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概要

TAGEN FOREFRONT 03

 東北大学多元物質科学研究所は、選鉱製錬研究所・素材工学研究所、科学計測研究所、 非水溶液化学研究所・反応化学研究所の旧3研究所が、2001年4月に統合して発足した日本で2番目に大きな大学附置研究所です。英語名は、Institute of Multidisciplinary Research for Advanced Materials (IMRAM)です。「多元のシーズを世界のニーズに」をキャッチフレーズとして、多元物質科学に関する基礎と応用の先端的研究を推進すると共に、東北大学の4研究科(理学・工学・環境・生命)と協力して世界的視野で考え行動できる指導的人材を育成し、地域と世界に貢献することを目指しています。 さて、そもそも「多元物質科学」とは何を意味するのでしょうか? まず一つには、無機・有機・生体などの物質を融合した多元的物質を科学するということを意味します。21世紀はカーボンファイバー複合材料が飛行機に使われるなど、多様な物質をナノからマクロまで複合化した新しい素材が注目されています。新しい複合素材を開発する上でキーとなるがナノテクノロジーです。多元研ではナノメートルの空間で無機物と有機物を合成・複合することにより、全く新しいマテリアルを創製する研究も行っています。これらは電子部品や蓄電池や光デバイスなどに使われ省エネルギーや安全安心社会に貢献しています。バイオ・医療の分野でもナノサイエンスが新しい可能性を切り拓いています。ナノサイズのキャリアに薬を乗せ、目標とする患部のみに薬を運ぶドラッグデリバリーシステムもその一つです。 多元物質科学のもう一つの意味は、Multidisciplinaryという英語標記からも分かるとおり、一つの見方にとらわれずに様々な視点で物質科学を作って行こうというものです。物理や化学や生命や工学や環境科学など様々な学問的視点を総合した新しい物質科学の創出を目指します。すなわち地球環境を守り持続可能(サステナブル)な社会の実現に向けた物質科学として、1マテリアル(素材)、2プロセッシング、3メジャメント(測定)の3つの方向に注力しています。新しい素材の探索・合成や機能開発はもちろん、その素材の資源確保や省エネ生産技術、利用時の安全性や経済性、さらには廃棄・リサイクルされる事までを視野に入れたトータルなプロセスを研究しています。そして、それらの研究を支える技術として、新型電子顕微鏡をはじめX線・レーザーなどを用いた新しい測定技術の研究開発も行っています。 この3つの方向性を実現するために、4つの基盤的部門(有機・生命科学研究部門、 無機材料研究部門、プロセスシステム工学研究部門、計測研究部門)と、4つの重点研究センター(サステナブル理工学研究センター、先端計測開発センター、高分子・ハイブリッド材料研究センター、新機能無機物質探索研究センター)を設置しています。これにより多元物質科学の基盤となる部門をしっかりと守り育てながら、喫緊の社会的要請に集中的 かつ迅速に対応できるような体制を構築しています。 全国的・国際的な共同研究も精力的に進めています。例えば、北大電子研‐東北大多元研‐東工大資源研‐阪大産研‐九大先導研という全国5附置研究所をつないだ ネットワーク型共同利用共同研究拠点として認定され、全国からの共同研究を行っています。また、日仏共同研究プロジェクトFrontier2013を始め多くの国際連携研究を推進しています。さらに、2012年からはレアメタル・グリーンイノベーション拠点や東北発素材技術先導プロジェクトの希少元素高効率抽出技術拠点と超低摩擦技術拠点などの大型プロジェクトも走り出しました。 これからも、 一歩一歩着実に研究・教育に努め、更なる発展に向けて教職員・院生・学生が力を合わせて進んでまいりますので、皆様の変わらぬ御支援を宜しくお願いいたします。東北大学多元物質科学研究所 所長KAWAMURA, Junichi河村純一多元の可能性が新しい世界を拓くTAGEN FOREFRONT 3