Al-O-N系の熱力学


研究目的と背景

サファイア基板上にAlNなどのⅢ族窒化物をエピタキシャル成長させることは基板材料との格子不整合が大きいため,きわめて難しい。
 本研究室では,既存の製膜法とは全く異なる手法,すなわち,サファイア基板を炭素活量1の条件下で CO-N2混合ガスで直接窒化し,基板表面にまずγ-酸窒化アルミニウム層
(通称:ALON)
を生成させ,これを介して単結晶AlN膜を成長させるという独創的な方法を開発した。
 酸窒化アルミニウム(ALON)を基板上に適切に生成させるためには,その熱力学的安定領域を正確に知る必要がある。
γ-酸窒化アルミニウム層
(通称:ALON)
ALN




研究の概要


高温におけるAl-O-N系の化学ポテンシャル図を作成するため, Al2O3-AlN-C/N2-CO平衡およびALON-Al2O3-C/N2-CO平衡を測定した.
 このような平衡測定から,AlNの標準生成Gibbsエネルギーを再評価し, 2000KにおけるALONの熱力学的安定領域を右図のように決定した.