高橋 聡

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Satoshi TAKAHASHI

どんな研究をしてきましたか?

私は、1983年に東北大学の理学部化学専攻に入学し、修士まで在籍しま した。修士課程では安積徹先生の指導で、NMRのプローブの中で化学反応を行う と信号強度に変化が生じる現象(CIDNP)の研究を行いました。

安積研での研究は大変面白かったのですが、私は生物に関連した研究を行いた いという強い希望を持っていたため、安積先生の薦めにより、分子科学研究所の 北川禎三先生の研究室で博士研究を行いました。具体的には、共鳴ラマン散乱法 を使って、シトクロム酸化酵素の研究を行いました。この間に、生体試料を扱う ための基礎知識と、実験装置を自作する研究スタイルを学びました。
分子研で学位を得た後、1993年よりAT&Tベル研究所に博士研究員として留学し ました。この当時、海外でどのような研究がなされているのか、私は好奇心がお さえきれず、どうしてもアメリカに行くと決めておりました。ベル研究所では、 私のオリジナリティの基礎である高速溶液混合装置を作るなど、多くのプロジェ クトに関与しました。アメリカの第一線の研究所の雰囲気を体で感じることで、 私は成長したように思います。この頃から、生物物理学として面白い研究をやり たいと思うようになりました。
ベル研究所から帰国後、理化学研究所の飯塚先生の研究室に一年間博士研究員 として在籍した後、1996年に京都大学工学研究科分子工学専攻の森島績先生の研 究室に助手として職を得ました。森島先生は、私に自由に研究を進める環境を与 えて下さいました。私は、蛋白質の折り畳みを中心テーマに定め、CD分光法、X 線小角散乱法、赤外分光法などを使った研究を展開しました。この間に、メンバ ーの自主性を尊重する京大の研究スタイルを学びました。
2003年から大阪大学の蛋白質研究所に助教授として移り、2009年に東北大学に 異動するまで、上司である後藤祐児先生と協力して蛋白質の折り畳みに関する研 究を進めました。阪大において、私は一分子を観察する新しい実験技術の開発に 取り組みました。開発した装置は、私の今後の研究で中心的な役割を果たすと考 えています。

 

 研究生活で大変なこと、楽しいことは?

どんな仕事でも、大変なことはあると思います。私達の研究でも、大変なことの 方が多いのです。ただ、難しい実験や研究であるほど、うまく行った後に感じる 楽しさが大きいように思います。アメリカに留学していた間も、英語で研究発表 をしたり、自己主張したり、あるいは研究に関係のない交渉をすることを、当時 は必死で、実にかっこわるくやっておりました。でも、今では楽しかったなあと 思いだします。

 

趣味は?

良い論文を読んでじっくりと考える時間を持つことが、何よりのリフレッシュで す。それができない忙しさが続くとストレスがたまります。趣味とは言えません が、休日に子供と遊ぶこと、音楽を聴くこと(最近は”All Songs Considered” から情報を仕入れます)、サッカーを観戦すること(院生時代は下手ながらチー ムに属していました)、妻の実家の農家の手伝いをすること、銭湯に入ること (銭湯のそばの住居を探しました)、学生さんのおばか話を聞くことなど、好き なことはたくさんあります。

 

 意気込みは?

アイディアのある面白い実験を行い、蛋白質の折り畳みをはじめとする生物特有 の現象を、物理化学の立場から解明したいと思います。

 

 所属学会

  •  日本生物物理学会
  •  日本蛋白質科学会
  •  日本化学会
  •  アメリカ生物物理学会
  •  アメリカ蛋白質科学会