どんな研究をしてきましたか?

大学生のときは上智大学の物理学科で宇宙物理の研究室に所属していました。 計算機を駆使して、宇宙の背景放射のデータを再現する研究をしていました。ち ょうどそのころ、「蛋白質の折り畳み問題」に出会いました。生物にも不思議で 面白い問題があり、ぜひこの問題を追求していこうと思いました。そのために、 大学院生から、桑島研究室(当時、東大院)に所属し、計算と実験を駆使して、 「蛋白質の折り畳み問題」に取り組みました。基礎的な実験技術は修士課程のと きに学びました。学位を取った後、折り畳み問題への実験的な手法に限界を感じ、 高橋さん(当時、阪大・蛋白研)のもとでポスドクをしながら、折り畳みを観測 するための一分子手法の開発を行いました。その後、現職。

研究生活において大変なこと、楽しいことは?

新しい一分子測定技術の開発は正直大変でしたが、一歩一歩着実にデータの 質や再現性が上がっていき、その度に研究者としてやりがいを感じました。その 結果、3年かけて、蛋白質を固定せずに長時間一分子を追跡できる新しい手法の 開発に成功しました。

趣味は?

フットサル、おいしい店の発掘。 サッカーボール

意気込みは?

新しい一分子観測手法を開発したので、この手法を用いて、様々な生体分子 の挙動を観測し、生物の不思議さや複雑さを解き明かしたい!

業績リスト

原著論文(2008年以前) 

総説
 鎌形清人、木下雅仁、高橋聡
 「新規一分子測定法による蛋白質の折り畳み運動研究:超複雑なシステムへの挑戦」生物物理under rev.

 高橋聡, 鎌形清人
 「蛋白質を基板から解き放つ:蛋白質の折り畳み運動の解明を目指した一分子観察法の開発」  BIOINDUSTRYシーエムシー出版, 299, 7-14 (2009)

 鎌形清人、桑島邦博 
 「蛋白質フォールディング速度と構造パラメータとの相関解析」生物物理、46,  144-149 (2006)

 Maki, K., Kamagata, K., Kuwajima, K. "Equilibrium and kinetically observed molten globule states (review) " In Protein Folding Handbook (Buchner, J. and Kiefhaber, T. eds.) WILEY-VCH, 852-879, (2005)

受賞歴
 2008年度日本蛋白質科学会年会・若手奨励賞
 (新規一分子観測装置と平衡化時間という新しい物理量の推定方法の提案が評価された。)