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概要

TAGEN FOREFRONT 03

1962年、富山県生まれ。東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程修了。工学博士。㈱日立製作所基礎研究所主任研究員、欧州シンクロトロン放射光研究機構客員研究員、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻助教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻准教授、2012年より現職http://mml.tagen.tohoku.ac.jp/index.html多元物質科学研究所量子ビーム計測研究分野 教授MOMOSE, Atsushi百生敦位相で見るという新しい発想X線位相計測が世界を変える X線などの量子ビーム。透過するか、吸収されるか、という差異によって、原子スケールから日常スケールまで、幅広い範囲で物質の構造を白と黒の「コントラストのある像」として映し出してくれます。 しかし、この量子ビームには物質の種類や形態によって適用範囲が制限されます。例えば柔らかいものは、そのコントラストが低く、像として鮮明に映し出すことができません。 「位相で見る」。 この発想の転換により、百生敦教授は、量子ビームによる画像計測の世界に革命をもたらしました。 普段は検出されない「位相に基づくコントラスト」を利用することにより、量子ビームの利用価値は桁違いに膨らみます。 どのような仕組みで新しいコントラストのある像を描くか?  百生研究室が開発した技術は、格子を透過した光が一定の距離で格子そのものの像を結ぶという19世紀に発見された「タルボ効果」という原理を活用し、X線位相計測に基づく高感度画像計測を行うというものです。この計測技術によって従来の常識を覆す数々の成果を世界に発信してきました。シンクロトロンのような特殊な光源を要しないので、様々な分野での実用化の可能性が広がっています。 医療の分野では、病院で使われているX線源を用い、タルボ・ロー干渉計による革新的X線撮影装置を実現しました。この装置を用いて臨床の医師によって得られた結果は、本装置が医療用画像診断装置として高い有用性を持つことを示しています。 さらに、製品検査やセキュリティのためのX線非破壊検査装置などとして広く役立てられることが可能であると期待されます。 他では実現できない実験環境構築と先端計測研究を推進するとともに、実用展開を視野に入れた多くの共同研究を行っています。03FOREFRONT REVIEWTAGEN FOREFRONT 18