http://www.metro.tokyo.jp/INET/ETC/SAITAI/HISAI/MIYAK262.HTM

平成12年9月27日                連絡先

午後2時30分                    環境局環境評価部広域監視課

東京都災害対策本部                  03-5388-3567







        東京都災害対策本部の対応等について(第162報)





      三宅島雄山の噴火の影響による都内の二酸化硫黄濃度について



 三宅島雄山の噴火の影響をうけ、8月28日から都内の測定局において環境基準(1時

間値で0.1ppm)を超える二酸化硫黄の濃度が観測されています。今回、これまでの

結果を取りまとめましたのでお知らせします。



1 二酸化硫黄の濃度が上昇した原因

  8月25日以来、三宅島の上空では、南よりの風が継続することが多くなった。この

 ため、三宅島の雄山の噴火に伴い、上空に吹き上げられた二酸化硫黄が南よりの風に乗

 って関東地方に運ばれ、関東上空で、下降流、空気の対流などで地表面に下降し、高濃

 度を記録したものと考えられる。



2 二酸化硫黄濃度が環境基準を超えた状況(区部・多摩部)

  8月28日は、多摩部で、8月29日、9月17日は、区部及び多摩部で広範囲に環

 境基準を超える値が観測された。特に、28日、29日は、高濃度が観測されている。

(1)環境基準を超えた日数:7日

  環境基準を超えた日数は、8月が3日、9月が4日の合計7日である。

(2)環境基準を超えた総局数:19局

  環境基準を超えた局数は、20局中19局(江戸川区鹿骨測定局は、環境基準を超過

 しなかった)である。

(3)環境基準を超えた総時間数:95時間

  環境基準を超えた時間数は、8月28、29日で全体の約7割を占めている。

(4)最高濃度

   0.935ppm(8月28日14時八王子市片倉測定局) 

   過去の二酸化硫黄濃度の最高値は、昭和42年1月、糀谷保健所測定局の0.68

  ppmである。

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│        │局数│延時間数│  時間帯   │最高濃度(局名):ppm │

+−−−−−−−−+−−+−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+

│8月28日(月)│ 8│ 26 │11〜16   │0.935(八王子市片倉)|

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│  29日(火)│14│ 41 │1、2、7〜14│0.600(福生市本町) │

+−−−−−−−−+−−+−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+

│  30日(水)│ 2│  2 │14、15   │0.142(世田谷世田谷)|

+−−−−−−−−+−−+−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+

│9月 9日(土)│ 4│  4 │13〜15   │0.124(中野区若宮) │

+−−−−−−−−+−−+−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+

│  11日(月)│ 4│  8 │5〜8     │0.205(大田区東糀谷)|

+−−−−−−−−+−−+−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+

│  16日(土)│ 3│  3 │15、17、23│0.112(町田市中町) │

+−−−−−−−−+−−+−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+

│  17日(日)│10│ 11 │8〜12    │0.200(中野区若宮) │

+−−−−−−−−+−−+−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+



3 健康影響への対応

  現時点の二酸化硫黄濃度では、急性の健康影響が問題となるレベルではないと考えられる

 が、環境基準を超える濃度が連日観測される場合は、念のために次の事項に注意する必要が

 ある。

   ・外出はなるべく控える。

   ・外から戻ったときは、目を洗ったり、うがいをする。

   ・屋外運動はさし控える。

   ・目の刺激を感じたり、咳が出たりした場合は、医療機関か最寄りの保健所に相談

    する。

  特に、喘息など呼吸器系の疾患を持つ方が、外出中に硫黄臭などを感じたときは、近

 くの建物の中に入るか、タオル等を水で濡らし、口や鼻を覆うなどの対応をとることも

 有効である。



4 今後の予想

 夏季は、太平洋高気圧が日本付近に張り出している場合が多いため、伊豆諸島付近の上

空は、南よりの風が多い。秋季は、移動性高気圧と低気圧が1週間程度のサイクルで日本

付近を通過するようになり、移動性高気圧の後面に伊豆諸島が入ると上空は南よりの風と

なるが、夏季より回数は、減るものと思われる。

 従って、今後、関東地方で硫黄臭や卵の腐った臭いが発生する可能性は残るが、その頻度は、減少するものと考えられる。