発表のポイント
LDL受容体は、動脈硬化を促進するLDLに結合し細胞内に取り込むタンパク質です。LDL受容体の立体構造形成に問題が生じると、高コレステロール血症、ひいては脳梗塞、心筋梗塞などの疾患の原因になります。東北大学多元物質科学研究所の門倉広准教授、稲葉謙次教授らのグループは、ヒト低比重リポタンパク質(LDL)受容体が、細胞内で翻訳合成されつつ、正しい立体構造に折りたたまれていく様子を観察することに初めて成功しました。今回の結果から、LDL受容体の立体構造形成は、従来の見解より早い段階(翻訳合成中)において、精緻な制御のもと進行することがわかりました。本研究で得られた知見は、LDL受容体上の変異によって高コレステロール血症が発症する仕組みを理解するための基盤になると期待されます。
本研究成果は、米国科学アカデミー紀要オンライン版に、6月29日(米国東部時間)付けで公開されました。
プレスリリース本文(PDF)
図:LDL受容体の立体構造形成に関する新しいモデル
数字は、全長を100%とした場合の、合成されたLDL受容体の相対的な長さを表す。その他、詳しくは本文参照。
論文情報:
“Observing the nonvectorial yet cotranslational folding of a multidomain protein, LDL receptor, in the ER of mammalian cells”
Hiroshi Kadokura1,2,3,*, Yui Dazai2, Yo Fukuda2, Naoya Hirai1, Orie Nakamura1, Kenji Inaba1,2,3
所属:1東北大学 多元物質科学研究所、2東北大学大学院 生命科学研究科、
3東北大学大学院 理学研究科化学専攻
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (Proc. Natl. Acad. Sci. USA)
DOI:10.1073/pnas.2004606117
関連リンク:
生体分子構造研究分野(稲葉研究室)
東北大学大学院 理学研究科
東北大学大学院 生命科学研究科
東北大学
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東北大学多元物質科学研究所
担当:准教授 門倉 広(かどくら ひろし)
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