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概要

TAGEN FOREFRONT 02

様々な疾患の原因となる遺伝子発現を化学的に制御するMY FAVORITEゆったり飲むお酒と、電子書籍がお気に入りです お酒が好きですね。日本酒、ワイン、どんなものでもいける口です。みんなでわいわいやりながら飲むお酒がいいですね。研究室でもコミュニケーションということで、よく飲み会をしています。ただ、強い酒を外で飲むとアレなので…。 家で飲む時はあとは寝るだけなのでブランデーやウィスキーなんかをゆったり飲んでます。 あと読書も好きです。出張などの移動の時は、電子書籍を読んでいます。東野圭吾さんなんかのサスペンスを読んでいると、時間を忘れてついつい読み進んでしまいますね。iPadには入れて置けば気軽に持ち運びできるのでいいですね。論文も入っていますが、疲れて寝てしまいますね。遺伝子の情報が細胞における構造および機能に変換される過程を「遺伝子の発現」。これらの遺伝子の発現が異常になると、様々な病気の原因になることがわかってきていますが、まだ詳細なプロセスは研究途上です。TERM INFORMATIONゲノム解析ゲノムとは遺伝情報全体のことであり、ゲノム解析は生物の持つゲノムの構造や情報を分析することである。ゲノム解析の最初の段階はゲノムを構成するDNA分子の塩基配列(GATCのならび)を決めることから始まる。ヒトゲノムの解析は2003年に終了が宣言され、ヒトゲノムの全塩基配列の解析が終了した。Non‐coding RNA(ncRNA)DNAからできるRNAのうちタンパク質に翻訳されないRNAのこと。最近の研究でほとんどすべてのDNAからRNAができることがわかってきており、多種類のncRNAの存在が発見されている。これらのRNAは遺伝子発現制御に重要な働きを持つことが次々とわかってきている。セントラルドグマセントラルドグマは「生物学の中心教義」とも呼ばれるもので、遺伝情報がDNAからRNAさらにはタンパク質の一方向に伝達されるという考え方。しかしRNAからDNAを作る逆転写酵素の発見により修正が必要となってきた。さらに最近のncRNAによる遺伝子発現制御機構の発見により遺伝情報伝達の機構はさらに複雑となってきている。人工分子人工的に作った分子のこと。様々な有用な機能の実現を目指して、多くの研究者がそれぞれの概念に基づき設計・合成を行い、様々な有用な機能を実現している。我々は特に遺伝子発現を化学的に制御できる人工分子について独自の概念に基づいて設計・合成し。細胞内での遺伝子発現制御に一部成功している。架橋反応架橋反応とは2つの分子間に共有結合を形成させる反応のことであり、高分子などの分子鎖間を化学結合により連結させる反応の総称に使われる。ここでは特に核酸に対して共有結合を形成する反応を示している。アルキル化反応アルキル化反応とは一般に置換反応あるいは付加反応により化合物にアルキル基を導入する化学反応の総称である。我々が開発している架橋反応はビニル基と標的塩基のアミノ基あるいは酸素官能基との反応でありアルキル化反応の一種である。遺伝子発現制御機構における破たんは様々な疾患の原因になる 遺伝子の情報が細胞における構造および機能に変換される過程を「遺伝子の発現」と言います。 「これらの遺伝子の発現が異常になると様々な病気の原因になることがわかってきており、新たな創薬のターゲットとしての期待も高まっています。我々が目指すところはこの病気の原因になる異常な遺伝子の発現を化学の力でしっかりコントロールしようというものです」と永次教授が語るように、遺伝子発現を化学的に制御することが永次研究室の主な研究課題となっています。 「もともと薬学部出身で学生時代からくすりを創ることにはとても興味がありました。学生時代のテーマは植物からとれた微量成分である天然物を合成するというもので、この研究を通して新しい分子を合成する技術を学ぶことできました。大学を卒業してからは、何かくすりにつながるものを作りたいという漠然とした考えは持っていましたが、何をターゲットにするかというのが非常に難しかったです。現在、行っている『遺伝子発現の化学的制御』という具体的な標的に出会ってからは、この研究が私のライフワークであると考えるようになりました。」なぜ遺伝子か?有機化学を手法とするケミカルバイオロジー 「ゲノム解析の終了にともない、いろいろなことがわかってきました。ゲノムの数とタンパク質の数が合わないということ。一般的には遺伝情報に基づいてタンパク質が合成されることを発現と言いますが、実際にタンパク質として発現される遺伝子はわずか2%のみであり、残りの98%はタンパク質をコードしていない、いわゆるnoncodingRNA(ncRNA ) として生体機能の維持調節に極めて重要な働きをしていることが明らかとなってきています。 」 これらの蛋白に発現されない種々のncRNAの発見により、生物学的情報がDNA→RNA→蛋白へと流れるというというセントラルドグマが大きくかわりつつあります。このような変化を背景に、細胞内における遺伝子機能の解明はますます重要視されてきています。 永次研究室では、化学の力により遺伝子発現を制御することで、病気の治療法として展開できる手法を開発しています。化学者として遺伝子をターゲットにして研究を進めましたが、遺伝子発現には複雑な機構があり、意外とその仕組みがわかっていないということを痛感していると言います。 「最初に考えていたより、遺伝子発現のしくみは複雑でした。ひとつひとつ解きほぐしながら、新しい医療の開発に向け、遺伝子の発現のしくみを勉強しながら研究をすすめています。」狙った遺伝子に選択的に反応するインテリジェント核酸医薬を開発 「抗がん剤には遺伝子に対してアルキル化反応を起こすことでDNAの遺伝情報を狂わせて、がん細胞の増殖を阻害するものがあります。実際にPtイオンにアンモニアと塩素が配位した化合物・シスプラチンなどが臨床応用さ れています。」 しかしこれらの抗がん剤は標的遺伝子に対する選択性がなく、正常な細胞のDNA にも傷をつけてしまうことから、重篤な副作用を起こすことが問題とされています。これらの化学反応を高い選択性でねらった遺伝子に対して起こすことができれば、異常となったがん細胞の遺伝子の発現のみを阻害することが可能となり、正常細胞に傷をつけることなく、がん細胞の増殖のみを阻害できると期待されます。  「私たちの研究室では、細胞内において遺伝子発現をコントロールする機能性分子を独自に設計・合成し、既存の分子ではできない新たな機能を持つ人工分子を開発することを目標に研究を行っています。既に高機能を持つ核酸医薬として、標的遺伝子に対してピンポイントの反応性で架橋反応を形成するインテリジェント人工核酸の開発及び、試験管内における遺伝子発現制御にも成功しています。現在、これらの分子のさらなる高機能化、及び新規人工分子の開発について検討を行っています。」 特に最近では、遺伝子が持つ高次構造に着目し、特殊な構造を持つ遺伝子に対して選択的に化学反応する人工分子の開発も進めています。遺伝子はその配列だけではなく、その高次構造が様々な遺伝子発現を制御していることがわかってきており、この構造を認識し選択的に反応する人工分子は新しい化学的な遺伝子発現制御方法になりうると考え研究を進めています。多くの薬はタンパク質をターゲットにしますが、永次教授が着目したのは遺伝子。タンパク質はいろいろな機能を持っていて、ジェネラルな概念を確立することが非常に難しい中、遺伝子は配列が決まっていて、ジェネラルな概念が確立しやすいと判断したと言います。永次研究室では、細胞内において遺伝子発現をコントロールする機能性分子を独自に設計・合成し、既存の分子ではできない新たな機能を持つ人工分子を開発することを目標に研究を行っています。02FOREFRONT REVIEWTAGEN FOREFRONT TAGEN FOREFRONT 13 14