小テスト&基本調査        平成10616

 

1. 次のそれぞれの溶液に、固体のAgClを十分な量添加し、溶解平衡に達した。理想溶液として、溶液中に存在する25℃におけるAg+イオン濃度をそれぞれの場合について、計算せよ。なお、AgClの溶解度積 [Ag+] [Cl-] = 1.8 x 10-10 mol2/l2 at 25 ℃。

(a) NaCl: 1 x 10-3 mol/l 溶液 (b) pH = 5 の溶液

<考え方>(a)は、Cl-イオン濃度が1 x 10-3 mol/lとして、(b)は、溶液中にCl-イオンが予めがないので、[Ag+]=[Cl-]として解く。

 

2. 20, 1 atmにおけるC(グラファイト), H2, CH4の燃焼熱ΔHは、それぞれ

-394.13, -285.95, -891.10 kJ/mol である。0℃から600℃の間の定圧モル比熱Cp

C(グラファイト): Cp = 4.60 + 0.02008 T ? 0.000005 T2

H2: Cp = 27.20 + 0.0038 T

CH4: Cp = 22.34 + 0.0481 T

このとき、500, 1 atmでのメタンの生成熱を求めよ。

<ヒント> C(グラファイト), H2, CH4の燃焼反応は、それぞれ次のように書ける。

C + O2 ? CO2 + ΔH1

H2 + 1/2 O2 ? H2O + ΔH2

CH4 + 2O2 ? CO2 + 2 H2O + ΔH3

従って、メタンの生成反応は、

C + 2 H2 CH4 + ΔHf で(ここで、ΔHfは生成熱)

生成エンタルピー変化は 

ΔHf =ΔH1 + 2 xΔH2 -ΔH3 = ?? kJ/mol (これは20℃のとき)

また、定圧モル比熱変化 ΔCpは、定義より 

ΔCp=Σ(生成系の全Cp)-Σ(反応系の全Cp)

だから、 ΔCp = CpCH4 - CpC - 2 x CpH2 = ?? 

すると、500℃のときのΔHfは、ΔHf =ΔH0 +∫ΔCp dT

つまり、で、計算できる。単位に気をつけること。kJだったり、Jだったり。

 

3. 

 

可逆変化で仕事が体積変化だけによる場合でとなり、圧力一定のとき、あるいは、となる。つまり、定圧におけるGの温度係数は、負号をつけたエントロピーに等しい。定圧のもとで系が状態1から状態2にかわる場合、それぞれの状態で温度をdTだけ微笑微小変化させると、

という関係式は、化学ポテンシャルの関係式から次のように導出できる。

ここから問題

(a) 2CO + O2 ? 2CO2 の反応の25℃における平衡定数Kpを計算せよ。ただし、COCO2のそれぞれの25℃の標準生成自由エネルギーは、-137.2,-394.4 kJ mol-1である。なお、単体である、O2のそれは0 kJ mol-1とせよ。 <ヒント>R=8.31 J/mol K, ΔG = 2xΔG CO2 - 2xΔG CO

(b) を変形することにより、ファントホッフ定圧平衡式を導き出せ。

<ヒント>の両辺をTで偏微分し、Gibbs-Helmholts式を代入する。

(c) ファントホッフの定圧平衡式は定積分すると、となる。ここで、は温度T1T2のときの平衡定数である。そこで、= -88.1kJで、300 K (27)の平衡定数Kp10と知られている反応の400 K (127 )における平衡定数を計算せよ。

単位に気を付けること。


(解答例)

 

小テスト&基本調査        平成10616

 

1. 次のそれぞれの溶液に、固体のAgClを十分な量添加し、溶解平衡に達した。理想溶液として、溶液中に存在する25℃におけるAg+イオン濃度をそれぞれの場合について、計算せよ。なお、AgClの溶解度積 [Ag+] [Cl-] = 1.8 x 10-10 mol2/l2 at 25 ℃。

(a) NaCl: 1 x 10-3 mol/l 溶液 (b) pH = 5 の溶液

<考え方>(a)は、Cl-イオン濃度が1 x 10-3 mol/lとして、(b)は、溶液中にCl-イオンが予めがないので、[Ag+]=[Cl-]として解く。

 

2. 20, 1 atmにおけるC(グラファイト), H2, CH4の燃焼熱ΔHは、それぞれ

-394.13, -285.95, -891.10 kJ/mol である。0℃から600℃の間の定圧モル比熱Cp

C(グラファイト): Cp = 4.60 + 0.02008 T ? 0.000005 T2

H2: Cp = 27.20 + 0.0038 T

CH4: Cp = 22.34 + 0.0481 T

このとき、500, 1 atmでのメタンの生成熱を求めよ。

<解答例> C(グラファイト), H2, CH4の燃焼反応は、それぞれ次のように書ける。

C + O2 ? CO2 + ΔH1

H2 + 1/2 O2 ? H2O + ΔH2

CH4 + 2O2 ? CO2 + 2 H2O + ΔH3

従って、メタンの生成反応は、

C + 2 H2 CH4 + ΔHf で(ここで、ΔHfは生成熱)

生成エンタルピー変化は 

ΔHf =ΔH1 + 2 xΔH2 -ΔH3 = -394.13+ 2 x (-285.95) ? (-891.10) =

= -74.93 kJ/mol (これは20℃のとき)

また、定圧モル比熱変化 ΔCpは、定義より 

ΔCp=Σ(生成系の全Cp)-Σ(反応系の全Cp)

だから、 ΔCp = CpCH4 - CpC - 2 x CpH2 =

= 22.34 + 0.0481 T - {4.60 + 0.02008 T ? 0.000005 T2 + 2 x (27.20 +

0.0038 T)}

= -36.66 + 0.02042 T + 0.000005 T2

すると、500℃のときのΔHfは、ΔHf =ΔH0 +∫ΔCp dT

つまり、で、計算できる。単位に気をつけること。kJだったり、Jだったり。

 

3. 

 

可逆変化で仕事が体積変化だけによる場合でとなり、圧力一定のとき、あるいは、となる。つまり、定圧におけるGの温度係数は、負号をつけたエントロピーに等しい。定圧のもとで系が状態1から状態2にかわる場合、それぞれの状態で温度をdTだけ微笑微小変化させると、

という関係式は、化学ポテンシャルの関係式から次のように導出できる。

ここから問題

(a) 2CO + O2 ? 2CO2 の反応の25℃における平衡定数Kpを計算せよ。ただし、COCO2のそれぞれの25℃の標準生成自由エネルギーは、-137.2,-394.4 kJ mol-1である。なお、単体である、O2のそれは0 kJ mol-1とせよ。 <ヒント>R=8.31 J/mol K, ΔG = 2xΔG CO2 - 2xΔG CO

<解答例>

ΔG = 2xΔG CO2 - 2xΔG CO=2 x (-394.4) - 2 x (-137.2) = -514= - RT ln Kp

Kp = exp (-ΔG / RT) = exp (514000 / 8.31 / 298) = 1.39 x 1090

(b) を変形することにより、ファントホッフ定圧平衡式を導き出せ。

<ヒント>の両辺をTで偏微分し、Gibbs-Helmholts式を代入する。

<解答例>

(c) ファントホッフの定圧平衡式は定積分すると、となる。ここで、は温度T1T2のときの平衡定数である。そこで、= -88.1kJで、300 K (27)の平衡定数Kp10と知られている反応の400 K (127 )における平衡定数を計算せよ。

単位に気を付けること。

 

<解答例>