石英ガラス光ファイバーおよび光導波路

戒能俊邦

東北大学 多元物質科学研究所

 インタ-ネットに代表される情報化社会の到来に伴い、大容量ネットワーク伝送媒体およびネットワ-ク端末回路の重要性が高まっている。石英ガラス光ファイバーは低損失性、大容量性の点から究極の信号伝送媒体といわれ、市場の拡大が進展している。また石英ガラス光導波路は、光信号の分岐結合、スイッチング、波長選択などの機能素子として実用化が進められている。
 石英光ファイバーの開発は近赤外光域における半導体レーザーの開発と併行して進められ、波長1.3あるいは1.55μmで用いられている。最低損失値0.15dB/Kmすなわち光ファイバに入射した光の強度は、20Km先で1/2となる。これを凌駕する低損失媒体としてフッ化物ガラスなどが検討されたが、結晶発生や脈理の問題などが有り、石英ガラスを上回ることは出来ていない。
 石英ガラスを用いた光導波路は、石英ガラスファイバシステムとの適合性、低損失性の点から、光ネットワ-ク端末光回路として、実用に供されている。
 このような石英ガラスを用いた光ファイバー、光導波路の作製法としては、種々の方法が検討されているが、火炎堆積法(Flame Deposition Hydrolysis, FDH法)はその量産性、高性能性の点で優れた方法である。シリコンオキサイドを基本材料とし、屈折率の制御のためゲルマニウムオキサイドなど他の酸化物を混合する。一方ガラス光ファイバ-中に希土類元素を混合した光増幅ファイバーは、長距離光通信、あるいは光信号処理における重要部品として開発が進んでいる。
 現在の光通信は波長多重光伝送方式が主流となっており、このために不可欠な波長フィルタ-として石英ガラス光導波路で構築したアレイ導波路格子(AWG)が注目されている。発光素子の開発をもとに、これらの光導波路素子は情報社会の革新におけるキー部品として開発・実用化が進んでいる。