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概要

TAGEN FOREFRONT 02

1953年、福島県生まれ。東北大学大学院工学研究科博士課程修了。工学博士。日本学術振興会奨励研究員を経て、東北大学 助手、新日本製鐵㈱第一技術研究所、東北大学 助教授、新日本製鐵㈱先端技術研究所、東北大学 助教授、2005年より現職http://www.tagen.tohoku.ac.jp/modules/laboratory/index.php?laboid=33多元物質科学研究所 無機材料研究部門機能材料微細制御研究分野 教授SUZUKI, ShigeruFOREFRONT REVIEW鈴木茂機能性無機物質・材料の解析と制御最大限のポテンシャルを引き出す 結晶構造や粒子形態を制御した各種機能性酸化物の創製、高機能合金における微視的な組成や構造の制御、金属・合金のナノ粒子の合成のための基礎的・応用的研究等を行っています。物質・材料の評価には、X 線、電子線、イオンビーム等を用いた各種の解析法を適用し、解析結果を基に各物質・材料の諸特性を向上させることを目指しています。 鈴木研究室では、現在、機能性の酸化物や金属・合金を中心にして、無機系物質・材料の特性の発現機構の解明や制御等に関する研究課題に取り組んでいます。 我々の身の回りでは、鉄や銅などの金属がよく使われています。金属光沢の金属は、金属状態(鉄の場合Fe0)になっていますが、各種金属酸化物等では酸化状態(たとえばFe3+)にもなっています。そのような元素の化学状態の変化を酸化還元と呼びますが、それを利用した材料があります。例えば、リチウムイオン電池用材料として各種の金属酸化物が注目されており、それらの一つにリン酸鉄リチウムがあります。その中の鉄(Fe)がFe2+やFe3+の状態をとることにより、電池の充電や放電がおこります。研究室では構造解析や化学状態解析の手法を利用して、そのような金属の酸化還元過程を調べています。 鉄の酸化物の代表例である「鉄さび」。「鉄さび」の中の鉄の状態は一般にFe3+になっており、「鉄さび」は水酸化鉄、オキシ水酸化鉄、一般の酸化鉄などで構成されています。鈴木研究室では、金属鉄Fe0が水に溶解してできるFe2+などが凝集してできる中間的酸化物(グリーンラストに着目し、特殊な条件で合成したグリーンラストから各種の酸化鉄に変化する過程を、X線回折法、X線吸収分光法、電子顕微鏡法等を用いて評価しています。それらを基に、各種の鉄酸化物を制御する条件について研究しています。 さらに、様々な機能性合金の研究。現在、優れた力学特性、磁性などを示す合金の研究や開発が盛んに行われています。鈴木研究室では、特異な力学特性を示す機能性鉄系合金を変形したときの構造変化、例えば、応力負荷による面心立方晶から六方晶へのマルテンサイト変態を伴う変形などを解析し、合金の不均一な変形過程等を明らかにする研究を行っています。 それ以外のテーマとしては、特殊な方法で作製した金属や合金の超微粒子の結晶構造と磁性との関係の研究。元素固有のX線吸収端近傍における吸収スペクトルの解析や原子散乱因子の特徴的な変化などを利用することにより、特定元素の局所結晶構造や原子配列の規則度などを評価しています。03FOREFRONT REVIEWTAGEN FOREFRONT TAGEN FOREFRONT 17 18