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概要

TAGEN FOREFRONT 03

地震と津波で被災した水田を製鋼スラグを利用して復興OFF TIME海外旅行が好きなんです。ローマ法王にも会いましたよ 旅行が好きなんですが、温泉はあまり好きではないんですね。国内旅行より海外が好きです。出張で行くのも苦になりません。呼ばれれば行くし、呼ばれなくても行くし…。国際会議があれば、すぐ出かけて行きます。現地で現地のお酒を飲んで、現地で現地のものを食べる。これが最高ですね。 時々はプライベートで家族旅行もします。去年はシアトルにイチローが元気なうちにマリナーズのユニホーム姿を見ておこうと行ったのですが、出発前日の臨時ニュースで移籍が決まってしまいました。そのおかげで、ヤンキースのユニフォームでしたが、シアトル最後のイチローが見れました。 やはりヨーロッパが好きですね。娘がローマに行ってるので、今年は現地で集合して観光旅行。ミサの時間にローマ法王に会うことができました。感激でしたね。テレビで見た貝殻での除塩これならスラグが使える、と思い立つ 「震災後のある日、テレビを見ていて沿岸部の田んぼで貝殻をまいて除塩をしているのを見たのです。なぜ、貝殻なんだろう?と思いましたね。アルカリになっているところにアルカリのものを入れるなんて…」 東日本大震災では沿岸部田園地帯に津波による塩害が発生。調べてみると、これは海水からのナトリウムが土壌粒子に吸着して団粒構造が破壊されるというものでした。この土壌にナトリウムより吸着しやすいカルシウムを蒔くことにより、ナトリウムを追い出すことができるというわけです。この仕組みを聞いて北村教授はアイデアが浮かびました。 「もともとスラグは肥料として使えることは知られていたのです。すでに肥料として登録はされています。ただカルシウムが出てしまうので、そこが問題でした。今回はカルシウムが出ていいということなのでお得意のところです。さっそく大学本部に相談し農学部の専門家を紹介してもらって、共同で沿岸部での実験に入りました」。 石巻、東松島、岩沼の水田を借りて試験を実施。細かく砕いた製鋼スラグを、ふつうの肥料のように水田に蒔きました。通常のマニュアルでは塩害には対しては石膏を蒔くことになっているので、比較実験を行ったところスラグを使用した場合の方が10%ぐらい収量が増えていました。スラグに含まれる鉄によって、つもった泥が引き起こす硫化水素の害を抑えられたり、表土を流された土地に多様な栄養をもたらしたりすることで好結果になったと考えられます。「1年目も収量が良く、2年目も良く、農学関係の先生も驚いていました。稲作にはかかせないケイ酸の供給能力が高いことに皆さん興味を持たれたようです」。他の農家さんも使っていただけるといい この結果を受けて農業関係者からも「塩害の地域に限らず、他の地域の田で使えるのではないか?」という声が上がってきました。米価が下がっている状況の中で、なかなか肥料を使えない農家もあり、このスラグ系の肥料は有効になるのではという意見もあります。 「どんどん宣伝するが、資材自体は大丈夫なのか?という心配をされる方もいます。スラグはいっぱいありますから大丈夫ですと、答えています」。05FOREFRONT REVIEW東日本大震災の津波により沿岸部田園地帯では塩害が発生。宮城県では津波により15,002haの農地(約9割が水田で県全農地の約10% )が被害を受けました。細かく砕いた製鋼スラグを、ふつうの肥料のように水田にまくことにより土にカルシウムを補給し塩害の原因となるナトリウムを土から取り除くことができることが判明。研究室にて検証が行われています。津波で被災した水田に製鋼スラグを施用。その結果、稲が良く実りました。10%ぐらい収量が増えたと言います。TAGEN FOREFRONT 33