担持触媒Supported Catalystsの構造と役割

 

担持とは: 何らかの物質に触媒物質が載っているような状態

たとえば、自動車トレーラーに乗っている、自動車が触媒で、トレーラーが担持されている物質=担体という

 

担体(=Suport)の性質:

吸着物質としてよく用いられる物質が担体になりやすい。たとえば、活性炭とか、シリカゲルなど。これらには、多くの細孔=非常に小さな孔 が開いていて、そこに水分子などが入っていき、吸着することとなる。吸着量は、この孔が多いほど、多くなる。なぜなら、孔が多いと、全体の表面積が大きくなり、単位重量辺りの表面積(これを比表面積という)が大きくなるから、吸着量(通常、単位重量あたり)は大きくなる。活性炭で 100150 m2/g、で シリカゲルで150250 m2/gくらいある。地面に蟻の巣が張り巡らされているようなものを想像すればいい。

シリカゲルやアルミナ、活性炭、チタニアなどの担体に、種々の触媒が担持されて、担持触媒を形成している。反応物は大抵、気相(gas)か、液相(liquid)なので、それらの相を考えて、この固体触媒のことを、不均一系触媒(Heterogeneous Catalysts)と呼び、これに対して、均一系(Homogeneous Catalysts)触媒は酸触媒など通常液相中で液から液への合成反応で使われる。工業的には、操作性の優れた、不均一系触媒が多いが、唯一、酢酸合成に用いる、Rh系触媒は、均一系である。

多孔性酸化物を担体に使うメリットは、下図のように、より多くの触媒成分を担持できるからである。

 

触媒成分を見ると、細孔が発達している方が、多く担持されていることがわかる。

 

担体の役割:

NO分解触媒として知られる、Cu-ゼオライト系触媒は、NO + COから、窒素と炭酸ガスを生成し、無害化している。COでなくても、炭化水素でも同様な反応経路で進む。この触媒は、担体をゼオライトから、シリカゲルなどに変えると、触媒活性が低くなる。これは、担体によるCu粒子への電子の移動などで、Cu自体の特性の変化によるものと考えられている。

つまり、担体は単なる、触媒を支える物質だけではなく、かと言って積極的に触媒反応に関与しているわけではない。この電子的な影響は、Cu表面への各種反応物の吸着熱、つまり、吸着の強さを変える効果がある。

さらに、酸化物に吸着しやすい、反応物が最初に、酸化物担体上に吸着し、それがCu表面に移動する、スピルオーバーという現象が観察され、これも担体の効果である。つまり、吸着サイトとして、担体が担い、反応サイトとして、触媒成分が担う、というものである。いわば、別の機能を複合化した、複合触媒のような感じ。イメージで書くと