時間分解フォトルミネセンス
Time-resolved photoluminescence

■測定方法の紹介
時間幅80フェムト秒の極短パルスを発生することが出来ます。

 1フェムト秒(fsec)は、千兆分の1秒。1ピコ秒(psec)は、その千倍。1ナノ秒(nsec)は、さらにその千倍、1マイクロ秒(μsec)は、またさらにその千倍で百万分の1秒。
 ちなみに光は160ピコ秒に5センチしか進まないから、フェムト秒の時間スケールでは、光は止まっているように見えるんだよ。
チタンサファイヤレーザー
 光励起により半導体中に生成された電子・正孔対(キャリア)は、左の図に示すような様々な過程を経て再結合することが知られています。時間分解フォトルミネセンス(TRPL)法では、半導体を、極短パルス光(80フェムト秒)で光励起し、その後の発光強度の時間推移(キャリアの寿命)を測定することにより、ピコ秒スケールのキャリアの振るまい(発光ダイナミクス)を観察することが出来ます。

 キャリアの再結合寿命は、半導体中の残留キャリア濃度や欠陥密度などに敏感なため、時間分解フォトルミネセンス法は、ナノスケールの結晶品質を評価する有効な手段の一つです
キャリアの再結合過程と予測される寿命
 発光再結合過程にはバンド間遷移・自由励起子再結合(FE)・束縛励起子再結合 (BE)・ドナ-価電子帯遷移(BF)・伝導帯-アクセプタ遷移(FB)・ドナ-アクセプタ対遷移(DAP)等があります。この他、バンドギャップ中の再結合中心を介した非発光再結合過程も起こります。
 全ての発光波長における発光強度の時間推移を同時に測定することが可能です。図は、立方晶In0.09Ga0.91N量子井戸からの発光のストリーク像です。
ストリーク像


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