"
メールマガジン

Mail Magazine 10月号

メールマガジン 2007年 10月号

━━ ☆☆ 多元研 HOT NOW! ☆☆  ━━━━━━━━━━━━━━
   ★ 多元研 メールマガジン ★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2007年10月号 No.28 ━━━

 このメールはメールマガジン希望登録者様に送らせて戴いております。
 多元研が関わる学会、研究発表会・シンポジウム、その他、
 毎回HOTな情報をお届けいたします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ~ 目次 ~

1)御  礼 — 東北大学イノベーションフェア2007 in 仙台

2)行事予定 — 第27回 東北大学サイエンスカフェ
       (日本学術会議化学委員会と共同開催)

3)行事予定 — 第16回東北大学素材工学研究懇談会
       平成19年度ベースメタル研究ステーション
       資源変換・再生研究センター合同シンポジウム

4)行事予定 — 第7回 東北大学 多元物質科学研究所研究発表会

5)行事予定 — 「ポストシリコン物質・デバイス創製基盤技術アライアンス」
       平成19年度成果報告会

6)最近の成果 — 金属微細配線技術 – インクジェットの10分の1 –

7)最近の成果 — 新素材開発 - ガラスと樹脂の中間材料 –

8)最近の成果 — 空気中の水分 水滴に - 特殊な樹脂シートで収集 –

9)最近の成果 — X線造影性に富む生体用Pd系形状記憶材料を開発

10)最近の成果 — ナトリウムを利用した
        炭化ケイ素セラミックスの低温合成法を開発

11)ご 報 告 — 多元物質科学研究所における
        密封された放射性同位元素の誤廃棄について

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    1) 御礼
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    東北大学イノベーションフェア2007 in 仙台
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

   平成19年10月5日(金)に仙台国際センターで行われました
  東北大学イノベーションフェア2007 in 仙台は、大成功のうちに無事
  終了致しました。たくさんの方々にご来場いただき、皆様のご協力の
  賜物と心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    2) 行事予定
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    第27回 東北大学サイエンスカフェ
    (日本学術会議化学委員会と共同開催)
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

  日 時:2007年10月26日(金) 18:00~19:40
  会 場:仙台市科学館
      宮城県仙台市青葉区台原森林公園4-1

  「折れ曲がる電子製品をつくる」
          宮下 徳治(東北大学多元物質科学研究所教授)

  「炭素から新素材を作り出す」
          榎 敏明(東京工業大学大学院理工学研究科教授)

<講演内容>

宮下 徳治:私たちの身の回りには、衣類、電化製品など多くの高分子
(プラスチック)が使われています。自然界でも、材木、繊維、食物(米、
肉など)、また人間のからだ(髪の毛、皮膚、遺伝子( DNA ))なども全て
高分子物質から構成されています。今回のカフェでは、なぜ、高分子が自
然界で使われたか、優れた特性はどのようにして発現したのか、高分子の
魅力などについて紹介します。また、最近のナノテクノロジー材料の一端
として、宮下研究室で研究を行っている、 100 万分の 1 ミリの超薄膜の
高分子膜(高分子ナノシート)作成の紹介、この高分子ナノシートを集積
して様々な機能性材料へ応用するナノテクノロジー、さらに、ポストシリ
コン半導体にむけてフレキシブルなフィルムを用いたソフトエレクロニク
スへの取り組みについてもお話します。

榎 敏明:炭素は電子6個をもつ周期表14族第2周期の元素であり、グラ
ファイトやダイヤモンドの形でよく知られています。また、有機物の重要
な構成元素であり、生体物質の中や、プラスチック等、私たちの身の回り
の物質にはなくてはならない物質であります。サッカーボール状をしたC60
や炭素ナノチューブの発見以来、炭素はナノテクノロジーの中で最も注目
される物質として、研究の最先端で活発に研究がされています。ごく最近、
一枚のグラファイトシートであるグラフェンを簡単に作ることができるこ
とが明らかになり、グラフェンへの関心が急速に高まっています。なかで
も、ナノサイズ(10-9 m)の大きさのグラフェン(ナノグラフェン)はそ
の形に大きく依存した電気的、磁気的性質を持ち、炭素からできた新しい
磁石としての可能性を秘めていることが明らかとなりました。グラフェン、
ナノグラフェンの最近の研究についてお話をします。


 宮下教授は、高分子材料分野の研究が専門です。特に極めて薄い高分子
フィルムを集積して、電子機能、光機能、センサー機能などを発現する研究を
行っています。固いシリコン半導体素子とは異なった柔らかな、人間の感性に
対応した新規なフィルム電子素子の作成を目指しています。1997年に高分子
学会賞を受賞し、現在、高分子学会の副会長、新産業創造物質基盤センター長、
経産省NEDOのプロジェクトリーダなどを勤めております。


 「サイエンスってむずかしい」、「質問したいことがあるけれども誰に聞い
たらよいかわからない」、サイエンスカフェとは、そう思っている人たちと科
学者が、コーヒーカップを片手にサイエンスについて気軽に話し合い、サイエ
ンスの楽しさと社会貢献の姿を知ってもらう場です。
予約なしに、無料で、誰でもその場で自由に参加できるスタイルです。職場
での仕事や学校が終わってから参加できるように、平日の18:00-19:45に開催
します。 市民の方、中高生、大学生、企業の方、メディアの方の参加をお待
ちしています。

 ◆東北大学サイエンスカフェ http://cafe.tohoku.ac.jp/

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    3) 行事予定
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    第16回東北大学素材工学研究懇談会
    平成19年度ベースメタル研究ステーション
    資源変換・再生研究センター合同シンポジウム
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

・主催:東北大学多元物質科学研究所

 ・協賛:資源素材学会東北支部、日本鉄鋼協会東北支部、
     日本金属学会東北支部、日本原子力学会東北支部

 ・開催日:平成19年11月29日(木)、30日(金)

 ・場所:東北大学 片平さくらホール 2階 会議室
     仙台市青葉区片平2-1-1

 ・シンポジウム参加費:一般2,000円、学生無料
           (講演会場受付にてお支払いください)
 ・懇親会参加費:5,000円
        (講演会場受付または懇親会会場受付にてお支払いください)

 ・プログラム

 ◆11月29日(木)————————————–

 9:30~9:40 開会挨拶  齋藤文良(東北大多元研・所長)

[鉄鋼産業の競争と調和] 座長 有山達郎(東北大多元研)
  1. 9:40~10:20 「東アジア鉄鋼企業の成長」
           川端望(東北大学大学院経済研究科)
  2. 10:20~11:00 「環境における中国との共生」
           明日香壽川(東北大学東北アジア研究センター)
   休憩
  3. 11:10~11:50 「地球温暖化問題を通じた日本の鉄鋼業の貢献」
           米澤公敏(新日本製鐵)
  4. 11:50~12:30「独自の製銑技術を目指して」
           内藤誠章(新日本製鐵)
   昼食

[高級鋼戦略と資源への対応] 座長 葛西栄輝(東北大多元研)
 5. 13:30~14:10 「製鋼プロセスにおける高級鋼指向」
           山田和之(住友金属工業)
 6. 14:10~14:50 「製鋼プロセス研究から見た高級鋼製造技術の展望」
           北村信也(東北大多元研)
 7. 14:50~15:30 「技術から見た今後の高級鋼戦略」
           細谷佳弘(JFEスチール)
   休憩
 8. 15:40~16:20 「特殊鋼線材・棒鋼の現状の課題と今後の取り組み」
           鹿礒正人(神戸製鋼所)
 9. 16:20~17:00 「素材産業における資源セキュリティの重要性」
           柴田明夫(丸紅株式会社経済研究所)

 18:00~20:00懇親会 (ホテルモントレ仙台3階「ルツェルナ」の間)

 ◆11月30日(金)————————————–

[非鉄プロッセシングの新展開] 座長 北村信也(東北大多元研)
 1. 9:00~ 9:40 「資源から見た非鉄精練技術のあり方」
           中村崇(東北大学多元物質科学研究所)
 2. 9:40~10:20 「乾式銅精錬技術新動向」
           飯田修(三菱マテリアル)
 3. 10:20~11:00 「湿式亜鉛製錬技術新動向」
           坂田政民(三井金属)
   休憩
 4. 11:10~11:50 「非鉄製錬業の資源循環における貢献」
           浅井一宏(日本鉱業協会)
 5. 11:50~12:30 「チタン製錬技術の新展開」
           岡部 徹(東大生研)
   昼食

[放射性廃棄物の環境安全] 座長 中村崇(東北大多元研)
 1. 13:30~14:10「 放射性廃棄物の処分の現状」
           杤山修(東北大多元研)
 2. 14:10~14:50 「放射性廃棄物地層処分のセーフティーケース
           (安全を社会に伝えるにはどうすればよいか)」
           梅木博之(原子力研究開発機構)
 3. 14:50~15:30 「地層処分事業の実施の現状」
           北山一美(原子力発電環境整備機構)
   休憩
 4. 15:40~16:20「層処分基盤研究開発の現状と課題」
           油井三和(原子力研究開発機構)
 5. 16:20~17:00「地層処分にとっての地質環境安定性」
           山崎晴雄(首都大学東京)

 17:00~17:10閉会挨拶  有山達郎(東北大多元研)

  ◆詳しくは、こちらをご覧ください。
  http://www.tagen.tohoku.ac.jp/general/information/07112930.html

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    4) 行事予定
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    第7回 東北大学 多元物質科学研究所研究発表会
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

 主催:東北大学多元物質科学研究所
 協賛:応用物理学会、化学工学会、高分子学会、資源・素材学会、
    電気化学会、日本化学会、日本金属学会、日本結晶学会、
    日本顕微鏡学会、日本光学会、日本セラミックス協会、
    日本鉄鋼協会、 日本表面科学会、日本物理学会、日本分光学会、
    日本放射光学会、粉体工学会(予定含む)

日時:平成19年12月12日(水)
   [参加費:無料, 懇親会費:一般 2,000円・学生 1,000円]

会場:東北大学 片平さくらホール
   〒980-8577 仙台市青葉区片平2-1-1

—– 講演 —————————————-
13:00~13:10 多元物質科学研究所長 齋藤文良 挨拶

13:10~14:00 特別講演
    「分子プログラミングによる高度な組織化と新機能の創成」
            相田卓三先生 (東京大学大学院 工学系研究科 教授)

14:00~15:00
    「光機能発現をめざしたハイブリッドナノ集積体の構築」
            三ツ石方也 (多元ナノ材料研究センター 准教授)

    「メカノケミカル法による新規化学反応ルートの開拓」
            加納純也  (多元設計研究部門 講師)

    「電子線ホログラフィーを用いた機能性材料のドメイン構造解析」
            村上恭和  (先端計測開発センター 准教授)

15:00~15:20 素材工学研究奨励賞
            (財)科学計測振興会賞
            [籏野奨学基金]多元物質科学研究奨励賞

15:30~16:30 ポスターセッションA

16:30~17:30 ポスターセッションB

17:40~19:30 懇親会
             会場:東北大学 片平さくらホール
            (会費:一般 2,000円・学生 1,000円)

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    5) 行事予定
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    「ポストシリコン物質・デバイス創製基盤技術アライアンス」
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

  2007年4月、「ポストシリコン物質・デバイス創製基盤技術
 アライアンス」プロジェクトが大阪大学産業科学研究所、東北大学多元物質
 科学研究所、北海道大学電子科学研究所、東京工業大学資源化学研究所の4
 大学で始まりました。本プロジェクトは4大学附置研究所が連携することに
 より、物質基盤技術において産業界でニーズの高いプロジェクト研究を集中
 的に展開し、新産業の創造に貢献するとともにポストシリコン物質・デバイ
 ス創製基盤技術研究への戦略的展開を図ることを目的としています。
  今回の成果報告会は本プロジェクトの記念すべき第1回目の成果報告会に
 なります。一般の方も聴講できますので、奮ってご参加ください。

【会期】 平成19年12月25日(火)・26日(水) 参 加 費:無料
     (懇親会:12月25日(火))

【費用】 懇親会費:3000円(懇親会費は当日、お支払いください)

【プログラム】12月上旬に掲載予定です。もうしばらくお待ちください。

【会場】東北大学片平キャンパス 片平さくらホール
    仙台市青葉区片平2-1-1

◆詳しくは、こちらをご覧ください。
  http://www.tagen.tohoku.ac.jp/general/information/alliance.html

◆ポストシリコン物質・デバイス創製基盤技術アライアンス
  http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/Projects/Post-SiliconAliance/index.html

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    6) 最近の成果
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    金属微細配線技術   - インクジェットの10分の1 –
    金属ナノ粒子薄膜にレーザー照射
    サブミクロン分解能実現
    速度100倍 銅の抵抗も大幅減 – 印刷法の限界を打破 –
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

   多元物質科学研究所の宮下徳治教授、渡辺明准教授らのグループは、金
  属ナノ粒子の分散薄膜にレーザー照射するだけでサブミクロンの微細配線
  を形成する手法を開発した。従来の印刷法やインクジェット(IJ)プリン
  ト法による金属配線の微細化限界を打破するもので、措画速度は約100
  倍、銅配線の抵抗率を約600万分の一に低減できるという。真空系の多段
  階加工プロセスを必要としないため、次世代のフレキシブル・プリンタブ
  ルエレクトロニクスにおける微細配線技術として利用が期待される。

   同グループが開発した手法は、基板上に数ナノメートルの大きさの金属
  ナノ粒子インクを塗布して薄膜を作製し、高倍率のレンズで集光したレー
  ザーを照射、スキャンすることで微細配線を行う。
  金属ナノ粒子がレーザー光を吸収して溶融、融合する特性を利用したもの
  で高速レーザー照射により金属粒子の融合が抑制され、微細な描画が可能
  になる。

   同グループでは、耐熱性透明フレキシブル基板上のレーザー描画法によ
  る金属微細配線形成のプロセス開発を目指して、チッソ、日本電子精機と
  共同研究を行っているほか、金属ナノ粒子の最適化はアルバックと、高速
  レーザー描画装置の開発は東京インスツルメントと共同で行っている。

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    7) 最近の成果
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    新素材開発 – ガラスと樹脂の中間材料 –
    透明・軽量 折り曲げ可能
    大型LCDに応用も
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

   東北大学などの研究チームは、ガラスと樹脂の性能を兼ね備えた新素材
  を開発した。ガラスのように透明度が高いが、重さは半分程度。樹脂のよ
  うに曲げられるので、シート状に連続的に生産しロールに巻いて運ぶこと
  も可能になる。耐熱性は樹脂より優れる。大型化が進む液晶表示装置(L
  CD)の基盤に利用できるとみている。

   開発したのは東北大の宮下徳治教授らとチッソ、感光性樹脂版材などの
  メーカーの日本電子精機の共同研究グループ。ガラスの主成分である酸化
  ケイ素に樹脂の成分を10-20%組み込んだ。
  厚さ30-50マイクロメートル、A4判の大きさのシートを試作した。

   ガラスのように可視光から紫外線までの光をよく通す。樹脂にも透明な
  ものはあるが、紫外線を通さず吸収するため、長時間さらされると変色し
  てしまう欠点があった。新素材は紫外線を千時間当てても透明度は下がら
  なかった。

   宮下教授は「開発したシートの軽量、透明、高耐熱性などの特長を生か
  せば様々な分野に応用できる。まずは大画面のLCD用のガラス基板の代
  替えになる」と期待する。
   大型のガラス基板は扱いが難しいが、新素材でつくった基板なら、長い
  シートにして、ロールに巻いて運び、必要な長さに切ることもできる。
  今後、耐熱温度を400度以上に高めるなど改良を進め実用化を狙う。

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    8) 最近の成果
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    空気中の水分 水滴に ~ 特殊な樹脂シートで収集 ~
    理研、農業・飲料水に活用
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

   空気中のわずかな水分を水滴として集めることができる特殊なシートを
  理化学研究所の石井大佑研究員と東北大学の下村政嗣教授らの共同チーム
  が開発した。水不足に苦しむ干ばつ地帯や砂漠での農作業を可能にすると
  いう。砂漠に住む甲虫が海風に含まれるわずかな水分を体の表面で集めて
  生きてることにヒントを得た。

   汎用樹脂シートの表面に直径数マイクロ(マイクロは百万分の一)メー
  トルの小さな穴がハチの巣状にたくさん並んだ構造を作製、部分的に銅メ
  ッキをした。メッキ部分は水にぬれやすいため空気中の水分がくっつく。
  めっきのないハチの巣状部分は水をはじく性質が強く、薄く張り付いた水
  が水滴に変わる。

   昼間に蒸発する水分を水滴として貼り付け、夜間に気温が下がったとき
  に集めることができる。

   乾燥地でも海が近くにあれば湿り気を帯びた風が吹く。砂漠でも昼夜の
  寒暖差で地中の水分が蒸発したり露になって地面を湿らせたりする。こう
  したごくわずかな水分を動力なしで集めることができれば、井戸も掘れな
  い乾燥地で農業や飲料水に使える。
   ペルーやチリ、イスラエルなどでは霧を吸着し、たれ落ちる水を集める
  研究が進んでいる。
                  (日本経済新聞 平成19年10月1日掲載)

  ◆多元設計研究部門 生体機能設計研究分野
   下村研究室
   http://poly.tagen.tohoku.ac.jp/Site/Top.html

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    9) 最近の成果
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    X線造影性に富む生体用Pd系形状記憶材料を開発
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

  東北大学多元物質科学研究所の貝沼亮介教授、大学院工学研究科須藤
 祐司准教授、石田清仁教授らのグループは、カテーテル治療に要求され
 る高いX線造影性に富む貴金属Pd(パラジウム)系形状記憶材料の開発
 に成功した。

  現在、カテーテル治療用ガイドワイヤーとして最も広く普及している
 形状記憶合金は、高い耐食性と耐疲労強度を持つNiTi(ニチノール)合
 金だが、比較的比重が小さいために治療中に利用されるX線撮影時に十
 分な造影性が得られないことから、先端にPt(プラチナ)細線コイルを
 装着するなどの方法を探っている。ただ、従来から知られている貴金属
 系形状記憶合金:AuCd(金カドミウム)、FePt(鉄プラチナ)やFePd
 (鉄パラジウム)等は、有害物質の含有や室温での形状記憶特性に問題
 があり実用化への取り組みはなされていない。

  貝沼教授によると「今回の合金は、東北大グループがPd-In-Fe(パラ
 ジウム-インジウム-鉄)系状態図(相図)を決定する基礎研究の中で偶
 然発見したものだ」という。合金に含有するPdとIn濃度が合計で90重
 量%を越えることから、比重はニチノールの約2倍であり十分な造影性
 が期待できる。
  今のところ多結晶での利用は脆性を示すので困難だが、単結晶育成法
 の一つであるマイクロPD法を用いることにより直径2~3mm、長さ
 50mm以上の単結晶ワイヤー試料が容易に作製でき、しかも繰返し7
 %以上も伸び縮みする超弾性を確認することができたとしている。

  貝沼教授の話「従来のニッケル-チタン合金の約2倍の比重を持つこ
 とから、カテーテル治療時に必要な高いX線造影性が期待できる。また、
 単結晶試料であるため、7%以上の大きな伸び縮み(超弾性特性)が繰
 返し得られる。単結晶の製造が容易であることから、線の他にもパイプ
 や短冊状の単結晶試料を得ることも可能であり、血管治療用ガイドワイ
 ヤーやステント等の医療分野への応用が期待できる」

 ◆詳しくは、こちらをご覧ください。
   http://tech.braina.com/2007/0907/other_20070907_001____.html

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    10) 最近の成果
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    ナトリウムを利用した
    炭化ケイ素セラミックスの低温合成法を開発
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

        ~ナノ粉体および多孔体の製造を簡便化~

  本学多元物質科学研究所(所長:齋藤文良教授)の山根久典教授、山田
 高広助教の研究グループは、ナトリウムを利用することでシリコンと炭素
 が700℃で反応し炭化ケイ素が生成する現象を見出しました。

  炭化ケイ素セラミックスは、高温においても高強度で、耐摩耗性、耐食
 性に優れた非酸化物です。このため、炭化ケイ素セラミックスは、高温構
 造部材や半導体製造装置部品として利用されています。また、炭化ケイ素
 セラミックスの多孔体は、ディーゼル車の排ガス浄化用フィルターなどに
 使われています。これらの製品の製造には1200℃を超える温度が必要
 なため、低温で効率的に製造できる手法の開発が望まれていました。

 1.シリコンと炭素(非晶質炭素またはフラーレン)の各粉末を混合し、
   これらを金属ナトリウムとともにアルゴンガス雰囲気下700℃で
   加熱する。これにより、粒径が数十ナノメートルの炭化ケイ素ナノ
   粉体が得られた。図1に合成されたナノ粉体の透過型電子顕微鏡写
   真を示す。このナノ粉体は、炭化ケイ素セラミックス(焼結体)の
   製造用原料粉末として用いることができる。

 2.シリコンと炭素の粉末を混合し金型に入れて加圧成形したものを、
   アルゴンガス雰囲気下でナトリウム蒸気とともに700℃で加熱す
   る。これにより、成形体の形状を保った状態で炭化ケイ素の多孔体
   が作製された。円盤状に成形した混合原料粉末より作製された炭化
   ケイ素の多孔体の写真を図2に、この多孔体の破断面の走査型電子
   顕微鏡写真を図3に示す。この手法により、様々な形状の炭化ケイ
   素多孔質フィルターの製造が可能となる。

 3.炭化した木材(バルサ材および檜材)を金属ナトリウムとシリコン
   とともに700℃で加熱する。これにより、植物の細胞壁の形状を
   持った炭化ケイ素セラミックスバルク体が作製された。図3にバル
   サ材から作製された炭化ケイ素セラミックスの破断面の走査型電子
   顕微鏡写真を示す。この手法で、生体組織や人工的にデザインされ
   た炭素質の構造体を、その形状や形態を保持したまま炭化ケイ素に
   転換することができる。

  以上3つの手法において生成した炭化ケイ素が、いすれもβ型であるこ
 とをX線回折法および電子線回折法で明らかにした。さらに特性X線スペ
 クトル分析法で組成の確認を行った。作製に使用したナトリウムの一部は
 蒸留により回収され、再利用することができる。
 手法3については、特許出願済み。
 本研究は、独立行政法人日本学術振興会科学研究費補助金(萌芽研究)の
 支援のもとに行われた。


   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    11) ご報告
  ◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
    多元物質科学研究所における
    密封された放射性同位元素の誤廃棄について
  ◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

  今般、標記のような事故が生じましたので、ご報告申し上げます。
  (平成19年10月9日、16時~記者発表)

  概要につきましては、こちらをご覧ください。
  http://www.tagen.tohoku.ac.jp/general/information/071009.html

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

目次へ戻る

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

 ◎体育の日(たいいくのひ)
  フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、国民の祝日の
 1つで、国民の祝日に関する法律(祝日法)では「スポーツに親しみ、健康
 な心身をつちかう」事を趣旨としています。1964年東京オリンピックの開会
 式のあった10月10日を、1966年(昭和41年)から国民の祝日となりました。
 2000年(平成12年)からは「ハッピーマンデー制度」の適用により、10月の
 第2月曜日になりました。

 食欲、芸術、スポーツの秋と言われますが、何か体に良いことしてますか?

     ・。・゜★・。・。☆・゜・。 ・゜。・。・゜★・。・。☆

 来年度から健康診断に取り入れられる「メタボ検査」
 メタボリックシンドローム(英 metabolic syndrome、代謝症候群とも)とは
 内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち
 2つ以上を合併した状態。
 1998年にWHO(世界保健機関)が『メタボリック症候群』という名称と、
 その診断基準を発表した事により、一般に知られる病態名となりました。

 メタボリック症候群診断基準は、日本と世界では多少違うようです。

 @世界糖尿病連盟(IDF)基準
  腹囲 男性 90cm、女性 80cm以上が必須。かつ 血圧130/85mmHg以上。
  中性脂肪 150mg/dL以上。
  HDLc 男性 40mg/dL、女性 50mg/dL未満。血糖 100mg/dL以上。
  の4項目中2項目以上。

 @日本肥満学会(JASSO)基準
  腹囲 男性 85cm、女性 90cm以上が必須。かつ 血圧130/85mmHg以上。
  中性脂肪 150mg/dL以上または HDLc40mg/dL未満。血糖 110mg/dL以上。
  の3項目中2項目以上。

  この基準が不適切であるとするエビデンス(科学的根拠)もありますが、
  食事、運動など普段から気をつけたいですね。

     ・。・゜★・。・。☆・゜・。 ・゜。・。・゜★・。・。☆

  体脂肪を燃焼させるには、体内に酸素を取り込む有酸素運動が効果的です。
  エアロビクス、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳等で、
  脈拍が1分間に110~120を越えない程度が目安です。
  有酸素運動は全身持久力向上に役立つだけでなく、体内の糖質や脂肪が
   酸素とともに消費されます。
  一大ブームとなった「ビリーズブートキャンプ」も有酸素運動の一つです。

  改めて時間を設けなくとも、エスカレーターを使わずに階段を昇る、
  自転車を使わずに歩いて買い物に行くなど、日常生活の中に
  うまくウォーキングを取り入れるのが、長続きさせるコツです。

     ・。・゜★・。・。☆・゜・。 ・゜。・。・゜★・。・。☆

  「柿が赤くなれば、医者が青くなる」と言われているくらい柿は健康食品です。
  コレステロールの中で「悪玉コレステロール」の上昇を抑える働きがあり、
  ホウレンソウの約10倍、レモンの約15倍、緑茶の約20倍もビタミンCが
  含まれているので、風邪の予防、血管の老化防止、コラーゲンの生成を
  助ける働きがあります。

  柿に含まれるビタミンCとタンニンが血液中のアルコール分を外へ排出し、
  豊富なカリウムには利尿作用があります。「二日酔いには柿が良い」とか、
  飲酒の前に柿を食べると「悪酔いしない」と言われています。

      朝晩、肌寒く感じるようになったこの頃。
      周りに風邪をひいている人が多くはありませんか?
      適度な運動、ビタミン補給で冬に備えましょう!

   ・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜。・。・゜★・。・。☆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆広報情報室では、講演会、シンポジウム、研究成果など
 メールマガジンに掲載させていただける情報をお待ち致しております。

   登録・変更・削除は、こちらからお願いいたします。
      ↓ ↓ ↓
https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/information/mailmagazine.html

  _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
  _/
  _/   発行元:
  _/      東北大学多元物質科学研究所
  _/      広報情報室 022-217-5198
  _/      network-tagen[at]grp.tohoku.ac.jp
  _/
  _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/