平成10428

小テスト&基本調査

裏面を使用してよい。

番号[               ] 氏名[                  ]

1.緑茶と牛乳で酷似した物理化学現象はなにか。その現象を化学的に説明せよ。

 

2. コロイド粒子間に働くのは、どういう力か、説明せよ。

 

3. 雨が降った後、道ばたには泥水ができている。泥水の中の大きな粒子はやがて沈降するが、小さな粒子はいつまで浮遊していて、濁っている。濾過することなく、透明な水を得るにはどうしたら、いいか。また、それはどういう理由によるのか、説明せよ。

 

4. 書道で使う墨汁は、炭の分散液、コロイド溶液である。なぜ、水と仲の悪い炭が分散しているのだろうか。物理化学的に説明せよ。

 

<解答例>

平成10428

小テスト&基本調査

裏面を使用してよい。

番号[               ] 氏名[                  ]

1.緑茶と牛乳で酷似した物理化学現象はなにか。その現象を化学的に説明せよ。

(略)

 

2. コロイド粒子間に働くのは、どういう力か、説明せよ。

静電的反発力とvan der Waals引力である。この2つの力の合力が引力なら、凝集・沈殿し、反発力になれば、分散するというものである。(詳細は省略)

 

3. 雨が降った後、道ばたには泥水ができている。泥水の中の大きな粒子はやがて沈降するが、小さな粒子はいつまで浮遊していて、濁っている。濾過することなく、透明な水を得るにはどうしたら、いいか。また、それはどういう理由によるのか、説明せよ。

 

 凝析を使う。粒子の周りには、表面電荷があって、酸化物粒子だと、大抵、負電荷を帯びている。粒子が分散している理由は、この電荷による、反発力であり、この電荷を小さくしてしまえば、van der Waals引力により、凝集するものと考えられる。

この表面電位は、水溶液中で、粒子が離れると小さくなり、やがて、無限遠では、0電位となる。この表面電荷の厚みを、電気二重層の厚さと呼んでいるが、それは、溶液の電解質の種類や、濃度に依存する。すなわち、電解質の種類で、1価のイオンよりも、2価、3価と多価イオンになるほど、また、濃度が濃くなるほど、厚さは小さくなる。このため、粒子は互いの反発力を越えて、くっつくほどの距離に近づくことが可能となって、凝集、沈殿を起こす。

なお、van der Waals力は、距離の6乗の逆数に比例するほど、近距離で大きくなる力である。ただし、粒子のような剛体の場合は、分子−分子を剛体−剛体に積分することが必要であり、粒子−粒子間に働く、van der Waals力は、距離の2乗の逆数に比例するということになる。これについては、5/26の講義で教える。

 

4. 書道で使う墨汁は、炭の分散液、コロイド溶液である。なぜ、水と仲の悪い炭が分散しているのだろうか。物理化学的に説明せよ。

 

 炭が水に分散しにくいのは、バーベキューのとき、水たまりに炭を入れてみるとわかると思う。墨汁や硯石に墨をするときの墨には、あらかじめ、にかわ というものが入っている。これは、炭の廻りに吸着して、炭を疎水性から親水性に変えるものである。これは、洗濯などにおいて、よごれ(油分)が界面活性剤により、水中に分散するのと同じである。

つまり、我々は、上記、電気的反発力と違う種類の力の存在である、疎水性相互作用を実感する。