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概要

TAGEN FOREFRONT 03

生体分子の様々な機能を「真似」して新しい機能性分子を作ってみるMY FAVORITE子どもが獲ってきた「やもり」をお守りしています 生き物を育てるのは好きですね。生体が持っている機能を再現するという研究をしていて、常に生態系に触発される環境にいたいという思いからかも知れません。 例えば、熱帯魚。熱帯魚の様々な色は、実は干渉光なんです。物質の向きを変えるだけで色が変わるんです。面白いですね。自然からは、いろいろ勉強できます。 今年の夏に子どもが「やもり」をとってきました。自分は家で育ててもいいなと思ったのですが、奥さんがやめてくれと言うので今は研究室で飼っています。餌用にコオロギも飼っていますね。やもりの動きを見ていると研究で疲れた頭もリフレッシュできる感じがします。金原研究室では身体の中にある生体分子の働きからインスパイアされ、様々な生体分子機械の開発を行っています。物質合成、物質輸送、シグナル伝達などさまざまな機能を発現されています。真似する、制御する、使うことにより新しい生体分子機械を創り出したい 「タンパク質が面白いですね。分子生物学の発展に伴い、生体系ではタンパク質を中心とした巨大分子が、高度に制御された機械的な動きを起こす例が数多く見いだされています。タンパク質の真似をすると新しい機能を持った“分子機械”できるのではということで研究を進めています」と話す金原数教授。 タンパク質から新しい機能を発現するポイントとして1.真似をしてみる。2.制御する。3.そのものを使うの3つを挙げます。 「生体分子は、物質生産、エネルギー変換、シグナル伝達、物質移動など機械的な動きを通して、様々な化学現象をコントロールしています。これらの生体分子の機能を学ぶことにより、医療やナノテクノロジーの分野で利用できる複雑な仕事をこなす夢のナノマシーンが実現することが期待されています」。 このような生体内で分子が動く仕組みを、人工的に再現しようという研究は、さまざまに行われてきました。しかし、光をあてると分子が回転するといった、単純な動きの再現にとどまっていました。ところが金原数教授は複数の部品を組み合わせることにより、複雑な動きをする画期的な分子機械を開発しました。分子をつかまえて、ひねる「光駆動分子ペンチ」です。複数の可動部品を連動させナノの世界で様々な機能を実現 「分子ペンチは、光によって伸縮運動を行うアゾベンゼンと、ベアリングのような軸回転運動を行うフェロセンを組み合わせて実現しています。ユニットが連動することにより、 光に応答してハサミのように動く道具を作り出すことができました」。 この分子ペンチは、光によって伸縮運動をする物質と、軸回転運動を行う物質を組み合わせて、今までになかった人工的に構成されたハサミのような分子機械を作っています。紫外光をあてると柄の間隔が狭まって刃先が開き、可視光をあてれば元に戻ります。その繰り返し運動により、つかまえた分子を“ねじる”という仕事を実現しています。金原教授が開発した分子機械のひとつである分子ペンチ。分子ハサミの「刃」の部分に2つの亜鉛ポルフィリンを結合させた分子のモデルです。複数のパーツを超分子化学的につなぐことで、巨大な分子機械を作り出すことができます。07FOREFRONT REVIEWTAGEN FOREFRONT 43