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カチオン不定比が材料物性に与える影響の解明


  前項で述べた通り、材料の「酸素不定比性」がイオン・電子伝導性などの材料物性に影響することは広く知られており、これまでにも数多くの研究がなされてきました。しかしその一方で、材料の「カチオン(陽イオンのこと)不定比性」は、これまであまり着目されてきませんでした。一般に、SOFCの電極材料として用いられる酸化物には、カチオンの欠陥がほとんど入らない、すなわち、カチオン不定比性は非常に小さい、と考えられています。しかし、このことは裏を返すと、「カチオンの組成が少し変化しただけで、カチオンの活量(あるいは化学ポテンシャル)が大きく変化する」ことを意味します。したがって、カチオンの欠陥が少し導入されるだけでも、それによってカチオンの活量が大きく変化するため、材料の物性が定比のものとは全く異なるものになる可能性があります。そこで雨澤研究室では、この「カチオン不定比性」に着目した新しい材料機能設計を行うべく、カチオン不定比性を制御した試料を作製し、材料物性の変化を測定しています。