平成13年4月24日

界面・電気化学第3回小テスト(基本調査)

専攻                                  学籍番号                                        氏名                                               

 

1.        コロイド分散系と分子分散系。違いは何か?

 

<回答例は全回の小テスト回答を参考にすること>

 

2.        雨が降った後、道ばたには泥水ができている。泥水の中の大きな粒子はやがて沈降するが、小さな粒子はいつまで浮遊していて、濁っている。濾過することなく、透明な水を得るにはどうしたら、いいか。また、それはどういう理由によるのか、説明せよ。

 

まず、濁っているのは何か、考える。

粒子が分散している状態と考えよう。泥が沈んで濁りがとれた状態とはなにか。これも同時に考えよう。前者を「分散状態」にある、といい、後者を「凝集して沈殿した」と言う。

【分散の駆動力=熱運動】

では、これらの駆動力とは何か。

分散状態、でも、凝集状態でも、同じく働いているものがある。それが熱運動であり、コロイド粒子の特徴としてあげられる、ブラウン運動である。重いものは、このブラウン運動をおこさないが、これは熱運動のエネルギーが比較的小さいからである。

つまり、分散状態でも、凝集状態でも同じように熱運動に結びつくエネルギーは与えられている。しかしながら、前者は、分散し、後者は凝集する。違いは何か。

【分散と凝集の違いは、大きさ】

雨と霧を考える。

前者はすぐに地面に落ちてくる。後者は空気中に分散している。

違いは何か。大きさである。大きくなると落ちてくるのは、空気の比重よりも大きいからである。

【大きさが変わるのは変だ】

泥水が濁っているときと、泥となって沈殿したときの比較。

牛乳に食塩を入れてバターをつくるときのこと。

コロイド粒子が分散している状態と、それが凝集している状態。

これらを比較すると、大きさが変わったというのは、厳密にはおかしい。どう考えればいいのか。

結局、分散状態と凝集状態の違いは、前者は粒子がほぼ1個が1個で存在する状態(霧の状態)と、後者は粒子が2個以上結びついて一緒に行動している状態(雨の状態)と考えると考えやすい。

【凝集とは、みかけの大きさが大きくなること】

つまり、凝集によって、“みかけの大きさが大きくなる”から、沈殿したりするのである。

分散と凝集は、何ら化学的変化はないが、単に粒子が単独で行動するか、集団で行動するか、という違いと捉えた方がいい。

霧が雨になるとき、霧が凝集すると一緒になって雨粒になるが、これはあくまでも結果と考えよう。シリカコロイドみたいな、酸化物コロイドが凝集しても、霧と雨の関係にはならない。つまり、シリカ粒子が凝集しても、合一せず、凝集体として行動する。

【分散と凝集のシンボリックな考え方】

結局、つきつめれば、こう考えるといい。

 


 


分散するためには、粒子同士が、反発している必要がある。

凝集するためには、粒子同士が、引き合わないといけない。

後者の力としては、分子間力が知られている。

 

以後の展開は、今後の講義で明らかにしたい。

 

 

3.        書道で使う墨汁は、炭の分散液、コロイド溶液である。なぜ、水と仲の悪い炭が分散しているのだろうか。物理化学的に説明せよ。

 

<この回答については、今後の講義で明らかにしていく>