スペイン渡航記 (2007年9月26日〜10月5日)


京谷研究室 修士課程1年生 木暮太一
 ZTCの共同研究で私は西原さん、柏原さんとともにオビエドにあるInstituto nacional del carbonへ行った。マドリッド泊が2日間に土日をはさんだため、実際に研究所に行ったのは9月28日(金)と10月1〜3日の4日間だった。 初日はTascon教授と話をしてから、研究室の方々を紹介してもらった。
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写真1 スペインに出発前に東京にて。写真左から2番目はInstituto nacional del carbon研究員のNachoさん。京谷研に2週間ほど前より滞在しており、我々と一緒にスペインへ渡った。


 Tascon教授の話では現在、Boeing社との共同研究で旅客機の客室内に使用する難燃材の研究をしているとのこと。その後、Ameliaさんからマイクロ波酸素プラズマ処理装置についての説明を受けた。実際に設定するのは出力と時間のみだが、京谷研のプラズマ装置よりもマイルドな条件で処理できるので、ゼオライト/カーボン複合体の表面に付着した炭素皮膜を少しずつ取り除くことができるといっていた。その後Tascon教授から研究所の沿革、オビエドの気候とスペインの風土、9月29日、30日に滞在したサラマンカの街の場所、行き方、気候、サラマンカ大学の沿革、大学の正門のレリーフの話、レリーフにある幸運の蛙の話、サラマンカに特有のイースターの風習、三年前の長野であったNano carbon国際会議の話、善光寺の戒壇巡りと錠前の話、稲垣先生のご夫人の話などを聞いた。善光寺は私も行ったことがあり、真っ暗な通路の話題で盛り上がった。そして、Tascon教授にオビエド市内を紹介してもらえることになり、ホテルに戻ってから再度待ち合わせることとなった。市内ではサン・サルバドル大聖堂(写真2)やオビエド大学を始めとした文化財を見学した。
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写真2 夜のサン・サルバドル大聖堂


 土曜と日曜はサラマンカに滞在し、カテドラル、サン・エステバン修道院などの世界遺産の街並みを見学した(写真3)。
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写真3 サラマンカの旧市街地

 月曜には私と柏原さんの研究の口頭発表を行った。私の発表ではY-AcとA20の比較で炭素の規則構造の違いがレート特性に寄与すると議論していたが、A20の表面積と細孔径分布も近い材料であればもっと良い議論になるとNachoさんにコメントされた。また発表ではA20のイラストを典型的な活性炭の構造に見られるような樹状に発達した炭素構造を描いていたが、Tascon教授にACFは櫛状に細孔が発達しているものなのでイラストを変えたほうが良いとコメントされた。また、Y-AcとY-Ac(press)との比較のところで示した細孔径分布は本当に細孔径が小さくなっているのか判りづらいと言う意見がでた。さらに外部からの圧力できちんと細孔が小さくなっていると言えるのか、構造が壊れているのではないか?といった意見もTascon教授から得られた。セルの作成についてはNachoさんからカーボンブラックの役割について聞かれた。また電極作成の過程が超音波処理や真空含浸、静置24時間というように非常に複雑であるとのコメントも得られた。
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写真4 発表の様子(木暮)

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写真5 発表の様子(柏原)

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写真6 発表を聞く人達(手前から、Ameliaさん、Tascon教授、西原助教)

 火曜には研究所内のXPS、SEM、AFM/STM、窒素吸着装置、大型の常温空気プラズマ処理装置、ラマン分光装置などを見学した。また大型のグローブボックスもあったが、Tascon教授のグループではキャパシタはやっていないといっていた。余裕のある時間はM1研修の資料の作成などに時間を割くことになった。また、水曜は早朝から胃腸の調子をくずしてしまい、一緒の方々に迷惑をかけてしまった。
 今回の研修では全体を通して英語の聞き取りで非常に苦労した。特にTascon教授の英語は聞き取り易いものだったため、できるだけ話をメモに控えるように努めたが、書きこんでいるうちに話が進んでいき、フォローできなくなることが多々あった。また発表時においても具体的な質問になると話の意味を捉えることで精一杯で、うまく返答できず、歯がゆい思いをすることが多かった。このことから聞き取りの能力は集中して英語を聞かなければ鍛えられないと考え、webを利用して英語のヒアリングを行うことを始めた。また、研究室内の会話でも、英語で言ったらどういう表現になるのかを考えるよう努めるようにした。
 最後に、この様な貴重な経験をさせて下さった京谷先生に御礼申し上げます。