平成13年度「界面・電気化学」講義概要
担当:村松 淳司(多元物質科学研究所=片平キャンパス)
1. 講義の目的
(1) 身の回りの界面・電気現象に興味を持つこと
(2) それらの現象を物理化学で説明できることを理解すること
(3) 物理化学とは身の回りの化学であることであると理解すること
(4) 社会人になってからこそ、環境問題に興味をもってもらうこと
2. 講義日
毎週火曜日2限
3. 教室
共通2番教室
4. 講義回数
13〜15回(予定)
講義スケジュール
第1回界面電気化学への誘い 基本調査
第2回界面化学の基礎 1 表面電位
第3回界面化学の基礎 2 表面張力
第4回界面電気現象
第5回一服
第6回コロイド化学 1
第7回コロイド化学 2
第8回コロイド化学 3
第9回一服
第10回化学平衡
第11回電解質溶液
第12回反応速度論 1
第13回反応速度論 2
第14回トピックス
5. 成績
出席重視。毎回講義前に前回講義内容に関する小テスト実施。
概ね、7割以上出席で合格以上。明朗会計評点制度を導入。
小テストは、各問3行以上記入のこと。3行以上の記入があれば大抵の場合はok。
6. 約束
(1) 遅刻は10分まで
(2) 居眠り、内職、雑談は退場
(3) あくまでも出席重視
7. 特別講義
(1) 例年、温泉の化学、酒の化学、環境特別講義を実施している
(2) 要望があれば上記以外の特別講義を実施予定
8. 講義の補足情報は講義ホームページで
(1) ホームページ http://www.iamp.tohoku.ac.jp/~liquid/MURA/kogi/kaimen/
9. 問い合わせ先
(1) 電子メール mura@tagen.tohoku.ac.jp
(2) ファックス 022−217−5215
(3) 村松の居場所:
片平キャンパス 多元物質科学研究所素材工学研究棟3号館2号室
10.参考図書
コロイド化学関係や触媒化学の基礎的な本(ブルーバックスでもよい)
平成13年4月10日
界面・電気化学第1回小テスト(基本調査)
専攻 学籍番号 氏名
1. 物理化学に対するイメージを書け
物理化学とは、physical chemistryと書くが、physicalは動きや変化を伴うものと解釈した方がよい。従って、物理化学は動きや変化に関する化学といえる。
物理化学は次のように分類できる。分類によって2つを示す。
・ 界面化学、電気化学、触媒化学
・ 平衡論、速度論
本講義では、界面化学=平衡論(コロイド分散系における平衡論)と、触媒化学=速度論(吸着や表面反応)を講義する。
物理化学とは、生活に密着した化学的現象を論理的に説明する学問であり、決して数式を扱う学問ではない。種々の現象を物理化学的にとらえるとは、論理的に説明するということである。
2. 1モルの定義を述べよ
アボガドロ数個集まった、原子、分子等の全体を1モルとしている。
炭素12gを考える必要はない。
1モルとは我々が考えやすい物理量にしてくれるもので、原子や分子を1つ考えることは、あまりにも小さくて直感的に理解できないので、アボガドロ数個全体を1つに考えることによって理解をたやすくするためのものである。
たとえば、炭素12g(ほぼ1モル)が燃えたとき、CO2がどれだけ出るのか、ということを考えるとき、CO2の分子量が44とすると、44gのCO2が出る、というのは、実感が湧くではないか。
あと、22.4リットルと書く人もいるが、それは明らかに間違い。
3. コーヒー、牛乳、日本茶に共通する物理化学的な現象とは何か、書け
コロイド現象である。3者とも、コロイド分散系である。コロイドとは、分子ではなく、固体の分類に属するもので、分子分散系とコロイド分散系は区別されているが、ミクロ的に見ると、両者の間に明確な区別はつきにくい。
4. ダイオキシン問題は何が“問題”なのか書け
ダイオキシンは人間が火を使う前から自然界にあるものである。もちろん、最も有毒なものは人工物質かもしれないが、少なくともダイオキシン類はつきあいが深い。問題は濃度なのであり、また、今母乳等で問題になっているのは、30年以上も前に問題になった、PCBによるところが大きい。
つまり、ダイオキシンは非常に長い目で見ないといけない。焼却炉の撤去や、ビニル袋の追放だけで解決する問題では、決してないのだ。
5. この講義に期待する内容とは何か書け(自由に書いてください。裏面使用可)
次回の講義は、生活の中のコロイドを振り返って見ましょう。