ブックタイトルTAGEN FOREFRONT 02
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TAGEN FOREFRONT 02
力、熱、磁場などによる物質の構造変化OFF TIMEリフレッシュも兼ねて、テニススクールに通っています 若いことから体を動かすのが好きで、最近は運動不足気味なので、テニススクールに通っています。若いコーチと色々な雑談や冗談を楽しんでいます。若いコーチとのあるときの会話…若いコーチ:ボク、もうすぐ二十歳になります。年配受講生:おめでとうございます。では次の市長選で投票できますね。どうですか、○×さんは?若いコーチ:誰ですか、それは?年配受講生:(そうか現市長の名前を知らないのか)それでは総選挙には興味ありますか?若いコーチ:ボク、AKB のCDを3枚買ったので投票権があります。□△×に入れようと思います。年配受講生:誰ですか、それは?(お互いに知らないことが多いのである!)X線回折測定はガス雰囲気でも行うことができ、試料を各種の雰囲気ガス中で加熱しながら構造変化を調べることもできます。TERM INFORMATIONマルテンサイト変態相変態の中でも、拡散を伴わない構造相変態全般を指す。特徴は、個々の原子の拡散による変態ではなく、原子の大集団のせん断変形的運動による変態であること。X線回折X線は高速の陰極線が陽極に衝突したときに発生する放射線で。電磁波のうち、波長は紫外線より短く、γ(ガンマ)線より長い。この回折現象を物体の原子配列や非晶質・液体の構造などを調べるのに利用するのが、X線回折。シンクロトロン放射光磁界内で荷電粒子が光速に近い速度で円運動または螺旋(らせん)運動するときに放射される電磁波。高輝度のX線源としても用いられ、単に放射光ともいう。磁歪強磁性体を磁化するときにわずかな変形(ひずみ)が生ずる現象またはその変形をいう。磁気ひずみとも言う。構造解析物質の中の原子の三次元的な配列を決定すること。はじめは、結晶のX線解析像を使っていたので、X線結晶解析と言われてきたが、電子線等の解析、その他の分光学的手法も使われるようになった。分光学的手法物質が放射または吸収する光のスペクトルを調べて、その物質の成分を検出・定量する分析手法。X線吸収分光など。量子ビーム光量子、イオン、電子、中性子、中間子、ニュートリノなどのビームの総称で、これらのビームは、加速器や高出力レーザー装置、原子炉施設などでつくられる。形状記憶合金などでは力や熱によって結晶構造が変わる 鈴木研究室では、様々な無機系の物質・材料の中でも、特殊な挙動を示す金属や合金の構造解析、およびそれらの特性を制御にする研究も行っています。工業的な金属材料の研究開発は企業を中心に盛んに行われているのに対し、特殊な力学特性や磁性を示す合金の研究は大学等で行われています。例えば、機能性の形状記憶合金や磁歪合金の変形機構の解析もその例です。 「異なる金属を混ぜ合わせる合金は、添加する元素量や熱処理によって、不思議な変形挙動を示すことがあります。これらの特異な変形挙動を示す機能性合金を変形したときの構造変化、多くの結晶粒からなる合金(多結晶合金)における不均一変形などを明らかにする研究を行っています。」 多結晶合金に力が加わった時の微視的な変形過程を調べるために、通常は実験室のX線回折を用いています。最近では、マイクロビームのシンクロトロン放射光による回折実験などにより、多結晶合金における結晶粒の中の局部的な不均一歪について調べています。この先端的な成果を研究室の学生が学会に発表したところ、最優秀ポスター賞を選ることができました。 シンクロトロン放射光は、前に述べた金属の酸化還元反応を調べるのに利用することができ、多くの学生がスタッフとともに放射光施設に実験に行きます。磁場や振動に応答する磁歪材料 多くの材料中には周囲の環境を感知して応答するセンサーのような機能材料があります。磁歪材料は、その代表的なものであり、鈴木研究室でも研究を進めています。磁歪材料は、磁場に応答して変形するだけでなく、外部の力学的振動(周期的変形)に応答して磁力線を発生します。その磁力線をうまく利用すると、電気を取り出すことができます。東日本大震災のときには、手回し発電機で動くラジオや電灯を利用した人も多いかと思います。手回し発電機では手動回転を電気に変えていますが、磁歪材料を利用した発電デバイスでは、周期的な揺れ(振動)から電気を作りだすことができます。現在、小型電池がリモコン等で大量に使用され、使用後は廃棄されていますが、それらをこの発電デバイスで置き換えようと言うのが狙いです。磁歪材料には磁場に対して大きい歪を発生することが求められ、特殊な技術で磁歪の大きい材料を作ることを試みています。この研究は、震災後の復興プロジェクトとして企業との共同研究として始められました。物質・材料の多くの研究課題、国内外の連携、そして教育 鈴木研究室では、以上のような機能性の酸化物や合金に関する研究のほかに、循環型社会のための希少元素等のプロセス開発、クリーンエネルギーの利用技術等に関する課題にも取り組んでいます。個々の研究で得られた成果は社会還元していくことを目指しています。 各研究では、目的の情報を得るための解析手法を選び、必要によっては考案して、注目する物質・材料の実態に迫っています。解析手法には、構造解析法、組成分析法、顕微鏡観察法、分光学的手法などがあります。冒頭の写真は最新の飛行時間型二次イオン質量分析装置です。この装置は、多元研・技術室の支援を受けて維持・運営しており、研究所内の多くの共通機器も技術室の協力で維持されています。 実験において迅速測定(その場実験)や精密解析等が必要な場合には、高輝度のX線が得られる兵庫県にある大型放射光研究施設のSPring-8、茨城県にあるフォトンファクトリー、ときには佐賀県にある九州シンクロトロン光研究センターなどに行っています。なかなか正体がつかめないときは、必要に応じて学外の先生と連携することもあります。また、多元研では、茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設(J-PARK)での中性子ビームやSPring-8に隣接したX線自由電子レーザ(SACLA)などの最先端の量子ビーム施設を使っている先生もいらっしゃいます。多元研の先生がたは、研究所内にとどまらず国内外と連携して研究を推進していると言えるでしょう。 多元物質科学研究所は東北大学の一つの附置研究所で、幾つかの研究科からの大学院学生や学部学生も受け入れています。「学生の皆さんには個別テーマの研究を行いながら、広い領域の科学技術や社会全般に関心をもって、様々な能力を付けてもらいたいと考えています。」鉄系形状記憶合金に力を加えると、マルテンサイト変態が起こり、母相(緑色)の中に筋状に別な結晶構造の相(青色)が現れます。熱を加えるとマルテンサイトが元の母相になり、形状が元に戻ります。液相中でFe2+を含むグリ―ンラストを合成するときには、試薬中のFe2+が酸化しないように(大気に触れないように)、グローブボックスという大きな容器を用います。03FOREFRONT REVIEWTAGEN FOREFRONT TAGEN FOREFRONT 21 22