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概要

TAGEN FOREFRONT 02

1957年、新潟県生まれ。東京大学大学院工学系研究科 博士過程修了。工学博士。日本学術振興会特別研究員(東京大学工学部)、東京大学工学部化学工学科 助手、東北大学工学部生物化学工学科 助手、東北大学工学部生物化学工学科 助教授、東北大学 多元物質科学研究所教授、2007年より現職http://www.tagen.tohoku.ac.jp/modules/laboratory/index.php?laboid=49原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)教授多元物質科学研究所 プロセスシステム工学研究部門超臨界ナノ工学研究分野 教授ADSCHIRI, Tadafumi FOREFRONT REVIEW阿尻雅文「超臨界反応技術」を応用して新しい「超ハイブリッド材料」を創出 いままで物質の抽出・分離に使われていた超臨界流体を「反応」に使えないかと考え、超臨界水を反応場とする連続反応技術を発明。阿尻研究室では今、バイオマス・重質油の改質、プラスチックス等廃棄物のリサイクル、ナノ粒子合成、有機合成等、「超臨界反応」を用いた様々なプロセス開発を行うとともに、超臨界反応でしか合成できない有機・無機ナノ粒子を用いた次世代のハイブリッド材料の実用化技術を研究開発しています。 「超臨界反応技術」。この聞き慣れない言葉から、新しい技術革新が行われています。 物質は、一般に固体、液体、気体のいずれかの状態をとりますが、温度と圧力を上げていき、ある時点(臨界点)を越えると、液体のように物質を容易に溶解し、しかも気体のように高い拡散速度を示す、液体と気体の両方の性質をもつ状態になります。この状態の物質を「超臨界流体」とよびます。 阿尻研究室では、この超臨界流体を新しい物質・材料を作る「反応場」として利用し、バイオマス・重質油の改質、プラスチックス等廃棄物のリサイクル、ナノ粒子合成、有機合成等、様々なプロセス開発を行っています。最近では、有機分子・無機材料がナノレベルで融合した「有機・無機ハイブリッドナノ材料」の創製にも挑戦しています。現在、その合成機構の解明を進めるとともに、ナノ粒子をあたかも新しい分子とみなし、分子と同じように流動させたり、分離したり、結晶や、高分子をつくったりする方法を研究しています。 この技術は、様々な新材料開発に展開できます。そのナノ材料を高分子の中に均一に分散させることで、高分子と無機材料の相反機能を同時に発現させる「超ハイブリッド材料」、磁性・誘電・半導体材料等の配列により、自然界では得られない新しい特性を発現させる「メタマテリアル材料」、マルチイメージングとDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)機能を兼備する「スーパーDDS」の創製をめざしています。当研究室でこのような今までにない研究ができるのは、物理に立脚して新しい物性を予測したり、超臨界反応のプロセス研究に、ナノテク、そしてバイオを融合させたり、さらには計算科学の支援を受けてそれを達成させていくといった多角的な視点での研究を行っているからです。 また基礎科学研究のみならず、その成果を社会へと巣立たせる、超臨界技術の産業技術基盤化のための研究も精力的に行っています。現在、超臨界ナノ材料技術開発コンソーシアム(参加企業約80社)を設立していて、産業への応用や国家プロジェクトの提案などを積極的に推進しています。01FOREFRONT REVIEWTAGEN FOREFRONT TAGEN FOREFRONT 5 6