準結晶について

準結晶とは、5回、8回、10回、12回などの非結晶学的回転対称性を 示し、かつ準周期的な規則構造を示す物質の総称です。 基本構造ユニットの周期的な配列を持つ結晶、不規則な構造を持つアモルファスや ガラスに加えて、第3のタイプの構造を持つ物質群ということができます。 主に3種類の元素を含む合金の中に準結晶相が発見されていますが、2元素を 含む合金や高分子の自己組織化を利用して作成された構造としても実現することが 知られています。また、フォトニック結晶の分野では、微細加工技術を用いて 人工的に上記の構造的特性を持つ物質を作成し、準結晶の構造に特有の性質を デバイスとして活用しようとする試みが始まっています。


準結晶の歴史

1982年、Shechtman博士が実験中、Al-Mn合金から正20面体対称性(Yh)を持つ 電子線回折像を示すものを発見した。検証の末、これが結晶の多重双晶によるもの ではないことが判明し、これまでに無いタイプの構造を持つ物質として、 1984年11月にPhys. Rev. Lett.誌に発表された。1984年12月、LevineとSteinhardtは、 この物質が準周期的な構造秩序をもつ物質であると解釈し、準結晶と名付けた。


準結晶の形態学

熱力学的に安定な準結晶合金と考えられているもののいくつかは、μmからcmの スケールの大きさを持つ単(準)結晶粒を形成することが多い。正20面体準結晶 では、多くの場合、正12面体の外形を示すことが知られている。このことは、 多くの準結晶において、5回対称軸に垂直な面の表面エネルギーが、他の面に 比べて小さいためであると解釈される。また、2回軸に垂直な 面をfacet面とする、菱形30面体の外形のものが少数であるが知られている。 表面エネルギーの異方性が小さい場合には、正12面体の角が丸くなり、 5回軸面を一部残した形態のものが観察される場合もある。しかし、 これまでのところ3回軸面をfacet面とする準結晶粒(正20面体の外形のもの)は 見付かっていない。 これは、この方向の原子面間隔が狭く面上の原子密度が疎となるために表面と しての安定性に欠けるためと解釈できる。以下に、当研究室で撮影された 単準結晶の写真を示す。(全て正12面体の外形を示している。)


Last updated, 19 November, 2007.

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