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概要

TAGEN FOREFRONT 01

太陽電池の普及を推し進める低コスト化技術の開発 今、再生可能エネルギーの一つとして注目されている太陽電池。光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接電力に変換する電力機器です。現在は、シリコンを使った太陽電池が主流となっています。 「本間研究室では、新しい太陽電池の素材として、カッパー・インジウム・セレナイドという素材に興味を持っています。この化合物の合成をいかに効率よく低コストで行うかによって太陽電池そのものの低コスト化につながり、次世代のエネルギー源として現実味が増してくると考えています」と本間教授は語ります。 「合成の手法として注目したのが、他分野で進んでいた超臨界流体というプロセスです。超臨界流体とは臨界点以上の温度・圧力下においた物質の状態のことで、固体でも気体でも液体でもない第4の状態と言われるものです」。 この超臨界流体を使うとどういうメリットがあるのでしょうか? 煮込み料理の時に使う圧力鍋を考えてもらうと分かりやすいと思います。120°Cで2気圧という水の沸点以上の温度と高い圧力状態で調理すると1 / 4くらいの短時間で煮込み料理が出来ますよね。あの原理を太陽電池用銅合金材料であるカッパーインジウムセレナナイドの合成に応用するわけです。通常であれば気体中で500℃以上で4~5時間もかかる合成が、圧力容器を用いた超臨界流体合成ではわずか300℃で30分の短時間で出来てしまうのです。これにより、太陽電池部材精製の低コスト化に成功しています。 「温度が低いために基板の素材選びに広がりが生まれ、フレキシブル基板というものを開発しています。ロールto ロールという手法で、ポリマー基板の上に太陽電池を作ることもできています。紙の上に太陽電池を作るというアイデアも生まれています。このような基板の広がりで低価格の太陽電池ができるようになります」。 「再生可能エネルギーを普及させる上で、課題となるのが電力の安定供給ということです。この問題をクリアするためには、電気を一時的に蓄える大容量の蓄電池が必要となります。また、ハイブリッド車や電気自動車が広がる中、安価・高容量・高出力の大型2次電池の開発は最重要課題です。世界各国で最も熾烈な開発競争が繰り広げられています」。 現在はリチウム電池が主流ですが、本間研究室では、ポストリチウム電池を研究超臨界流体技術を活用し太陽電池の低コスト化へ毎朝研究室に来たらお香を立てています。研究に集中できます。 有田焼の香炉を教授室に置いています。なかなかオシャレで気に入っています。インテリアとしてもいいのではないでしょうか? 毎朝研究室に来ると一番にお香を立てています。習慣になっているので、ないと気になりますね。香りの効果で論文書きなので仕事に集中できるような気がします。 調べると、ブラックペッパーやペパーミント、ローズマリー、レモンなどの香りは集中力や記憶力を増し、精神的疲労を癒す効果があるようですね。研究室のメンバーも部屋に来た時、良い香りですね、と言ってくれます。研究テーマに関するディスカッションも捗るような気がしますね。新しい太陽電池の素材を効率的に低コストに合成するために超臨界流体を活用した加工技術を活用しています。通常であれば500℃以上で4・5時間かかる合成が、300℃の加熱で30分で薄膜の合成ができます。2010年のノーベル物理学賞が与えられた革新的炭素物質。単原子層の2 次元シート構造からなる新しいナノカーボン材料であり、CVD 法などのボトムアップ的合成か、またはグラファイト結晶からの剥離などのトップダウン的合成法で作製される。大きな比表面積や高い電子伝導性と特異な電子構造を有しているため、同じくノーベル賞候補材料であった1 次元構造のカーボンナノチューブより優れた物性を有していると期待されている。地球温暖化対策のイノベーションを起こす再生可能エネルギー技術の開発を目指しています。新デバイス・新材料開発を中心に、太陽電池、燃料電池、二次電池等の革新的エネルギー技術を世に発信しています。ポストリチウム電池として、有機分子に極めて大きな電力エネルギーを可逆的に貯蔵させることができる革新的電池技術を開発しています。大型リチウムイオン電池のイノベーションに新しい道筋を拓くものと期待できます。しています。そのためにデバイスの設計を行っています。 「電気自動車に載せようと思っているのは携帯電池の5 倍のエネルギー密度のもの。そのためには。まったく新しい高性能な電池部材を作ることが重要なカギになっています」。 研究室では内閣府・最先端研究開発支援プログラム「 高性能蓄電デバイス創製に向けた革新的基盤研究」に参加。 安価な有機分子とイオン液体を用いた新しい設計概念の高エネルギー貯蔵密度型二次電池の開発に成功しています。「これまで実用的な二次電池に応用できなかった理由の一つに還元状態のアニオン分子が有機電解液に可溶なため、充放電サイクルを行う際に分子性活物質が溶出して二次電池としては機能しなかった点が挙げられます。本研究開発ではこれらの課題の根本的解決を目的にを目的に全固体型の電池構造を設計し、準固体電解質を適用することにより有機活物質の溶出抑制に成功し、可溶性有機分子も二次電池の電極材料として利用できることを世界で初めて実証しました」。 今回の発明はリチウムイオンを用いて有機分子に極めて大きな電力エネルギーを可逆的に貯蔵させることができる革新的電池技術であり、多様性に満ちた有機化合物の電極材料への応用、並びに安価・高容量・高出力の大型リチウムイオン電池のイノベーションに新しい道筋を拓くものと期待できます。 より高容量で、より高出力のリチウム二次電池へ。この革新的電極開発のためには、低抵抗で高いイオン拡散性を有するナノサイズ電極材料の開発が重要となります。 本間研究室では、短時間でイオン拡散と電子伝導が可能である高容量・高出力型のナノ結晶の電極材料を開発しています。 「ナノ結晶リン酸鉄リチウム等の高出力型の電極材料に注目しました。これらの超臨界流体用いた精密サイズ制御可能な先端的合成プロセスの開発と高出力化を実現させるためのナノ結晶表面の化学的修飾技術の開発を行っています」。 5~30nmの範囲のナノ結晶電極の革新的合成プロセス開発と電極特性の評価を行い、ハイブリッド自動車用リチウム電池などへの応用を検討しています。単原子層電極であるグラフェン高変換効率な太陽電池用化合物半導体薄膜として注目されている銅合金材料でありシリコン太陽電池よりも高い20%級の変換効率が得られる。CuInSe2と表記される複雑な結晶構造を有した3元系合金材料であるため有害ガスの気相反応を用いた長時間のセレン化処理が必要となる。低コスト化のためにはより低温・短時間での合成プロセスの開発が要求されているが、セレン化プロセス温度が300℃以下になればポリマー基板上にも製膜出来るためフレキシブル型太陽電池などの新しいタイプのセルが設計できる。本間研で作製しているCuInSe2化合物半導体太陽電池デバイスの写真。半導体のPN 接合デバイスを積層膜により作製した。カッパー・インジウム・セレナイド携帯電話やノートパソコンに使用されているリチウムイオン電池の電極にはミクロン級サイズの電極活物質(イオンや電子が貯蔵される電極材を活物質という)が用いられている。超臨界流体法などに代表される近年の合成法の進歩によりリチウムイオン電池の電極活物質でも5-30nmレベルでほぼ同じサイズのナノ結晶粒子を合成することが可能になってきた。固体内イオン拡散性に優れたナノ結晶電極ではさらに高容量・高出力特性が得られることが基礎研究により明らかとなってきており、次世代二次電池に要求される巨大な蓄電エネルギー密度を実現する革新的ナノ電極として期待されている。超臨界流体プロセスで作製したナノ結晶粒子LiFePO4の透過型電子顕微鏡写真。ナノ粒子ではリチウム貯蔵に伴う相変化の反応速度が向上することから高出力特性が得られる。ナノ結晶活物質温度を一定に保って気体を圧縮すると、液体と気体の2相が共存する状態となり、それから完全な液体になる。この気体を圧縮する操作を高い温度で行うと、この2 相の密度差が小さくなり、さらに高温では、気体から液体に連続して変化して、液体とも気体とも区別できない状態になる。この状態の物質を超臨界流体と言う。超臨界流体は臨界温度(Tc)、臨界圧力(Pc)以上の高温高圧状態で実現する液体、気体とも異なる第4の熱力学的状態である。超臨界流体有機分子を用いた高エネルギー密度リチウム電池新しい電極材料を創製するナノ結晶合成技術