金属資源プロセス研究センター

研究分野

高温材料物理化学研究分野 福山研究室

福山 博之 教授 Hiroyuki FUKUYAMA, Professor
キーワード材料プロセシング/化学熱力学/融体物性/結晶成長

機能性材料プロセスと熱物性計測法の開発

当研究室では、化学熱力学と融体物性を融合させた新しい機能性材料のプロセス開発を提唱しています。
例えば、窒化物半導体は、青・紫からさらに波長の短い紫外線発光素子として、環境、医療、バイオ、情報分野での応用が期待されていますが、当研究室では、窒化物半導体の素子としての性能を向上させるため、結晶成長に関する物理化学的な知見を蓄積しながら、新たな結晶成長プロセスを創製しています。また、材料プロセスにおける複雑な熱物質移動現象をシミュレーションするため、熱物性値のデータベース化を進めています。電磁浮遊装置と静磁場を組み合わせて、金属融体の静的な浮遊状態を実現し、融体の熱容量、熱伝導率、放射率、密度および表面張力を高精度に計測する超高温熱物性計測システムの開発を行っています。
この技術によって、結晶成長、鋳造、溶接など様々な工学分野への応用や最近では金属積層造形(3Dプリンタ)の開発にも貢献することに加えて、未知の高温融体科学を切り拓いています。

High-temperature Physical Chemistry of Materials

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基盤素材プロセッシング研究分野 植田研究室

植田 滋 教授 Shigeru UEDA, Professor
キーワード 素材プロセス/製鉄製鋼/高温物理化学/リサイクル

植田先生

製鋼プロセスの新展開

持続可能な社会が求められる中で、高度な文明を維持するためには社会基盤となる素材供給を維持することが必要です。世界の粗鋼生産量は年々増加し、ベースメタルやレアメタルの需要も増加しています。この背景には新興国での旺盛な資源需要があり、同時に鉱物資源の劣質化およびCO2や有害な副産物発生の問題が顕在化してきました。この情勢の中で安全かつ安定な社会を構築するために、資源とエネルギー需給および原料の変化に対する対応力が高く低環境負荷で安定的に素材が生産可能なプロセスの構築と持続性の高い資源循環型の社会の構築が重要です。高温物理化学、反応プロセス工学をもとに資源、エネルギー対応、副産物の削減および利用といった社会基盤構築に必要な反応プロセスの構築を目指します。

Base Materials Processing

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機能性粉体プロセス研究分野 加納研究室

加納 純也 教授 Junya KANO, Professor
キーワード粉体工学/粉砕/メカノケミカル反応/リサイクル/水素エネルギー/レアメタル/シミュレーション

機能性粉体プロセスの創成とシミュレーションによる
粉体プロセスの最適化

粉体を原料、中間製品あるいは最終製品とする高機能性材料の開発・製造がいつの時代も盛んである。その材料の特性はその化学組成だけではなく、材料中の粒子充填構造にも大きく依存し、粒子充填構造は粉体粒子の粒子径やその分布など物性・特性値に大きく左右される。したがって、原料となる粉体の生成などの粉体プロセスを精緻に制御し、所望する粒子を取得し、かつ所望する機能を発現させるために、混合や成形、充填、複合化などの粉体プロセスを自在に制御する必要がある。

本研究室では、粉体プロセスを自在に精緻に制御するためのツールとしてのシミュレーション法の創成を行っている。本シミュレーションによって、粉体プロセスを最適化することにより、省エネルギー化や省資源化を図っている。また、粉体プロセスの一つである粉砕操作によって発現するメカノケミカル現象を積極的に活用し、都市鉱山からの金属リサイクルやバイオマスからの創エネルギーに関する研究を展開している。

ADEM による固体粒子破壊挙動のシミュレーション

Powder Processing for Functional Materials

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エネルギー資源プロセス研究分野 桐島研究室

桐島 陽 教授 Akira KIRISHIMA, Professor
キーワード放射化学/原子力バックエンド/廃止措置/溶液化学

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放射化学アプローチによる放射性廃棄物の
バックエンド工学

2011年の福島第一原発事故により、膨大な量の様々な放射性廃棄物が発生しました。この中には核燃料デブリなど現時点ではアクセスが限られ、性状や汚染の程度などが不明な取り扱いの難しい廃棄物が含まれます。これらは今後30-40年をかけて順次取り出され、安定化や廃棄体化処理を施し、処分される見込みです。これを実現するには廃棄物の性状や含まれる放射能量を正確に把握する必要がありますが、廃棄物には毒性が高く化学挙動が複雑な種々のアクチノイド元素等が含まれます。当研究室では、この困難な課題に放射化学アプローチによる実験研究で取り組んでいます。具体的には模擬デブリ合成・分析による燃料デブリの物理・化学特性の把握、汚染水へのアクチノイドの溶出挙動研究、さらには新規な汚染物の安定化および廃棄体化法の開発等を行っています。これにより、現在の日本における最も困難な工学課題である福島第一原発の廃止措置に大学の研究室として貢献することを目指しています。

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Energy Resources and Processing

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エネルギーデバイス化学研究分野 本間研究室

本間 格 教授 Itaru HONMA, Professor
キーワード再生可能エネルギー/ナノテクノロジー/リチウムイオン電池/燃料電池/太陽電池

ナノテクノロジーを低炭素社会構築に貢献させる

本間研究室では21世紀の科学技術が取り組む最重要課題である地球持続技術・低炭素社会構築の為にナノテクノロジーを利用した再生可能エネルギー技術のフロンティア開拓を行います。新デバイス・新材料開発を中心に、二次電池、キャパシタ、太陽電池等の革新的エネルギー技術を世に発信し、地球温暖化対策のイノベーションを起こすことを目的としています。

革新的エネルギー変換デバイスを実現するために、原子層材料 (グラフェン、遷移金属ダイカルゴゲナイド )、金属酸化物ナノ構造活物質、有機活物質、擬似固体電解質、超臨界流体プロセス技術、放射光分析等のナノテクノロジー基礎研究から、高容量・高出力型リチウム二次電池、大容量キャパシタ、燃料電池、化合物半導体薄膜太陽電池に資する高性能電極材料・デバイス創製の精密化学プロセスを研究しています。これらの革新的エネルギーデバイスを要素技術として低炭素化社会技術であるスマートグリッド、電気自動車や再生可能エネルギーの基盤強化に貢献します。

Chemistry of Energy Conversion Devices

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金属資源循環システム研究分野 柴田(悦)研究室

柴田 悦郎 教授 Etsuro SHIBATA, Professor
キーワード非鉄金属製錬/金属資源循環/リサイクル/廃棄物処理

非鉄製錬業を基盤とした金属資源循環システムの構築

非鉄製錬業は資源循環型社会を実現する上では必要不可欠の産業であり、金属資源循環の中心を担うことで、成長産業へ転換する可能性を持っている。また、今後人口増加と相まって、電気・電子機器の利用が加速度的に増加することが予想される。金属資源を継続的に確保していくためには、様々な製品に使用されている金属を循環利用していく必要がある。

本研究分野では、非鉄製錬業を基盤とした金属資源循環システムの構築に向けた研究活動を行っている。鉱物処理も含めた非鉄製錬学問分野全体に渡る横断的かつ従来の枠組みを超えた研究活動を行い、将来的な金属資源の高効率循環と環境保全の達成を目指している。鉱石のみならず金属元素を含有した様々な二次資源の前処理から主要製錬技術、製錬副産物の処理、環境負荷元素の安定化など金属資源循環に向けた研究・技術開発に関して、課題解決型研究や新規プロセス技術開発など、包括的に取り組んでいる。

金属資源循環工学の構築に向けた研究アプローチ

Metallurgy and Recycling System for Metal Resources Circulation

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原子空間制御プロセス研究分野 小俣研究室

小俣 孝久 教授 Takahisa OMATA, Professor
キーワード機能性無機材料/自然エネルギー利用デバイス/原子空間制御/イオンビーム

原子の占有空間をデザインし
環境調和型材料・デバイスを生み出す

人類がこれまで経験してきた大きな変革は新しい材料の登場が引き金となっており、現在直面しているエネルギー、環境、資源に関わる諸課題に対しても、必ずやそれらを解決へと導く材料があるはずです。先人たちの努力により、誰もが容易に入手できる安定な物質はもはや研究しつくされており、今私たちが渇望している新材料はダイアモンドのように使用環境で実質的に安定な準安定物質からなるに違いありません。

私たちの研究室では、そのような準安定物質を材料の新大陸と位置づけ、原子的なフレームワークをデザインした望む機能を発現する準安定無機化合物を、前駆体化合物中の可動イオンの置換や挿入により創製し、それらを環境調和型デバイス・システムへと応用すべく研究を進めています。

現在は、次世代型の薄膜太陽電池、中温作動型燃料電池、省エネ・広色域ディスプレイの中核をなす要素材料の開発とその素子化を研究しています。

Atomic Site Control in Inorganic Materials

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環境適合素材プロセス研究分野 埜上研究室

埜上 洋 教授 Hiroshi NOGAMI, Professor
キーワード製銑プロセス/シミュレーション/移動現象/多相流/反応速度/熱工学

反応動力学解析による革新的素材プロセスの開発

鉄鋼に代表される各種基盤材料の製造プロセスは、その製造量の膨大さから、資源・エネルギーの消費量も膨大で、これらを抑制し、循環型社会の実現に資するための変革が求められています。その方策として、現行プロセスの高効率化、資源対応の強化、革新的プロセスの開発などがあ
り、その実現のためには、プロセス内部で生じる現象や原料の反応特性を理解し、新たなプロセスを設計していく必要があります。

本研究分野では、環境適合型のプロセス開発に向けて、各種素材原料の物性値や反応特性の熱力学、熱工学、移動現象論や反応工学などの手法による解明、素材製造プロセスに広く見られる混相流動現象の流体力学、粉粒体工学などの手法による定量化を行い、これらの知見を数値流体力学やMPS 法、離散要素法など先端の流動解析手法を用いた熱流体解析の枠組みに組み込むことで、各種素材製造プロセスの数値シミュレーション技術の開発と定量評価・設計に取り組んでいます。また、新たな熱エネルギー回収および貯蔵プロセス の開発も進めています。

ロータリーキルン内の原料温度分布解析

Environmental-Conscious Materials Processing

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材料分離プロセス研究分野 柴田(浩)研究室

柴田 浩幸 教授 Hiroyuki SHIBATA, Professor
キーワードケイ酸塩/熱物性/凝固結晶成長/精錬プロセス/ワイドギャップ半導体

高効率素材製造プロセスのための高温界面物理化学

素材の精錬プロセス、製造プロセス、リサイクルプロセス等の原理を理解するには、異相間の化学的、物理的分離過程を詳細に理解する必要があります。これらの分離プロセスは異相間の界面における特性に左右されています。また、それぞれの相の化学的、物理的性質がプロセスの効率化に関係しています。

このようなプロセスは高温において実行されるため、高温における各種物性値も重要です。
例えば溶融珪酸塩や金属融体の熱伝導率、粘性は高温の精錬プロセスでは極めて重要な働きをします。これらの物性値はその物質の構造に敏感な性質ですので、物性の発現機構を物質の構造との関連から解明する研究を行っています。また、材料の分離プロセスや結晶成長に関わる界面における反応機構の解明を行っています。これらの基礎研究を基に実際の素材製造プロセスの高効率化や新規プロセスの開発に取り組んでいます。

Materials Separation Processing

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