- タイヤは火山ガスと火山灰で変色するのか?
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まず、タイヤのゴムのおさらいでし。
ゴムにもいろいろ種類があって、
(衣川製鎖工業株式会社http://www2.memenet.or.jp/~kinugawa/から引用)
名称 強度 弾力性 耐磨耗性 耐熱性 耐油性 電気絶縁性
天然ゴム ◎ ◎ ○ ○ × ◎
イソプレンゴム ◎ ◎ ○ ○ × ◎
スチレンブタジエンゴム ◎ ○ ○ ○ × ◎
ブタジエンゴム × ◎ ◎ ○ × ◎
アクリルニトリルブタジエンゴム ○ ○ ◎ ◎ ◎ ×
クロロプレンゴム ◎ ○ ○ ◎ ◎ ○
ブチルゴム ○ × ○ ○ × ◎
エチレンプロピレンゴム ○ ○ ○ ◎ × ◎
それぞれ、
天然ゴム
大型自動車用タイヤ・履物・ホース・ベルト・空気バネ
イソプレンゴム
自動車・航空機用タイヤ・履物・ゴム手袋など天然ゴムの代用として使われる
スチレンブタジエンゴム
自動車・航空機用タイヤ・履物・ゴム引き布・床タイル・フォームラバー・ホー
ス・ベルト
ブタジエンゴム
自動車・航空機用タイヤ・防振ゴム・ベルト・ホース・窓枠ゴム
アクリルニトリルブタジエンゴム
耐油性パッキン・耐油ホース・コンベヤーベルト・耐油性フォームラバー
クロロプレンゴム
電線被覆・コンベヤーベルト・窓枠ゴム・ゴム引き布・接着剤・塗料
ブチルゴム
自動車のタイヤチューブ・耐熱コンベヤーベルト・耐水蒸気ホース・電線被覆
エチレンプロピレンゴム
電線被覆・窓枠ゴム・タイヤチューブ・防水シート・耐熱コンベヤーベルト
という用途があります。
このうち主流のスチレンブタジエンゴムは、スチレンCH2=CH-C6H5(ベンゼン環)と、ブ
タジエンCH2=CH-CH=CH2 を共重合というC-Cの長さをう〜〜ん長くする化学反応ででき
た、高分子化合物(プラスチックもその一部)です。で、その重合反応で、長いC-Cの鎖
ができますが、あちこちに、C=Cという二重結合が残ってこれが、弾力性を生みます。た
だ、この弾力だけでは不充分ですので、加硫という、硫黄を加えることをします。する
と、C=Cのところに、S-Sの鎖があちこちに追加されて、かなり動きやすいS-S結合ですの
で、弾力が飛躍的に向上します。硫黄添加量で弾力性がかなり変わりますが、加えすぎ
ると逆に硬くなります。エボナイトがそれです。硫黄は高温(200℃程度)状態になると、
S-S結合が切れやすいのですが、40℃程度のところでも放置しておくとゴム中のSがきれ
やすくなって弾力がなくなります。タイヤの保存は冷暗所が基本でし。
で、質問に帰ります。
ゴムはC=Cの二重結合やS-Sの結合が随所にあって弾力性がありますが、こういう弾力性
を出す部分は化学的には安定とは言えず、大気中の物質と反応して劣化します。古い輪
ゴムが、すぐにぱちんと切れてしまうのもこのためです。
劣化は、オゾンなどによる酸化のほか、塩化水素や二酸化硫黄による化学的変成により
おこります。弾力性がなくなるのはこうしたことが原因で、青くなるのは、SO2によるも
のと考えられます(ガスが青白いとかいろいろありますが、SO2は青色から紫外域に吸収
を持ち、吸収した光は蛍光としてでます。これが火山ガスがときに青白くみえる由縁だ
と思っています)。硫化水素もまたゴムと反応してゴムを硬化させます。
不明な点など、質問がありましたら、どんどんどうぞ。
また、間違いなどの指摘もよろしくお願いいたします。
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