ブックタイトルTAGEN FOREFRONT 01
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TAGEN FOREFRONT 01
SHINDO, Daisuke電磁場から未来を見つめるために電子線ホログラフィー開発進藤大輔1953 年、鶴岡市生まれ。東北大学大学院工学研究科博士課程修了。東北大学金属材料研究所助手、東北大学選鉱製錬研究所助教授、東北大学素材工学研究所(現 多元物質科学研究所)教授、1994 年6月より現職http://www.tagen.tohoku.ac.jp/labo/shindo/staff/shindo.html2012 年10月より理化学研究所創発現象観測技術研究チームリーダを兼任http://www.riken.jp/r-world/research/lab/asi/func-epot/index.html 電磁場を通して電子の動きを直接見ることはできるか?この問いに答えを出すことが進藤研究室の取り組みとも言えます。 電子は私達の身近に存在する最も代表的な素粒子の一つであり、マイナスの電荷と磁気モーメントをもち、その周囲に電場と磁場(電磁場)を形成しています。電子の動きは、周囲の電磁場の変化をもたらし、身の回りの電子機器の多種多様な機能を発現させるとともに、私達の体内での営みをも司っています。 電子が作る電磁場を見るためにどうするか? それが「ホログラフィー」という手法です。 試料、もしくはその周囲の電磁場が存在する空間を通過した電子波である「物体波」と、位相の変化を受けていない「参照波」を、バイプリズムという機器を使って干渉させるとホログラムという干渉パターンが得られます。 そのホログラムに再生用の照明光を照射するかあるいは画像処理をすることにより、物体波の振幅と位相(波面)を再生する手法が進藤研究室で研究している電子線ホログラフィーです。 進藤研究室では、この電子線ホログラフィーによって様々な研究を進めています。(1)電子線ホログラフィーによるナノスケール電磁場計測の高精度化。(2)電磁場制御と伝導性評価のための電顕内探針操作技術の開発。(3)電場解析による帯電・電子放出機構の解明。(4)先端ハード・ソフト磁性材料のナノスケール磁区構造解析。(5)高温超伝導体、強相関電子系新物質の磁束イメージング。 電子線ホログラフィーにより、電場や磁場の定量的な観察が可能となります。さらに電圧や磁場の印加にともなう電場・磁場の変化も追跡できるようになります。それにより、先端材料の電気的・磁気的特性の発現機構解明への応用が期待されています。先端計測開発センター 電子線干渉計測研究分野 教授センター長 電子の波動性に注目しその干渉効果を利用した電子線ホログラフィーは、ナノスケールで電磁場を可視化できる最先端の科学技術です。進藤研究室では、電子線ホログラフィーを活用して先端材料内外の電磁場を高精度で計測する研究を行っています。定量的電子顕微鏡法の開発、電子線ホログラフィーを用いたナノヘテロ金属材料の磁区構造評価、分析電子顕微鏡法(EELS 及びEDS)による先端材料の電子状態、組成分析、電子顕微鏡画像データベースの構築を行っています。