平成12年6月20日

基本調査

裏面を使用してよい。

番号[               ] 氏名[                  ]

1. 身近にある食品で、コロイドの分散凝集挙動を上手に使った例をあげ、物理化学的な側面から説明せよ。

豆腐 → にがり → 凝集

牛乳 → タンパク質 → 分散

など

2. 身近にある製品で、触媒が使われている、あるいは、含まれている、あるいは、触媒を使った結果、できたものって、何があるだろうか。3つ例をあげて、どういう触媒が使われているか、記述せよ。

(例)

1.自動車触媒: ゼオライトやアルミナのような酸化物担体の上に、Pt白金が担持されている。児童hさ排気ガス中のNOx等を除去する。

2.ガソリンや経由など: 石油やナフサから蒸留された留分の付加価値を高めるために、接触改質している。この触媒は、別名fcc触媒と呼ばれており、石油化学の重要な触媒である。

3.メタノール合成: Cu-ZnO/アルミナ触媒であり、天然ガスから接触改質によって得た、合成ガスCO+H2からメタノールを合成する。得られたメタノールは酸化され、ホルムアルデヒドになり、これは、高分子化合物を合成する際の、もう一つの原料(共重合)である。

4.酢酸合成: 工業用酢酸は、いわゆる人絹の原料である。この酢酸は、上記の合成ガスとメタノールから、液相均一系で合成される。つまり、触媒も液体の、Rhロジウム系触媒を用いる。

5.オキシドール: 消毒用の過酸化水素の希薄溶液である。これを肌につけると盛んに酸素の泡を出すが、この酸素によって、消毒される。この酸素発生は、二酸化マンガンによる、過酸化水素水の分解反応と同様であり、肌によって分解を受けたわけであり、肌が触媒といえる。

6.生体触媒: 酒の生成の際の、麹菌の出す酵素や、酵母がある。さらには、唾液中の酵素など、ありとあらゆる酵素が小さな触媒である。


酒もコロイド!

たとえば、酵母は死滅後、凝集しやすいので、それを浮かせるのが、かれらがせっせと生産した二酸化炭素の泡であり(上面発酵)、あるいは泡に浮かないもの(下面発酵)もある。前者は、泡の表面が負電荷であるので、正に表面が帯電している酵母がヘテロ凝集を起こして泡と共に、水面に浮かぶし、後者は泡と同じ負電荷を有するので、泡と反発して、底に溜まる、わけである。
麦酒は麦芽中に含まれる糖化酵素のお陰で、麦の澱粉が糖化され、それが酵母によって、アルコールと二酸化炭素に発酵されるわけであるが、米の場合は、糖化酵素の元として麹菌を入れる。これは発酵も同時に行うという日本酒の特殊性もあるが、発酵で生じた副産物の乳酸によって麹菌は完全に死滅する。
どちらも、酵母は火入れ、あるいは精密濾過により除去され、製品である、麦酒と酒になるわけである。ちなみに、麦酒の場合は、麦芽をローストし、ばい菌を死滅させるが、このローストの程度により、黒麦酒になったりするのだ。
今日も、乾杯!


触媒の基本

触媒について: