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概要

TAGEN FOREFRONT 03

佐藤卓教授が施設利用したことがある世界の中性子施設(2カ所は滞在のみ)。青いドットが加速器タイプ、赤いドットが原子炉タイプ。Japan:JRR-3、J-PARC、KUR(滞在のみ)Korea:HANAROIndonesia:BATANAustralia:ANSTOUS:NIST、LANSCE、ORNL/HFIR、ORNL/SNSFrance:ILLGermany:HMISweden:ESS(滞在のみ)TERM INFORMATION幅広い分野に利用されています。中性子散乱分光器施設においては、東北大学が管理する装置、東京大学が管理する装置、京都大学が管理する装置が定められていて、それぞれの研究実験を行うなど、JAEA内の使用だけではなく施設供用制度のもとで研究課題が募集され、外部機関の利用も進められています。「JRR-3において全国の研究者に汎用熱中性子三軸型分光器(GPTAS)を開放するという担当を私がやっていました。東大物性研で管理していた装置は、現在も東北大多元研の私が管理しています。ただ震災以降は稼働していません」。 もう1つは、「J-PARC」。高エネルギー加速器研究機構(KEK)とJAEAが共同で、同じく東海村に建設した大強度陽子加速器施設で2008年12月より供用を開始しました。素粒子物理、原子核物理、物質科学など幅広い分野の最先端研究を行うための施設群で、施設の中の1つHRC(高分解能チョッパー分光器)は、格子振動とその分散、磁性体におけるスピンや軌道の素励起、強相関電子系における相互作用などの高分解能測定を可能にするもので、2011年当時、佐藤卓教授は装置担当者の1人でした。 中性子散乱は、JRR-3のような研究用原子炉線源によって確立し発展してきましたが、2000年代後半に至り、J-PARCのような加速器による中性子源の出現により新しい時代へと移り変わったと言えます。施設利用を超え共同して取り組む研究 国外の中性子散乱施設は、たとえば韓国に1カ所、オーストラリアに1カ所、米国には佐藤教授が研究員をしていたこともあるアメリカ国立標準技術研究所(NIST)が運営する研究用原子炉など複数あり、世界では20数カ所の施設があるとされています。佐藤教授は、これら国内外の施設の多くに出向いて中性子散乱研究を実行しています。 「世界のどこで行うにしても、研究計画を提出して審査され採択されて、初めて実現できるわけです」。国内施設にしても海外施設にしても、常に研究施設の情報を把握して連携しておくことが重要な準備段階になると言えます。「共同して新しい研究に立ち向かう、共同研究というとらえ方が大切ではないかと考えています」。世界の中性子散乱施設への出張が必然的に多く、研究室のスタッフを同行していっしょに学ぶ貴重な機会となっています。アメリカロスアラモス国立研究所は、米国エネルギー省の管轄する国立研究所であり、軍事研究から中性子散乱研究のような基礎研究まで幅広い研究が行われている。極めてセキュリティが厳しく、所内での写真撮影が許されないため、実験に参加した学生をロスアラモスの町を背景に撮影。VBS共有結合固体。電子の反強磁性シングレットペア波動関数が結晶全体に広がらず、局所的にとどまる状態をさす。シングレットペアの運動が静止している状態があたかも固体のようであるため、共有結合固体の名称が与えられている。JRR-3日本原子力研究開発機構保有の研究用原子炉。昭和37年に初の国産研究炉として建設され、平成2年の大規模な改造を経て、現在わが国最高性能の研究用原子炉である。医療用ラジオアイソトープやシリコン半導体の製造等の産業利用から、中性子ビーム実験等の基礎研究まで幅広く利用されている。J-PARC日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が共同で設置運用している大強度陽子加速器施設。素粒子・原子核物理学研究から物質・生命科学研究、さらには産業利用まで幅広い分野で利用されている。J-PARCの作り出す粒子線にはニュートリノ、K中間子、ミュオン、中性子等さまざまなものがあり、それぞれが種々の実験に使用されている。汎用熱中性子三軸型分光器(GPTAS)原子炉における一般的な中性子非弾性散乱分光法である三軸分光法を用いた分光器であり、物質科学研究に広く使用できるため汎用熱中性子三軸型分光器と呼ばれている。モノクロメータおよびアナライザーに結晶のブラッグ反射を使用することで中性子の波長分析を行う。波数・エネルギー空間を局所的に精密に調べることに長けた分光器である。高分解能チョッパー分光器(HRC)J-PARC 物質生命科学実験施設に高エネルギー加速器研究機構と東大物性研が共同で建設した非弾性散乱分光器。フェルミチョッパーと呼ばれるデバイスを用いることで入射中性子を単色化する。波数・エネルギー空間中の極めて広範囲を高いエネルギー分解能で一度に測定することが可能である。TAGEN FOREFRONT 40