平成13年5月22日

界面・電気化学第6回小テスト(基本調査)

専攻                                  学籍番号                                        氏名                                               

 

1.        分散と凝集を支配する力をそれぞれ想定し、2つの力の合力、あるいは、2つのエネルギーのトータルなエネルギーであると考えることの合理性について論ぜよ。

 

まず、1対問題である、という前提が必要である。つまり、1:1で考える、ということ。一つの粒子が一つの粒子と分散しあうのか、凝集するのか、ということ。

次に、凝集は、引力あるいは引き合うエネルギーであり、分散は、反発力あるいは反発し合うエネルギーである、と考える。

すると、1対の粒子は常に両者の合力あるいは、2つのエネルギーのトータルなエネルギーであると仮定すると、取り扱いが楽になる。

これは丁度、化学結合において、金属結合以外は、共有結合とイオン結合の間にあって、共有結合性(あるいはイオン結合性)という尺度が用いられることと似ている。

 

 

2.        電気泳動とは何か、述べよ。

 

分散媒(水など)中の粒子に電場が与えられると、粒子は動く。これを電気泳動と呼ぶ。この場合粒子には電場による駆動力と、動くために粘性力という反発力がかかる。これが等分にかかったとき、粒子は等速運動する。これにより、粒子表面の電位を測定することができる。この電位をζ電位(ゼータ電位)と呼ぶが、これは種々の実験から、いわゆる表面電位とは異なることがわかっている。

さて、たとえ粒子が絶縁体でも泡でも電場をかけると動くから、粒子内部に依存するものではない。つまり、分散媒と粒子が接するところにある、界面エネルギーが現実に我々の見える形ででてきたものととらえると考えやすい。つまり、表面の電位に依存していることは間違いない。ところが、その表面電位とζ電位が違うことは、水銀の実験などから確かめられている。

では、どう考えるべきか。

 


 


電場がかかると粒子は上の図のように動く。すると、動く粒子と、静止している水の間にスリップ面が生じる。拡大してみると、こんな感じ。

 


 


つまり、粒子表面に近い水は粒子と一緒に動くが、離れていくと動かなくなる、というイメージである。これだと、表面よりも遠いところの電位を測定していることとなるが、それがζ電位である。

実際、水銀の実験から、表面電位よりもζ電位はかなり小さいことがわかっている。

が、我々が粒子の電位を測定することができるのは、この電気泳動に限られていて、表面電位の真の値を求めることはできないので、ζ電位を通して、表面の電位を推定するしか手はないのである。

 

3.        界面における表面電位を数式で与えるための基礎式は何かあげよ。

 

上で、ζ電位は表面から少し離れた地点の、表面電位よりも小さな電位である、と述べた。このことから、次のような電位勾配を考えると考えやすい。

 


 


つまり、表面から離れて行くに従い、電位が下がるというものである。

電位が下がる理由は、表面には、表面電荷の対イオンが集まっているが、表面から離れていくとその数が少なくなるから、であろうと推定されている。

そこで、ここにボルツマン分布を考えると、任意の電位ψでの、イオン数濃度を規定できる。これが基礎式の1つ目である。

もうひとつは、電荷に関する、ポアソンの式であるが、これは今度の講義の中で説明する。