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概要

TAGEN FOREFRONT 02

セラミックスのパノスコピック形態制御材料の環境調和機能の高度発現OFF TIME山の空気、高原の空気を吸いに出かけています 暇な時に山登りやハイキングをし、温泉に泊まったりしています。生まれ故郷の岩手ですと、岩手山、早池峰山、焼石岳、宮城県ですと、泉ヶ岳や蔵王などに出かけています。  この前、名古屋の方に行く用事があったのですが、ちょっと足を伸ばして黒部峡谷まで行きました。高原にいくと本当に空気がよくてリフレッシュできますね。 研究室のメンバーとは毎年8月と3月に小旅行にいきます。研究室を離れて学生さんたちと話をするのも楽しいし、開放的な気分になれますね。若い人たちとの交流も、楽しいものです。球状ナノ粒子・球状サブミクロン粒子・板状ミクロン粒子という形態の異なる酸化セリウム粒子の合成を行うことにより、紫外線遮蔽材(日焼け止め化粧品・プラスチック安定化剤)などの化粧品や自動車排ガスを浄化する環境浄化触媒への応用が可能になります。TERM INFORMATION動摩擦係数二つの物体が接触している 際に、接触面間の相対ずれ運動を開始した後からその接触面に平行な方向に働く力。動摩擦係数の小さな粉体は、肌に塗布した時の滑り性がよく、使用感が優れています。層状複水酸化物一般式 [M2+1-xM3+(x OH)2[]A nx/n・yH2O]で示される化合物。M2+はMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどの二価金属イオン、M3+はAl、Cr、Fe、Co、Inなどの三価金属イオンです。水酸化物基本層は二価金属イオンの一部を三価金属イオンが置換(固溶)することにより正電荷をもち、その電荷を補うために中間層へ陰イオンを取り込んで電気的中性を保っています。粘土鉱物の一種に分類され、陰イオン交換能をもつことから陰イオン性粘土やanionicclayとも呼ばれています。熱線遮蔽効果熱線(赤外線)を遮蔽する効果。太陽エネルギーの約半分は赤外線であり、熱線遮蔽材料を窓ガラスに塗布すると室内の温度上昇を抑制することができ、エアコンの消費電力を削減できます。レイリー散乱光の波長よりも小さいサイズの粒子による光の散乱。空が青くみえるのは太陽光が大気中の微粒子で散乱されるレイリー散乱によります。散乱の量は粒子の大きさの6乗に比例することから、ナノ粒子ではレイリー散乱が小さくなり透明になります。非鉛圧電材料鉛を使用しない圧電材料。電圧をかけると結晶が歪む圧電セラミックス材料としては、現在、優れた圧電特性を示す鉛系のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックスが、圧電アクチュエーター、圧電振動子などの精密部品として、電子機器や自動車に使用されています。欧州では鉛、水銀、カドミウムなどの有害元素の使用を禁止する法律(RoHS〈ローズ指令〉)が2006年7月から施行されましたが、圧電材料については、PZTに匹敵する特性を有する材料が無いことからRoHS指令が適用されていません。しかし、低環境負荷の非鉛系圧電材料の開発が急速に推進されています。圧電体物質(特に水晶や特定のセラミック)に圧力(力)を加えると、圧力に比例した分極(表面電荷)が現れる現象を圧電効果と言います。また、逆に電界を印加すると物質が変形する現象は逆圧電効果とも言われるが、この現象も含めて圧電効果と呼ぶ場合もあります。これらの現象を示す物質は圧電体と呼ばれ、ライターやガスコンロの点火、ソナー、スピーカー等に圧電素子として幅広く用いられています。肌の健康を目指すセリア形態制御と紫外遮蔽特性 佐藤研究室では、様々な分野の企業と連動して研究開発を進めています。化粧品メーカーもそのひとつ。 「現在広く利用されている有機系紫外線吸収剤は人体への吸収により健康被害が懸念されています。安全性の高い無機紫外線遮蔽材料として酸化チタンや酸化亜鉛のナノ粒子が使用されていますが、ナノサイズの酸化セリウム(セリア)に注目しました。 セリアは紫外線を吸収する性質をもっていますが、有機物を酸化する活性が高いため、日焼け止め化粧品に使用されませんでした。そこでドーピングによりこの欠点を克服し、日焼け止め化粧品やプラスチックの安定化剤として使用されるようになりました。セリアは透明性が高く白くならないため自然な化粧ができます。」 無機紫外線遮蔽材の問題点は、無機ナノ粒子は凝集が激しく、肌に塗布した時の感触が悪いということ。 「そこで、化粧品に汎用されている雲母と類似の形態を有する雲母状チタン酸を合成し、その上にセリアナノ粒子を被覆したハイブリット粒子や雲母状セリアを合成しました。人工皮革上に塗布し動摩擦係数を測定したところ、化粧品に使用されているタルク/酸化チタンと同様に低い動摩擦係数を示し、肌に塗布した時の感触を向上できることがわかりました。」 ソルボサーマル反応により生まれた新しい紫外線吸収剤。パウダーファンデーション化粧品として活用できるようさらなる研究が進んでいます。 その他、ソルボサーマル反応でナノ粒子を作ると輝度の高い蛍光材料ができることを利用して、動態イメージングに使えるナノ粒子蛍光体、薬剤輸送システム応用に向けた層状複水酸化物の形態制御等、人の健康に関する取り組みに力を入れています。エネルギーの高効率化など様々な分野で活かされる技術 さらなるテーマとしてある、エネルギーの高効率化というテーマ。例えば、赤外線(熱線)遮蔽材料の開発により実現しています。 「太陽エネルギーの半分を占める赤外線(熱線)を遮蔽することにより、エアコンの使用量を少なくできます。現在、熱線遮蔽材としてITO(スズドープ酸化インジウム)が利用されていますが、ITOより高性能なタングステンブロンズナノ粒子を合成しています。」 合成されたタングステンブロンズは、レイリー散乱が抑制され可視光透明性に優れる20nm程度のナノ粒子となっています。波長の短い赤外線の遮蔽効果がITOより優れています。 「タングステンブロンズナノ粒子は優れた赤外線遮蔽特性を有し、太陽光の熱線を遮蔽する窓材等に使用されているITOの代替材料として期待できます。また、生体に安全な赤外線を吸収し熱エネルギーに変換可能であるためがんの温熱治療、紙幣偽造防止用インク等、多様な用途が期待されています。」 それ以外に、「非鉛圧電材料」の開発もソフト化学反応による環境調和、エネルギー変換、健康維持に貢献しています。 圧電材料とは圧電体に加えられた力を電圧に変換する圧電効果を利用した受動素子です。この圧電材料を鉛を使わずに作ることを目指しており、環境に配慮したものとなっています。組み合わせることで可能性は無限に広がる 環境調和・エネルギーの高効率利用・健康維持。このテーマに向けて佐藤研究室のソルボサーマル反応による機能性セラミックス材料の創製の取り組みは続いています。今後の研究の方向性をどのように考えているのでしょうか? 「有機材料の分野では、主に炭素、水素、酸素の3つの元素を利用して、様々な機能性材料が開発されています。現在、118種類の元素が報告されております。これらを組み合わせることによって、さらに多様な性質を出せるようになります。その可能性は無限に広がります。」 元素の中には、コバルト・ニッケル金属など、近い将来地球上で資源が枯渇してしまいそうなものが多くあります。 このような希少な元素が使われているところを、もっと地球上に大量にある元素に置き換えていくことによって環境にやさしい、効率のいい社会が生まれてくると佐藤教授は考えています。 「形態の制御と元素の組み合わせでニーズにあった材料開発をしていくことを考えています。産業化の鍵は時代のニーズにあっていることとプロセスがシンプルだということです。」医療、医薬品、宇宙、自動車、建設、エネルギー、エレクトロニクス、フォトニクス、大分子用触媒、膜分離、センシング、電池用電解質、 光学分割、骨インプラント材、マイクロマシンなど様々な分野に活用できる技術を開発しています。環境調和・エネルギーの高効率利用・健康維持。このテーマに向けて佐藤研究室のソルボサーマル反応による機能性セラミックス材料の創製の取り組みは続いています。04FOREFRONT REVIEWTAGEN FOREFRONT TAGEN FOREFRONT 27 28