ブックタイトルTAGEN FOREFRONT 03
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TAGEN FOREFRONT 03
スラグの処理など資源戦略に基づく環境調和型鉄鋼精錬プロセスの構築MY FAVORITEやっぱり宮城の日本酒、日本のビールがおいしいですよね 鉄鋼会社に勤めていたのですが、ものすごく飲むところなんです。新入社員の歓迎会でヘルメットにつがれたお酒を飲んだり…。そういうところで育ってきたので酒は強いし、好きですね。 九州の八幡や千葉県に住んでいましましたが、やっぱり東北のお酒が一番おいしいですね。もちろん、ボクにとっての一番ですが。ビールも外国出張の時、ドイツや、チェコや、イギリスのビールを飲んだのですが、日本のビールがきめ細かくて最高ですね。 研究室は中国や韓国からの留学生が多いのですが、研究室でも宴会が多く、会議室を使って学生が作った料理でインターナショナルパーティをしたりしています。そういうのが楽しいですね。修士の発表会の後には自宅でホームパーティをやるのが習わしになってしまっています。スラグの処理をどうするか?鉄鋼産業に突きつけられた問題を研究 多元物質科学研究所の前身の研究所のひとつ、素材工学研究所(発足時は選鉱製錬研究所)は鉱石から金属を取り出す技術である製錬を研究するために創立されました。鉄鋼製錬は製銑と製鋼に分けられますが、選鉱製錬研究所に1945年に製鋼研究室が創設されました。現在、北村研究室が担っている 基盤素材プロセッシング研究分野はそれから延々と今にいたるまで続いている研究分野です。 北村信也研究室の研究テーマのひとつが鉄鋼製造工程において副産物として発生する「スラグ」の処理です。粗鋼1トンを作る時に高炉スラグが約290kg、製鋼スラグが約110kg出てきます。基本的には有害な成分は含まれていませんし、土と同じような成分です。 水砕された高炉スラグは潜在水硬性があるためセメントとして広く利用され海外へも輸出されています。 製鋼スラグは水硬性があり大きな支持力が期待できることから、道路路盤材として使われます。「しかし、最近はあまり道路を作らなくなっていますので、この製鋼スラグをどこに使おうかという問題が深刻化しています。アルカリ性が強く水に触れると膨張したり水が白濁するなどの使い勝手の部分で問題があります」。 この製鋼スラグの処理をどうするか?ということをクリアしないと鉄鋼産業自体に問題が出てきます。中国のバブル期においてスラグのストックヤードがなくて鉄が作れなくなる恐れが現実味を持った時代が実際にありました。「大量に処理してもらえる分野・手法・仕組みを開拓することが緊急に求められています」。スラグから貴重なマンガンとリンを分離・抽出する手法を開発 スラグの効率的な処理として北村研究室で研究している問題解決方法は以下のとおりです。 「スラグの中には価値がある元素が残っています。これを抽出しましょうという発想です」。 製鋼スラグには重要な合金元素であるマンガンが多く含まれています。「その量は資源として海外から輸入している量に匹敵しますが、現状は全く有効利用されていません。うまく取り出す方法を確立すれば我が国の資源開発にとって大きな意味があります」。 スラグから単純に還元すると不純物でスラグに含まれるマンガンとリンを回収する。この課題に対し、鉄やマンガンは硫化物を形成するがリンは硫化物を形成しないという化学的特性に着目。溶融硫化物相を生成させてリンとマンガンを完全に分離する手法を研究しています。05FOREFRONT REVIEW鉄鋼製造工程において副産物として発生するスラグをどう処理するか? この問題は鉄鋼産業そのものの問題となっています。北村研究室では、効率的にスラグを処理・活用する手法を研究開発しています。TAGEN FOREFRONT 31