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お知らせ
みやぎ県民大学開放講座にて和田教授が講演しました

7月1日、多元物質科学研究所において、みやぎ県民大学公開講座を開催、33名が参加しました。NPO法人みやぎ生涯学習指導・支援センターの小岩公彦 副理事長による開講の挨拶に続いて、生命機能制御物質化学研究分野の和田健彦教授がお話しました。

今回のテーマは「生物はなぜ”弱い相互作用”を利用するのでしょうか?-副作用の少ない、がんや脳梗塞を治すお薬開発をめざして-」です。講座の前半では、アミノ酸には、左手と右手のようにお互いに鏡像関係にあるものが存在し、その鏡像異性体は通常ほぼ同じ量が生成されるのに、地球上の生命を構成するアミノ酸は、そのほとんどが左手型であること、このアミノ酸の鏡像異性体の偏りは、生命の起源と関わりがあるのではないかと注目されていることなどをお話し、ヒトの遺伝子を構成するDNAやRNA、そして蛋白質を形作るアミノ酸が、どのように弱い相互作用で機能を発現しているかについて解説しました。また、身のまわりにある物質、たとえば水と油、小麦粉と水等の混ざり方が温度によって変わること、つまり、弱い相互作用が大きく影響していることについて説明しました。

後半では、和田教授らの研究チームが開発している最先端の核酸医薬を紹介しました。くすりが正常細胞では作用せず “がん” 細胞の遺伝子にだけに効くしくみについて、弱い相互作用を利用しているからこそ細胞内の環境変化に対応出来ることについて解説しました。さらには、”がん” が再発したときだけ作用する、副作用のないくすりを開発していることについて、また、このくすりを応用して開発した ”脳梗塞” のくすりのしくみについても紹介し、「家庭で、ドレッシングを混ぜるときなど、生活の中でもサイエンスを身近に感じて、楽しんでほしいです」と締めくくりました。

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次回のみやぎ県民大学開放講座「生命と化学の接点」は・・・
7月8日(金)14:00~16:00 、
「細胞の中のタンパク質の一生: 不良品タンパク質が引き起こす怖い病気」 と題して、
稲葉 謙二 教授(生体分子構造研究分野)がお話します。

関連リンク: みやぎ県民大学開放講座「生命と化学の接点」
第1回「遺伝子に作用するくすり」永次史教授 開催報告
第3回「細胞の中のタンパク質の一生:不良品タンパク質が引き起こす怖い病気」稲葉謙次教授 開催報告

 

問い合わせ先

東北大学多元物質科学研究所 総務係
TEL: 022-217-5204 FAX: 022-217-5211
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