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概要

TAGEN FOREFRONT 03

1954年宮城県生まれ。1980年東北大学大学院理学研究科化学第二専攻博士前期課程修了。1980年東北大学非水溶液化学研究所助手、1994年東北大学反応化学研究所助教授、2002年(独)物質・材料研究機構ナノマテリアル研究所主席研究員、2002年(独)産業技術総合研究所客員研究員、2006年より東北大学多元物質科学研究所教授。2010年日本化学会第27回学術賞受賞。http://www.tagen.tohoku.ac.jp/modules/laboratory/index.php?laboid=35東北大学多元物質科学研究所 副研究所長高分子・ハイブリッド材料研究センター有機ハイブリッドナノ結晶材料研究分野 教授OIKAWA, Hidetoshi及川英俊有機ナノ結晶の基礎の確立から有機・無機の複合による新たな展開へ かつて、有機ナノ結晶とは未踏の分野であり、その作製手法すら確立されていませんでした。そういうものが室温下で安定に存在できるのかという科学的認識もなかった状況です。そのような時代から、及川英俊教授は、有機ナノ結晶研究の草分けの一人として関わってきました。再沈殿現象を利用した作製手法である「再沈法」が見出され、以降はこの極めて汎用性の高い手法によって、さまざまな光・電子機能性を持つ特徴的な共役有機分子のナノ結晶化に取り組み、成功させてきました。 そもそも有機ナノ結晶とは、1つの有機分子と、それに対応するバルク結晶との中間に位置するものですが、そのいずれとも異なる結晶構造や物性の発現が期待されるものです。有機ナノ結晶のサイズに強く依存した、非常に個性的な性質が現れる可能性があり、そこに及川教授が魅了され、今に至る継続的な研究に取り組んできた所以でもあります。 さまざまな有機ナノ結晶の研究成果は、かつてその存在すら不明だったことを思えば、実際に物を作ってみて、初めて明らかにできたと言えます。こうして有機ナノ結晶科学の基盤が確立されるに至り、それは材料物性や光・電子機能性有機・高分子材料分野での新しい学術領域となりました。 さらに研究の手法と領域は広がり、有機物質と無機物質におけるナノレベルでの複合による新しい物性の探求、その複合ナノ構造体から発現する次世代光デバイスの基礎となるフォトニクス材料の開拓など、明快な指標を見据えた、新たな展開が期待されています。02FOREFRONT REVIEWTAGEN FOREFRONT 12