の機能を能動的に制御できるような物質の開発を行っています。膜タンパク質を模倣したマルチブロック両親媒性分子研究室ではこれまでに無いような新しい機能を有する新物質、あるいはその機能を自由自在に制御できる人工物質の設計と合成に挑戦しています。TAGEN FOREFRONT 44