小テスト&基本調査 平成10年6月16日
1. 次のそれぞれの溶液に、固体のAgClを十分な量添加し、溶解平衡に達した。理想溶液として、溶液中に存在する25℃におけるAg+イオン濃度をそれぞれの場合について、計算せよ。なお、AgClの溶解度積 [Ag+] [Cl-] = 1.8 x 10-10 mol2/l2 at 25 ℃。
(a) NaCl: 1 x 10-3 mol/l 溶液 (b) pH = 5 の溶液
<考え方>(a)は、Cl-イオン濃度が1 x 10-3 mol/lとして、(b)は、溶液中にCl-イオンが予めがないので、[Ag+]=[Cl-]として解く。
2. 20℃, 1 atmにおけるC(グラファイト), H2, CH4の燃焼熱ΔHは、それぞれ
-394.13, -285.95, -891.10 kJ/mol である。0℃から600℃の間の定圧モル比熱Cpは
C(グラファイト): Cp = 4.60 + 0.02008 T ? 0.000005 T2
H2: Cp = 27.20 + 0.0038 T
CH4: Cp = 22.34 + 0.0481 T
このとき、500℃, 1 atmでのメタンの生成熱を求めよ。
<ヒント> C(グラファイト), H2, CH4の燃焼反応は、それぞれ次のように書ける。
C + O2 ? CO2 + ΔH1
H2 + 1/2 O2 ? H2O + ΔH2
CH4 + 2O2 ? CO2 + 2 H2O + ΔH3
従って、メタンの生成反応は、
C + 2 H2 → CH4 + ΔHf で(ここで、ΔHfは生成熱)
生成エンタルピー変化は
ΔHf =ΔH1 + 2 xΔH2 -ΔH3 = ?? kJ/mol (これは20℃のとき)
また、定圧モル比熱変化 ΔCpは、定義より
ΔCp=Σ(生成系の全Cp)-Σ(反応系の全Cp)
だから、 ΔCp = CpCH4 - CpC - 2 x CpH2 = ??
すると、500℃のときのΔHfは、ΔHf =ΔH0 +∫ΔCp dT、
つまり、で、計算できる。単位に気をつけること。kJだったり、Jだったり。
3.
可逆変化で仕事が体積変化だけによる場合でとなり、圧力一定のとき、
あるいは、
となる。つまり、定圧におけるGの温度係数は、負号をつけたエントロピーに等しい。定圧のもとで系が状態1から状態2にかわる場合、それぞれの状態で温度をdTだけ微笑微小変化させると、
●という関係式は、化学ポテンシャルの関係式から次のように導出できる。
ここから問題
(a) 2CO + O2 ? 2CO2 の反応の25℃における平衡定数Kpを計算せよ。ただし、COとCO2のそれぞれの25℃の標準生成自由エネルギーは、-137.2,-394.4 kJ mol-1である。なお、単体である、O2のそれは0 kJ mol-1とせよ。 <ヒント>R=8.31 J/mol K, ΔG = 2xΔG CO2 - 2xΔG CO
(b) を変形することにより、ファントホッフ定圧平衡式
を導き出せ。
<ヒント>の両辺をTで偏微分し、Gibbs-Helmholts式を代入する。
(c) ファントホッフの定圧平衡式は定積分すると、となる。ここで、
と
は温度T1とT2のときの平衡定数である。そこで、
= -88.1kJで、300 K (27℃)の平衡定数Kpが10と知られている反応の400 K (127 ℃)における平衡定数を計算せよ。
単位に気を付けること。
(解答例)
小テスト&基本調査 平成10年6月16日
1. 次のそれぞれの溶液に、固体のAgClを十分な量添加し、溶解平衡に達した。理想溶液として、溶液中に存在する25℃におけるAg+イオン濃度をそれぞれの場合について、計算せよ。なお、AgClの溶解度積 [Ag+] [Cl-] = 1.8 x 10-10 mol2/l2 at 25 ℃。
(a) NaCl: 1 x 10-3 mol/l 溶液 (b) pH = 5 の溶液
<考え方>(a)は、Cl-イオン濃度が1 x 10-3 mol/lとして、(b)は、溶液中にCl-イオンが予めがないので、[Ag+]=[Cl-]として解く。
2. 20℃, 1 atmにおけるC(グラファイト), H2, CH4の燃焼熱ΔHは、それぞれ
-394.13, -285.95, -891.10 kJ/mol である。0℃から600℃の間の定圧モル比熱Cpは
C(グラファイト): Cp = 4.60 + 0.02008 T ? 0.000005 T2
H2: Cp = 27.20 + 0.0038 T
CH4: Cp = 22.34 + 0.0481 T
このとき、500℃, 1 atmでのメタンの生成熱を求めよ。
<解答例> C(グラファイト), H2, CH4の燃焼反応は、それぞれ次のように書ける。
C + O2 ? CO2 + ΔH1
H2 + 1/2 O2 ? H2O + ΔH2
CH4 + 2O2 ? CO2 + 2 H2O + ΔH3
従って、メタンの生成反応は、
C + 2 H2 → CH4 + ΔHf で(ここで、ΔHfは生成熱)
生成エンタルピー変化は
ΔHf =ΔH1 + 2 xΔH2 -ΔH3 = -394.13+ 2 x (-285.95) ? (-891.10) =
= -74.93 kJ/mol (これは20℃のとき)
また、定圧モル比熱変化 ΔCpは、定義より
ΔCp=Σ(生成系の全Cp)-Σ(反応系の全Cp)
だから、 ΔCp = CpCH4 - CpC - 2 x CpH2 =
= 22.34 + 0.0481 T - {4.60 + 0.02008 T ? 0.000005 T2 + 2 x (27.20 +
0.0038 T)}
= -36.66 + 0.02042 T + 0.000005 T2
すると、500℃のときのΔHfは、ΔHf =ΔH0 +∫ΔCp dT、
つまり、で、計算できる。単位に気をつけること。kJだったり、Jだったり。
3.
可逆変化で仕事が体積変化だけによる場合でとなり、圧力一定のとき、
あるいは、
となる。つまり、定圧におけるGの温度係数は、負号をつけたエントロピーに等しい。定圧のもとで系が状態1から状態2にかわる場合、それぞれの状態で温度をdTだけ微笑微小変化させると、
●という関係式は、化学ポテンシャルの関係式から次のように導出できる。
ここから問題
(a) 2CO + O2 ? 2CO2 の反応の25℃における平衡定数Kpを計算せよ。ただし、COとCO2のそれぞれの25℃の標準生成自由エネルギーは、-137.2,-394.4 kJ mol-1である。なお、単体である、O2のそれは0 kJ mol-1とせよ。 <ヒント>R=8.31 J/mol K, ΔG = 2xΔG CO2 - 2xΔG CO
<解答例>
ΔG = 2xΔG CO2 - 2xΔG CO=2 x (-394.4) - 2 x (-137.2) = -514= - RT ln Kp
Kp = exp (-ΔG / RT) = exp (514000 / 8.31 / 298) = 1.39 x 1090
(b) を変形することにより、ファントホッフ定圧平衡式
を導き出せ。
<ヒント>の両辺をTで偏微分し、Gibbs-Helmholts式を代入する。
<解答例>
(c) ファントホッフの定圧平衡式は定積分すると、となる。ここで、
と
は温度T1とT2のときの平衡定数である。そこで、
= -88.1kJで、300 K (27℃)の平衡定数Kpが10と知られている反応の400 K (127 ℃)における平衡定数を計算せよ。
単位に気を付けること。
<解答例>