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[Publication] 四極子近藤候補物質PrTr2Al20(Tr = Ti, V)の結晶構造と結晶場基底状態

PrV2Al20電子軌道に2つしか電子を持たない系では、磁気モーメントは消失しているが、占有する電子軌道の自由度が低温まで縮退している状態を取り得ます。このような系では、伝導電子によって磁気モーメントがスクリーニングされる近藤効果の電子軌道バージョン、四極子(軌道)近藤効果が発現することが期待されています。この研究のターゲットPrV2Al20では、Pr3+イオンの4f電子軌道を2つの電子が占有し、実際に電気抵抗率及び磁化率の温度変化の振る舞いが四極子近藤効果を考慮した予想と一致し、四極子近藤効果の影響が大きい系と考えられていました。

我々はPrTr2Al20 (Tr = Ti, V)の基底状態が非磁性で四極子自由度の縮退しか存在しないΓ3状態であるかをまずは確かめるべく室温で精密な結晶構造を求め、Pr3+周りに配位するAl原子位置より結晶電場(CEF)の準位を計算しました。一般的に金属合金のCEF計算は金属原子の価数が分からず困難ですが、既にCEF準位が解明されているPrTi2Al20の情報を用いて、PrV2Al20の基底状態の計算を行いました。その結果、CEF基底はやはり非磁性のΓ3状態と計算されました。また、PrV2Al20の結晶構造的特徴をPrイオンが入っていないVAl10と比較することより、遷移金属元素とAlは強固な結合を持つのに対し、PrイオンはVAl10が作る「籠」に弱く結合していることが判明しました。

このように単純な結晶構造解析からも様々な情報を得ることができます。精密構造を決めることはとても大事なことですね。(文責:奥山)

Daisuke Okuyama, Masaki Tsujimoto, Hajime Sagayama, Yasuyuki Shimura, Akito Sakai, Atsushi Magata, Satoru Nakatsuji, and Taku J Sato
Crystal Structure in Quadrupolar Kondo Candidate PrTr2Al20 (Tr = Ti and V)
Journal of the Physical Society of Japan, 88(1), 015001(2) (2019).
DOI:10.7566/JPSJ.88.015001

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