ブックタイトルTAGEN FOREFRONT 01
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TAGEN FOREFRONT 01
(左辺は重力場に対応する時空の曲がり、右辺は重力場を除く全てのエネルギー)アインシュタイン自身による近似解や静的で球対称の重力場を仮定したシュワルツシルトの解などが知られているが、厳密解は今も求まっていない…電磁場が見えてくると世界観も産業技術も変わる 「 私が場の重要性を認識し、場の観察を始めるきっかけになったのはアインシュタインの影響があるかも知れません。質点や電荷といった実体と考えられるものに対して、その間にある場が大切だと認識させてくれました」。 進藤大輔教授がアインシュタインから得たもの。それは物理というものを考える上で、場の概念が重要になるということでした。基本粒子間に働く力(相互作用)は大きくわけて、4つです。 ①クォーク間(核力)である「強い力」、②ベータ崩壊に関わる素粒子間にある「弱い力」、③すべての粒子(エネルギー)間にある「重力」、④そして荷電粒子間、及び荷電粒子と電磁場間の「電磁気力」です。 「アインシュタインは言っています。粒子間にある場が大切。偉大な科学の想像力によって把握するものだと言っています。あの時代、まだ場を見ることができなかったわけです。この想像力が必要だったものが実際に見えたとしたらどうでしょう?感動しますよね」。 4つある力の内、私達の身の回りの現象の源は「電磁気力」がほとんどすべてを占めます。「心臓の鼓動もそうですし、神経の中での情報(電気信号)伝達も電磁気力によってなされています。その源となる電磁場を可視化できることは、世界のあり方を理解する上で大きな一歩となります」。 場を可視化する新しい観察法が必要です。「電子顕微鏡のなかでホログラムを作製するホログラフィー電子顕微鏡の開発に成功したのが、外村彰博士です。私自身、共同研究という形でずっとお世話になりました」。 外村博士が開発に成功したホログラフィー電子顕微鏡の原理とはどんなものでしょうか? 水面で2つの波が出会うと干渉が見られます。ホログラムは、この干渉を利用しています。光を2つに分け、一方の光を物体に透過させ(信号光)、他方は透過させない(参照光)で、それらの2つの光を重ねると干渉縞ができます。これを記録したのがホログラムで、物体の三次元情報が記録されています。 電子も波の性質を持っているのでホログラムができます。電子顕微鏡のなかで電子同士を干渉させホログラムを作製すその間にある場が大切偉大な科学の想像力内山龍雄訳の相対性理論。読めば読むほど感動します。 内山龍雄訳のアインシュタインの相対性理論の論文を、今も時間があると読み進めています。感じることは普遍性や絶対性。これから時代がどう変わろうとも宇宙の動きとともにこの真理は残るんだと思います。 一般相対性理論を「人類最高の知識」と評する人も。物理学の論文の模範ですね。まさに一篇の美しい芸術作品を見るようで、無駄のない論理の素晴らしさを感じます。 自分の研究がアインシュタインが夢見た統一場理論の解明に役に立てればと思っています。電子線ホログラフィーのしくみ。試料、もしくはその周囲の電磁場が存在する空間を通過した電子波である「物体波」と、位相の変化を受けていない「参照波」を干渉させホログラムという干渉パターンを得ています。電子の波動性を利用し、試料の内外の電磁場の情報をホログラムとしてデジタルデータとして記録し、コンピュータ解析により、電磁場の分布をナノメータスケールで可視化できる最先端の電子顕微鏡法。進藤研究室で進めれているナノレベルの微細な場を検知できる電子線ホログラフィー技術の開発。基礎科学の進展や、微細化・複合化が進む電子デバイスへの応用研究など、様々な科学技術の進化に貢献しています。アインシュタインも見ることもできなかった場の世界。偉大な想像力に変わって、最先端の技術が場を見えるようにしてくれています。るのがホログラフィー電子顕微鏡です。 「ホログラフィーとはすべてを意味するホロと再生させるための記録法であるグラフィーの合成語。見えなかった電磁場の情報まで見えるようになります。調べたいモノに電子線を当て、通り抜けたり、屈折したりする電子を検知して画像にします。このとき入射電子のエネルギーが一定で、ビームが強ければ強いほど、物質の内部の原子配列や電磁場を詳細に観察することができるわけです」。 ナノレベルの微細な場を検知できる電子線ホログラフィー技術。ナノレベル物質の電磁場解析を通した基礎科学の進展や、微細化・複合化が進む電子デバイスへの応用研究など、様々な科学技術への波及が期待されています。理論では分かっているものを、実際の磁束の挙動を見ることにより、新たな科学技術の展開を生み出すことができると進藤教授は語ります。 そのひとつの例として、進藤研究室では、高温超伝導材料の「磁束ピン止め」という現象を直接見ることに成功しています。最新の電子線ホログラフィー技術により、高温超伝導バルク材料周辺の磁束分布を観察し、磁束量子が析出物にピン止めされている様子を3 次元的に観察することに初めて成功しました。 「バルク超伝導材料の内部に分散させた非超伝導の析出物に磁束がピン止めされることにより高い臨界電流密度が得られるものと考えられてきました。この理論上だけで知られていた磁束ピン止めという現象を実際に直接観察できました。磁束量子ピン止めは、超伝導応用に対して特に重要になる現象です。欠陥を導入して磁束量子をピン止めし、磁束の挙動を制御することで、系の超伝導特性も制御することができるようになります」。 磁束量子ピン止め点を制御することができるようになると、より高い磁場を発生する超伝導マグネットの開発が可能になります。さらに、NMR(核磁気共鳴)装置の分解能向上などにも期待が膨らみます。 進藤研究室のこの成果は、今後、超伝導の臨界電流密度や強力な磁石としての磁気特性の向上を図る上で、極めて有効な研究成果と位置づけられています。電子線ホログラフィー磁束が超伝導体の内部にあるひずみや不純物に捕らえられ、ピンで止めたように動かなくなる現象。磁束の移動に伴う電気抵抗の発生を抑える上で重要な役割を果たす。磁束ピン止め透過電子顕微鏡で試料を観察しているとき、一部の入射電子と試料が相互作用を起こして、二次電子放出やエックス線放出、また入射電子のエネルギーロスなど様々な現象が生じる。これらの副次的な現象を、顕微鏡に付加された各種検出器(エネルギー分散型X 線分光器や電子エネルギー損失分光器等)で解析することで、観察している微小領域での元素分析や化学結合状態分析を行う手法を分析電子顕微鏡法と呼ぶ。分析電子顕微鏡法急冷や溶融、方向凝固などのプロセスを経て作製される塊状の超伝導材料。配向した超伝導体結晶中に、非超伝導物質を微細に分散させた材料組織を持たせることができ、その結果磁束ピン止めの効果により、ゼロ抵抗で高い電流を流せたり、永久磁石よりも強い磁石として活用できる。バルク超伝導材料磁気モーメントをもつ原子核が静磁場中におかれると、核スピンの磁場方向のとりうる値に応じて磁気的エネルギー準位のゼーマン分裂を生じるが、その隣り合う準位間のエネルギー差に等しいエネルギーをもつ電磁波を外部から与えるとき起こる共鳴吸収を指す。応用例として水分子の核磁気共鳴の緩和時間差をコンピュータ上で三次元再構築することで体内の臓器形状等を可視化する核磁気共鳴画像法(MRI)や、分子構造解析等に使われる高分解能NMR装置があるが、強磁場を発生させるために超伝導電磁石が用いられている。NMR(核磁気共鳴装置)すべてを見るためにホログラフィーの可視化機能高温超伝導材料の磁束ピン止めの可視化に成功アインシュタインの重力場方程式