ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

TAGEN FOREFRONT 02

セラミックスのパノスコピック形態制御材料の環境調和機能の高度発現セラミックスのミクロ・メソ・マクロ構造の階層的(パノスコピック)制御による機能性の高度発現を実現。環境調和、エネルギーの高効率利用、健康維持に貢献する機能性セラミックス材料の創製を行っています。TERM INFORMATIONパノスコピック制御物質の形態をナノ領域からミクロ領域およびマクロ領域まで、階層的に制御すること。これによってナノ材料、ミクロ材料及びバルク材料の機能を併せ持った高機能性材料の創製が期待できます。高結晶化度結晶中の欠陥の少なさ。欠陥を減少させると結晶のもつ本来の機能を高度に発現させることができます。光触媒光を照射することにより触媒作用を示す物質の総称。通常の触媒プロセスでは困難な化学反応を常温で引起こしたり、光エネルギーの注入により化学物質の自由エネルギーを増加させる反応を起こすこともできます。酸化チタン光触媒が、セルフクリーニング、脱臭、抗菌等の分野で実用化されています。窒素ドープ結晶の物性を変化させるために少量の窒素を添加すること。酸化チタンの酸素の一部を窒素で置換すると、可視光応答性光触媒となることから注目されています。均一沈殿化学反応を利用して沈殿剤を試料溶液中に緩やかに発生させ、溶液全体で均一に沈殿を生成させる方法。この方法で生成した沈殿はさらさらしたものとなり、高活性の良質な粉体となりやすい。水熱処理高温高圧の熱水の存在下で行われる化合物の合成あるいは結晶成長のことで、常温常圧では水に溶けない 物質も容易に溶解するため、通常は得られないような物質の合成、成長が可能となります。地球環境・人間の健康そしてエネルギー高効率利用へ いかに物質を、サイズや形態によって制御し、特異な物性を発現させるか。佐藤研究室の「セラミックスのパノスコピック形態制御」という手法は、ナノ材料からミクロ材料、バルク材料まで階層的に形態を制御することにより、ナノ・ミクロ・パルクの機能を併せ持ったインテグレート機能を発現しようというものです。 そして生み出される多彩な発現機能をもとに、地球環境・人間の健康・エネルギー高効率利用の研究をしようというのが佐藤研究室のねらいです。 「私が、環境調和というものに興味を持ったのは、私が学生時代だった1960年代頃で、公害というものが社会的な問題としてクローズアップされた時です。我が国では、四日市喘息や光化学スモッグ等の公害の経験を経て、世界一の排煙処理技術を開発してきました。その技術の中でも重要な石灰―石膏法による排煙脱硫技術の重要な部分を発明したのが東北大学の化学の先生だったのです。私もその潮流に影響を受け、ドクター論文も排煙脱硫吸収液の副生物の処理法に関係するものでした。」ソルボサーマル反応による環境調和機能セラミックスの創製高温の水および非水溶媒を用いる反応 佐藤研究室の中心的なメソッドは「ソルボサーマル反応による環境調和機能セラミックスの創製」というものです。 ソルボサーマル反応はSolvent(溶媒)+Thermal(熱)という言葉が示すように、高温、高圧の溶媒中での溶解、分解、結晶化等の化学反応を言います。 「このソルボサーマル反応というプロセスを使うと、材料の表面修飾による凝集と分散性の制御ができ、高結晶化度・微結晶・形態制御・凝集制御が可能になります。その結果、環境調和機能の高いセラミックスが創製できます。」可視光応答性光触媒の合成による環境浄化機能の発現を研究 佐藤研究所が掲げるソルボサーマル反応を活用した環境調和機能の発現はどのようなものだろうか。 「環境にやさしい循環型社会形成のためには、間違いなく太陽エネルギーの高効率利用による化石燃料の使用量削減が必要です。その答えのひとつとして、光触媒反応があります。太陽エネルギーを利用する低環境負荷型化学プロセスとしての利用が期待され、既に滅菌、防汚、消臭等の分野で実用化されています」。 さらに燃焼排ガス中の窒素酸化物の除去、住宅内の揮発性有害有機化合物の分解、廃水浄化等の環境浄化への応用が検討されています。 「しかし、現在光触媒として用いられている酸化チタンは太陽光の5%の紫外線しか利用できません。もっと効率を高めるために、太陽光や室内灯の主成分である可視光を利用できる光触媒の開発が必要です。」 そこで近年注目されているのが、窒素や硫黄等のアニオンをドープした酸化チタン。可視光照射下で光触媒活性を示すことが見出され、太陽光を利用可能な次世代の光触媒として期待されています。窒素ドープ酸化チタ ンの合成は、気相法と湿式法が提案されていますが、いずれも最終的に400-600°C程度での高温焼成プロセスが必要とされており、焼成に伴う酸化チタン粒子の粗大化や窒素ドープ量の減少による活性低下等の問題があります。 そこで佐藤研究室が考えたのがソルボサーマル反応。三塩化チタン水溶液とヘキサメチレンテトラミンとの均一沈殿反応により得られる非晶質窒素含有酸化チタンを水熱処理することにより、高温焼成することなく優れた可視光応答性光触媒活性を有する窒素ドープ酸化チタンを合成することに成功しています。 その他、革新的自動車排ガス浄化触媒の開発も行っています。「自動車エンジンと三元触媒ということで自動車から排出される一酸化炭素(CO)・炭化水素(HC)・窒素酸化物(NOx)を同時に酸化もしくは還元して除去する仕組みを開発研究をしています。」工業的に実現するためには、難しい反応だとコストがかかってしまいます。簡単な装置で実現できるような工夫をしています。「電気炉加熱は250℃ぐらいまでであれば回転式電気炉で、それ以上の500℃500気圧であれば振とう式電気炉で合成を行っています。割とシンプルな機械でやっています。MY FAVORITE花や植物を種から育てるのが好きですね 花とか果物の種をまいて育てていくと楽しいですし、愛着もわきますよね。 10年程前ある展示会で記念品としていただいた苗木からオレンジの木を育ていました。花が咲いて、実がなって、新芽が出て…。来年はもっと実がなるとすごく期待したのですが、今年の寒い冬でダメになりました。やはり宮城県は柑橘類の北限と言われているので、育てるのは難しいですね。 今は、種からゆずの木を育てています。研究室は日当たりもいいし、スタッフの方も水をあげてくれますので、すごく期待しています。 温暖化の影響で柑橘類が育つのを夢見ています。佐藤研究室の様々な研究開発を支えるソルボサーマル反応。可視光応答性光触媒の合成による環境浄化機能の発現もこの反応を駆使して実現化を目指しています。04FOREFRONT REVIEWTAGEN FOREFRONT TAGEN FOREFRONT 25 26