平成
10年7月7日今日で終わりです。最後に、この講義の感想を書いていただきます(右側のページ)
1998
(平成10)年度 界面・電気化学レポート課題
レポートの答え方: 各設問毎にメールか、学内便で提出すること。期限は、平成
10年7月21日まで添付メールは、画像ファイル、
Wordファイルに限る。提出先:
mura@iamp.tohoku.ac.jp 素材工学研究所 村松淳司宛
(注意)
●出席回数 6回の人は、レポート課題
Aを選択すること。満点12点なら、出席点と合わせて、61点になる。10点未満の場合、他の問題を選んでも、単位は取得できない。レポート課題Aを10点以上得点さえすれば、さらに、他の課題を選ぶことにより、得点を増やすことができる●他の人は、配点を見て、好きな課題
A〜E(複数可)を選んで、提出すること7回出席の人は、
3課題選んで満点であれば、61→97点となる
レポート課題
A 配点 12点 (出席回数 6回の人は必ずこれを選ぶこと)球形粒子間に働く静電的反発力あるいは反発エネルギーを求めるための、基礎式を示した上で、式の意味について簡単に述べ、式を解き、
レポート課題
B 配点 12点コロイド粒子が急速凝集を起こすとき、電解質のイオン価に依存するという、シュルツ・ハーディ則とは何か、その意味と式を示し、さらに、実例を述べよ
レポート課題
C 配点 12点Rh
触媒によるメタノールと合成ガスからの酢酸合成プロセスについて、触媒の構造と反応機構について述べよ。
レポート課題
D 配点 12点固体触媒において、アンサンブル効果、リガンド効果とは何か、説明せよ。
レポート課題
E 配点 12点ダイオキシンを生成させないために、我々がとるべき道は何か、破局へのシナリオを避けるための、3つの提言を記述せよ
昨年までは、これまでの小テストを返却していたが、200名を越えて、非常につらいので、欲しい人だけに返却します。欲しい人は、メール
mura@iamp.tohoku.ac.jp か、掲示板で、請求してください。講義内容の質問も受け付けています。
平成
10年7月7日講義のアンケート
学籍番号、氏名は書く必要はありません。来年の受講者にとっていい講義でありたい...そのためのアンケートです。なお、出席は、別紙の出席用紙の、自分の欄に○で記入してください。
1.
なぜこの講義をとったのか? 該当するものを○で囲む。主要因には、◎(二重丸)で囲むA.
単位取得が楽 B.講義内容が平易 C.界面電気に興味があるD.
その他(具体的に )2.
この講義について、受講前に考えていた(予想)講義と比べてどうだったか 1つに○A.
内容が平易すぎ B.内容は丁度いい C.高度すぎる D.その他↓(具体的に
)3.
この講義の評点の方法についてA.
現状がいい B.レポート形式がいい C.テストがいい D.その他(具体的に )4.
講義方法についてA.
問題ない B.改善の余地がある ↓具体的に記述してください(裏面使用可)
5. web page
を用いる方法についてA.
現状がいい B.無駄なので止めた方がいい C.もっと改善すべきB,Cを選んだ人は、理由あるいは改善すべき点を具体的に書いてください
6.
講義の感想をできるだけ多く述べて下さい。裏面も使用してください。
界面電気化学 特論
<環境問題に興味を持って下さい>
● 合成界面活性剤による環境破壊 → 純石鹸への誘い
1.石鹸の洗浄作用とは 水と油を混ぜ合わせる働きを持つ物質を界面活性剤という。界面活性剤の分子(界面活性分子)はその一端(親油基)が油に、もう一方の端(親水基)が水に馴染む性質を持っており、無数の界面活性分子の一端である親油基が油などの汚れを包み込むように取り巻くと、取り巻かれた汚れの外側は親水基で覆われるため、汚れは水に引っ張りだされる。これが、界面活性剤の洗浄作用。炭が水に分散するときの膠(にかわ)の働きと同じである。
洗浄用の界面活性剤の中で、脂肪酸ナトリウムと脂肪酸カリウムを『石鹸』と呼び、それ以外のものを『合成界面活性剤』と呼んでいる。
2.合成界面活性剤の悪夢 石鹸
(高級脂肪酸のナトリウム塩)は 24時間で水と二酸化炭素に完全に分解されるが、水温 10度の条件下では、 LAS (合成洗剤の主成分: 陰イオン系合成界面活性剤=直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)はほとんど分解しない。 20度の条件下になっても、 ABS(分枝型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)はほとんど分解されず、 LAS は 8日目にして界面活性はなくなるが、まだ有機炭素という形で残存する。また、石鹸カスは微生物の栄養源となり生態系にリサイクルされるが、LAS の場合は 1日目にはまだ 90% も残っており、毎日洗濯していれば LAS は衣類にずっと残っていることになる。
● ダイオキシンの恐怖 → 低温燃焼による準安定相の形成
ダイオキシンの毒性: 急性毒性,慢性毒性,発がん性(二段階説;イニシエーションとプロモーション),生殖障害,免疫毒性,催奇形性
発生経路: このダイオキシンは、塩素を含む高分子化合物の低温燃焼(600〜800℃)によって生成すると言われている。代表的な塩素含有高分子化合物が、塩化ビニルだ。塩化ビニルモノマーH2C=CHCl
の重合物である。
ただ、これだけが発生源であると考えるとおかしな点があって、触媒化学者は、この塩化ビニルの燃焼反応の他に、塩化ナトリウム+酸化物(シリカ、アルミナなど、土もそう)から、金属(
Fe, Ni, Coなど)を触媒とすると、300℃程度で塩化水素ガスが発生することから、塩化ビニルがなくてもダイオキシン類が発生するという見方を持っている。事実、火葬場や高分子化合物の存在しない金属精錬関係からも、ダイオキシン類は発生している。これまでの被害: 除草剤「
2,4,5-T」や、米軍が使ったという枯葉剤が、自然で分解すると、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾパラジオキシンになるが、催奇形性物質だった....これが始まり? いやそうではなくて、もっと以前にあったのだ。1957年米国ジョージア州で鶏やその雛が数百万羽突然死する事件が発生した。鳥の餌に混入された油に微量含まれていたダイオキシンのためであることが判明。また1958年にはダイオキシンの動物に対する急性毒性に関して、ドイツの学者が初めて報告している。一方、ベトナム戦争では、米軍は、ベトコンゲリラの活動拠点となっていたジャングルを枯らすために7,200万Lの除草剤 「エージェント・オレンジ」= 2,4-D をばらまいたが、その中に170kgもの量のダイオキシンが含有されていた。戦後、米軍の行った「枯葉作戦」が、ベトナム現地人やこの作戦にかかわった米軍兵士の子孫に大きな悪影響を与えたことが判明。
1981年生のシャム双生児「ベトちゃん・ドクちゃん」の分離手術を行ったベトナムホー・チミン市のツーズー病院院長フォン氏によればダイオキシンが散布された1960年代には死産、流産が増え、散布中止後はそれに代わって先天異常(奇形)や泡状奇胎、ガンの増加が続いたそうだ。●南ベトナムベンチェ省で行われた調査結果 地域流産の発生率
2.2-2.7倍 奇形児の発生率 12.7倍 増加●南ベトナムの胞状奇胎(ブドウ子、がんに高率で移行する)の発生率
1979年には71年の約6倍に達した。●ベトナムの枯葉剤散布地域の先天奇形発生率 日本の
2.1-3.4倍日本では: カネミ精油工場が
1968年2月はじめに製造した米ヌカ油に、脱臭工程の熱媒体として使用されていた「カネクロール400」(PCB)が混入したことが原因で引き起こされたもの。約2,000人の認定患者: