共同研究部門では、共同研究成果を発信するために、資源素材学会を中心に成果発表を行っております。
また、産学による非鉄金属製錬業の啓発活動、共同研究活動の紹介も行っております。全国の大学で、資源開発、非鉄金属製錬を専門とする研究室、研究者が減少している状況を改善する一助となるべく、産学連携による研究の推進を図っております。
2020年
2020年9月8日火曜日
資源・素材2020(仙台)企画講演「ポストコロナ新時代の非鉄金属製錬研究への期待と展望」
新型コロナウィルス禍で、Web 会議の有用性が認識され、情報化社会へ一段と加速し、一気に Society 5.0 時代の到来が予想されます。Society 5.0 時代における情報機器を基盤とする社会を支えるのは、金属素材であるといえるでしょう。加えて、新型コロナウィルスの蔓延は、行き過ぎたグローバリゼーションに警鐘を鳴らし、我が国の資源確保と製錬技術の維持発展の重要性を再認識させました。そこで、ポストコロナ時代の金属製錬業における課題抽出を行い、新たな方向性について広く議論するこ とを目的として、本企画講演を企画致しました。
企画講演では、東北大学工学研究科長 長坂徹也教授、同レアメタル・グリーンイノベーション研究開発センター長 杉本諭教授に、現代の冶金学、資源循環研究を取り巻く状況について基調講演を頂きました。
続いて、住友金属鉱山株式会社と本研究部門の共同研究成果について講演を行いました。住友金属鉱山株式会社からは、高橋純一様、浅野聡様より、共同研究成果をいかにして実業へつなげるかについての方針についてのご講演がございました。具体的内容について、共同研究各担当者から講演を行いました。
全体を通じて、100名以上の方々が聴講してくださいました。本共同研究部門の活動への高い関心の現れであり、業界発展に寄与する成果への期待の大きさに身の引き締まる思いです。今後もますます共同研究、啓発活動に注力し、国内非鉄金属製錬業へ大きく貢献するために邁進したいと存じます。
皆様のご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
講演題目 | 講演者 | |
基調講演1 | 資源が循環する社会の創造を目指して —磁石研究から見たレアメタル・グリーンイノベーション— |
杉本諭(東北大学) |
基調講演2 | 冶金学は本当に絶滅危惧種か? | 長坂徹也、松八重一代(東北大学) |
1 | 非鉄金属製錬研究乾式テーマ成果の 実業への具体的展開について |
高橋純一(住友金属鉱山株式会社) |
2 | ガスジェット浮遊技術を用いた Cu2S融体の熱物性測定 |
安達正芳1、後藤宏樹1、大塚誠1、渡邉匡人2、高橋純一3、 福山博之1(1東北大学、2学習院大学、3住友金属鉱山株式会社) |
3 | マグネタイト/マット間界面の その場観察による反応解析 |
川西咲子1、申勝煥1、助永壮平1、高橋純一2、柴田浩幸1 (1東北大学、2住友金属鉱山株式会社) |
4 | 鉄濃度の高いケイ酸塩スラグのガラス化 | 助永壮平、Mai Paolo、川西咲子、柴田浩幸(東北大学) |
5 | 懸垂した銅精鉱小塊の燃焼挙動の その場観察による反応メカニズムの検討 |
西村伊織、夏井俊悟、伊藤昭久、埜上洋(東北大学) |
6 | 湿式テーマ成果の実業への具体的展開について | 浅野聡(住友金属鉱山株式会社) |
7 | 浮選による銅製錬工程未回収有価金属の分離手法の開発 | 石原真吾、打越雅仁、加納純也(東北大学) |
8 | イオン液体による銅電解液からの銀の抽出 | 蟹江澄志、宮西遼、半澤直諭、村松淳司(東北大学) |
9 | 陰イオン交換法による銅電解液からの 銀の回収における脱離溶媒の検討 |
打越雅仁1、渡邉寛人2、浅野聡2(東北大学) |
10 | 副産物の有効利用に向けた機能材料開発: 太陽電池材料Enargite型Cu3AsO4のイオン交換による合成 |
鈴木一誓1、小俣孝久1、渡邉寛人2、浅野聡2 (1東北大学、2住友金属鉱山株式会社) |
本企画講演では、基調講演をお引き受けくださった長坂徹也先生、杉本諭先生をはじめ、多くの方々にご協力を頂きました。
ここに謝意を表します。