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概要

TAGEN FOREFRONT 01

NODA, Yukio“構造”を追究する機器開発から新たなマテリアルの未来を拓く野田幸男1948 年、岐阜生まれ。1977 年大阪大学理学研究科修了、理学博士。1977 年米国ブルックヘブン国立研究所研究員、1979年大阪大学教養部・基礎工学部助手、1989 年千葉大学理学部助教授、1994 年同教授、1998年東北大学科学計測研究所教授、2001 年多元物質科学研究所に改組、2005-2008年多元物質科学研究所副所長・東北大学研究教育評議員、現在に至る。http://www.tagen.tohoku.ac.jp/labo/noda/index.html 例えば、黒鉛がダイヤモンドになる。原子はまったく変わっていないのに、明らかに性質の違うものになる。これは、“構造”が変わること(相転移)により性質が変わりうるということを示しているのであり、物の性質の起源として“構造”が重要であるということを示しています。わずかな原子変位が結晶のなかにある膨大な数の原子で足しあわされて、日常利用している物の性質の源となっています。  この「物性」の起源となる「構造」の違いを、X線や中性子線などを用いた 回折実験で見ることにより、原子の世界の法則を明らかにしていくことを野田研究室では行っています。 これらは、日常で使っているガス着火装置(圧電素子)、 テレビなどの回路に使われているコンデンサー(高誘電体物質)、電子回路を作る基となる半導体(シリコン単結晶)、スマートカードに使われている強誘電体メモリー、電子レンジや温室に使われているダンパー(形状記憶合金)等々、 多くの工業用材料物性の基礎となる性質を明らかにすることにつながっています。 日常規模の世界の法則を原子の世界の法則から理解するのに非常に有効な研究です。 この「構造を極める」ために、様々な独自の専用解析装置の開発に携わっています。姫路に近い西播磨科学都市にある世界最大規模の放射光施設SPring-8に高分解能の4軸X線回折装置、東海村にある原子力科学研究所に中性子用の4軸回折装置など、世界的に見てもユニークで最先端の構造解析装置の開発を行っています。 現在行っている物質群は、主として誘電体物質と反強磁性体など。酸化物の誘電体で強誘電性を示すもの、 水素結合をした物質で軽水素を重水素置換するだけで相転移温度が簡単に100Kも変化するものなど、様々な誘電体物質の研究を行っています。 物質の極低温や高圧での構造を調べ、 電子分布がどのように変化したかを直接示す研究。この様々な構造物性の追究から、新たな時代を切り拓く発想が生まれようとしています。多元物質科学研究所計測研究部門構造材料物性研究分野 教授 野田研究室のテーマは「構造物性」。低温・強磁場・高圧下の多様な環境条件の下で、どのような構造の特性を示すか? この問題を解くために、X線・放射光・中性子を用いた高分解能結晶構造解析のための計測技術を確立するとともに、精密な電子密度あるいは原子核密度の分布解析に基づく物質の構造相転移及び物性の機能発現の起源について研究。その一例として、磁性強誘電体における巨大電気磁気効果について、結晶・磁気構造解析の立場からその微視的起源を明らかにする研究を行っています。